Snow Man、Perfume、NiziU、OWV……進化するDance Practice Videoで光る各グループの個性
その名の通り、もとはダンスの練習用動画として広まったDance Practice Video。全体が映る画角にカメラを設置し、定点撮影するため、MVやTVでは映らない振り付けや、移動を含むパフォーマンスの全貌を把握することができる。またフォーメーションの外で待機する表情や、ダンスシューズがフロアに擦れる音、アーティストが練習室でダンスに取り組む姿は貴重であり、ファンにとっても需要の高いコンテンツだ。
一方、最近では定点にこだわらず、場面設定やカメラワークに工夫を凝らしたDance Practice Videoも増加している。果たしてこれらを「Dance Practice Video」と呼ぶべきかは意見が分かれるところだが(例えば、NiziUやOWVは「Dance Performance Video」としている)、PVともMVとも異なる新たなダンスコンテンツであることは間違いない。
本稿では、撮影場所やカメラワーク、照明など、個性が光るDance Practice Videoを紹介したい。
楽曲の色に合わせた見せ方のSnow Man
ラウールが主演をつとめた映画『ハニーレモンソーダ』の主題歌「HELLO HELLO」のVideoでは、冒頭に芝居パートが入っているのが特徴だ。レッスンに遅刻したラウールが、タイミングよく自分のポジションに滑り込み、そのまま踊り始めるというもの。映画タイトルにちなんでか、メンバーはイエロー系の暖色カラーTシャツを着用。楽曲の甘い世界観が、照明や衣装といった色調からも伝わってくる。
また、1stアルバム『Snow Mania S1』のリード曲「EVOLUTION」のVideoは、映画のクライマックスさながらの迫力。ハイクオリティな映像作品でありつつ、リーダー・岩本照が振り付けの際に意識したという「手の角度や体の高低差」「今までの楽曲のポイントとなる振り付けを取り入れる」(※1)といった同曲のポイント、ファンが見たいポイントをきっちり押さえたDance Practice Videoだ。
ライブ演出とのギャップが楽しいPerfume
歌詞に合わせた振り付けが特徴の「ポリゴンウェイヴ」。「#ポリゴンダンスチャレンジ」として、TikTok上では「踊ってみた」動画が流行中だ。Perfumeは、これまでTikTok上にカバーダンスをアップすることはあったが、ダンスに特化した動画をYouTubeにアップするのは本作が初めてである。
あらゆる角度からダンスを収めた滑らかなカメラワーク、ズームアップ時の豊かな表情ーー本作は「Dance Practice Video風」動画という、まったく新しいダンスコンテンツとして楽しむべきかもしれない。
常に、こだわり抜いた衣装とステージングで我々を楽しませ、驚かせてくれるPerfumeだからこそ、練習着風のスタイリッシュなパンツスタイルにスニーカー、練習室で踊る姿は貴重であり、エンタテインメントして成立している。欲を言えば、足元まで捉えた定点バージョンの展開にも期待したい。