水樹奈々、上坂すみれ、内田真礼……貫禄の歌声とクリエイターの手腕味わえる女性声優の最新作

 最近はアニメだけでなく、ドラマや朝の情報番組にまでごく普通に声優が出演する時代。それほどポピュラーな存在として認知・浸透した声優だが、それは音楽シーンでも同様のことが言える。K-POPアーティストやボーイズグループらがひしめき合うヒットチャートに、アニソンをはじめ声優たちの歌う楽曲が当たり前のように並ぶ時代なのだ。今回は、そんなヒットチャートにランクインしても見劣りしない、貫禄のボーカルと類稀なるクリエイターの手腕を同時に味わえる作品を紹介する。

水樹奈々『Get up! Shout!』

 自身も玉村たまお役として出演するアニメ『SHAMAN KING』(テレビ東京系)第2弾OPテーマを表題に掲げた最新シングルは、一言でまとめれば“匠の一作“。収録された3曲どれもが水樹の持つポテンシャルを120%生かし、かつ3曲それぞれで異なる楽しみ方ができるシングルだ。

水樹奈々「Get up! Shout!」MUSIC CLIP

 『SHAMAN KING』の世界観が落とし込まれた「Get up! Shout!」は、これぞ水樹奈々と言わしめるハードロックナンバーに仕上がっている。重厚なギターリフや疾走感を演出するドラミング、めくるめく曲構成など、1曲トータルで聴かせる熱量が凄まじい。だが、それもこれもすべて水樹の圧倒的なボーカルがあってこそ。サウンドこそハードロックだが、歌われるメロディは昭和歌謡テイストであることも、水樹奈々の音楽として完成されたフォーマットの1つだ。そして何と言っても、曲最後のフレーズが〈Over soul〉という演出に作品愛を感じた(林原めぐみが歌う2000年放送の『SHAMAN KING』のOPテーマのタイトルが「Over Soul」であり、作中で霊の力を具現化する技が“オーバーソウル”)。

 カップリングには、ライブにてファンとシンガロングする光景が想像される「Phase 21」、水樹がたまお役として20年前に歌唱したキャラクターソング「花、星、空 –reunion-」のセルフカバーが収められている。ダンサブルな楽曲である前者、ピースフルなポップソングを表現豊かなボーカルで歌う後者、どちらも「Get up! Shout!」とは違う水樹奈々に出会うことができるナンバーだ。

上坂すみれ『生活こんきゅーダメディネロ』

 前山田健一が作詞作曲を務めた表題曲「生活こんきゅーダメディネロ」は、ヒャダイン節が縦横無尽に駈け回る、説明不要の電波ソング。アニメ『ジャヒー様はくじけない!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)第2クールOP主題歌である同楽曲は、本作の主人公であるジャヒー様の置かれた状態など、しっかりと作品が描くコンセプトが歌詞に反映されているところもポイント。電波ソングの忙しなさがコメディにもシリアスにも振り切るアニメならではのスピード感と見事に合わさりつつ、そのスピードに合わせて言葉を一言一句歌い漏らさない上坂のボーカルにも注目してもらいたい。なお、上坂も魔法少女役としてアニメに出演中。

上坂すみれ「生活こんきゅーダメディネロ」Music Video / Sumire Uesaka「Life Is Hard DAME DINERO」

 そして、上坂のYouTubeチャンネルで配信中の番組『上坂すみれのおまえがねるまで』のテーマソング「ものどもの宴」もカップリングとして収録。“寝るまでの舞踏会“というテーマで上坂が作詞を手がけた楽曲は、電波ソングとまでいかずとも展開の早いテクノチューンに。続く「ドロップス」も上坂が作詞を担当。ラグジュアリーな空間をイメージさせるリリックを、チルなサウンドに当てはめたスローナンバーは、作詞面も含めて上坂のしなやかなイマジネーションを感じることができる。



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる