INIとBE:FIRST、新世代ボーイズグループから光る“令和っぽさ”の正体
温かく誠実、“消費”しないサバイバルオーディション
BE:FIRSTの「令和っぽさ」は、ひとえに競争社会からの脱却である。これは、彼らを輩出したオーディション番組『THE FIRST』と、その主催者で事務所社長であるSKY-HIの姿に強く見てとれる。彼が自費で1億円を投資したという経緯がすでに型破りで斬新なのだが、彼はオーディション番組の審査員という型にもハマらなかった。
SKY-HIは参加者一人ひとりに真摯に向き合い、人間としての成長も目指した。彼らに温かく寄り添い、時には一緒に踊り出す。参加者も「ここまで参加者同士や審査員との距離が近いオーディションは初めて」と語るほどだ。さらに、最終審査の脱落者とも契約してソロデビューや育成生としての道を示したのも印象的だ。競争社会の縮図とも言えるオーディション番組では、勝者と敗者が生まれ、その命運は真っ二つに分かれる……そんな固定概念すらも、SKY-HIはひっくり返してみせた。
また、彼の印象的な言葉として「上り詰める、だけど蹴落とさない」というものがある。SKY-HIの革新的な理念のもとで結成されたBE:FIRST。彼らが短期間で才能を磨き上げ、最終審査終了直後から度肝を抜くパフォーマンスを見せてくれたのも頷けるというものだ。
なにわ男子のピンク色の衣装が示すこと
この秋注目のボーイズグループといえば、11月12日にデビューするなにわ男子も忘れてはいけないだろう。デビューシングル「初心LOVE(うぶらぶ)」で、彼らはピンクを基調としたキュートな衣装に身を包んでいる。もはやピンクは“女の子の色”ではない、ということを示しているようにも感じる。アイドルもファンも「男らしさ」「女らしさ」に囚われる必要はない。女性が憧れるカッコ良い“ガールクラッシュ”が台頭したように、男性が憧れるキュートな男性像がもっと広まっていく未来を期待してしまう。
2021年11月、三者三様のボーイズグループにデビューの運命が待っている。彼らの切磋琢磨が新しい世界を開き、あらゆる世代、性別、国籍のファンに初めての景色を見せてくれることを、今は願ってやまない。