木梨憲武、音楽の“何でも屋”が現代に繋ぐ昭和歌謡の魅力　ミッツ＆マツコ、中井貴一らとのコラボを語る

あの時代のロックとか歌謡曲を繋いでいきたい

ーー今回のEPは、5曲中3曲が宇崎・阿木コンビの楽曲になっていますが、やはり木梨さん的には、そのコンビの楽曲に格別の思い入れがあるのでしょうか。あるいは「今こそ、こういう曲が聴かせたい」という木梨さんの思いがあったりとか。

木梨：うーん、特に深い理由があるわけじゃないんだけど、俺ももう間もなく60歳で、ヒップホップ一本でやっていくのもヘンじゃない（笑）？　2019年にソロで初めて出したアルバム『木梨ファンク ザ・ベスト』のときは、割とブラックミュージックに寄ったものを作って、EXILEのチームとかも含めて、いろんな人に手伝ってもらったりして。その流れで、『あつぎミュージックフェスティバル』（2019年）とかにも出させてもらったんだけど、そうやって若いアニキたちが、活き活きとカッコ良い音楽をやっているのを眺めていたら、今度はこっちのほうにも、若いやつらがきてくれないかなっていうか、俺がガキの頃から聴いていて、もはや身体に沁みついているような音楽も、ちょっと聴いてくれないかなって思って。

ーー宇崎・阿木作品に代表されるような、往年の「歌謡曲」の素晴らしさを知ってほしいと。

木梨：そもそも、若い人たちの中には、そういう音楽を聴いたことがないっていう人もいるわけで。そういう子たちに、宇崎さんをはじめ、俺の先輩たちが、まだまだ現役で、すげえカッコ良いステージをやっていることや、あの時代のロックとか歌謡曲を、そのあいだの世代である自分としては見せていきたいというか、そこを繋いでいきたいなと思っていて。まあ、音楽的には「何でも屋」の俺としては、「次はこっちのほうに行ってみよう」とか「わっ、今度は演歌もいいな」とか、どのジャンルも触っていきたいと思っているんですよね。

ーーなるほど。ちなみに今回のEPの最初と最後には、宇崎・阿木コンビとは関係のない2曲ーー「最高な毎日にするために自分からアタックして言葉に気をつけムードよく進めるようしかけは早め全て面白がり答えは追い追いやてくるくるくーるZ!!・・・つまり、答え探しの毎日を！ feat. ももいろクローバーZ＆のりクロ」と「最高な毎日にするために自分からグイッと動き言葉に気をつけ相手の顔色を見て全て面白がり答えは追い追いやってくるに違いない。・・・つまり、しかけ早めに動いていこう！ feat. 遠藤章造、狩野英孝、堀内健＆60才なのに40ぐらいの気持ちNORIーー!!」（いずれも、作詞：狩野英孝、堀内健、木梨憲武／作曲：狩野英孝、大平勉）という非常に長いタイトルの楽曲が収録されているわけですが、こちらはGYAO!の配信番組『木梨の貝。』から生まれた楽曲なんですよね？

木梨：そう。その2曲に関しては……というか2つとも曲は同じなんだけど、ある一日に起きたことを、そのまま曲にしたものになっていて。簡単に言うと、ある日、ココリコの遠藤が、自転車にカゴをつけたいって連絡してきたから、「だったら木梨サイクルにこいよ、俺も行ってやるから」って言って、その直後にGYAO!のチームに連絡して、その現場でカメラを回してもらったんだよね。で、ホントだったら、そこでカゴをつけてバイバイするんだけど、たまたまたその何日か前に、遠藤のYouTubeチャンネルで、遠藤が狩野と2人で「クセが強すぎる歌」とか言って、いろんな曲を熱唱しているのを観ていたから、その話を遠藤にして……。

ーー遠藤さんのYouTubeチャンネル『ココリコ遠藤のヘンなカタチ』ですね。

木梨：そうそう。で、遠藤も「そうなんですよ。狩野とやっているんですよ」とか言うから、「じゃあ、狩野も呼んじゃいなよ？」って言って、その場で電話して。そうしたら、狩野がギターを持って木梨サイクルにきてくれたから、「曲、書けるんでしょ？　だったら、今この場で、何か一曲書いてよ」って言って（笑）。

ーーそこでもまた、曲のオーダーが……というか、かなりの無茶ブリですけど（笑）。

木梨：（笑）。で、そのあと3人でスタジオに向かったんだけど、木梨サイクルのすぐ近くに、所（ジョージ）さんの世田谷ベースがあるから、そこに寄り道して。したら、遠藤と狩野は、所さんからTシャツをもらったり、挙句の果てにはアンティークのすげえカッコいい自転車までもらったりして、もう大喜びでさ。そのテンションのままスタジオに行って、「よし、狩野。今日のこの感じを曲にしよう！」って言って。

ーーこの素敵な一日を、そのテンションのまま歌にしようと。

木梨：そうしたらなぜか、そこにホリケン（堀内健）がやってきて、2番の歌詞は俺が書くとか言い出して……でも、その日のうちに、歌詞まで含めて、曲のデモができちゃったんだよね。で、今度ちゃんとレコーディングしようって言って、後日ちゃんとレコーディングもして。だからホント、2、3日で完成しちゃった曲なんだけど（笑）。

ーー（笑）。

木梨：で、その音源を、自分のラジオで流してみたり、あいつらはあいつらで、自分のYouTubeチャンネルで流したりして……その日、GYAO!のチームが撮ってくれた映像をもとに、MVまで作って、それをGYAO!で流したりとかして遊んでいたら、遠藤が「木梨さん、この曲、結局どうするんですか？」って言い出して。

ーーまあ、気になりますよね。

木梨：で、最初は「うーん、わかんない」とか言っていたんだけど、その動画を観てくれたフジテレビのスタッフが、「この曲で、『2021 FNS歌謡祭』（フジテレビ系）に出ませんか？」って言ってくれて。

ーーあ、7月の『2021 FNS歌謡祭 夏』に。

木梨：そうそう。で、それはいいねって言って、遠藤、狩野、ホリケン、俺の4人で出ようと思ったんだけど、しばらく経ってから、「それはちょっと違うな」と思って……そこで、ももクロ（ももいろクローバーZ）が出てくるわけですよ。

ーーそういう流れだったんですね（笑）。

木梨：軽いドッキリじゃないけど、遠藤、狩野、ホリケンが出ていこうとしたら、そこにももクロが出てくるっていうのをやって。せっかくだから、ももクロバージョンも、ちゃんとレコーディングして、遠藤たちと同じような感じのMVも作って……まあ、結局最後は、全員で歌ったんだけど。そういう感じの曲ですよ（笑）。それが今回のEPの最初と最後に入っているっていう。まあ、そのへんのいきさつは、全部GYAO!の『木梨の貝。』で追っているので、気になった方は、ぜひそちらのほうも観てください。

ーーちなみに木梨さんは、とんねるずとしてはもちろん、野猿や矢島美容室といった番組企画のユニットも含めて、これまでさまざまな形で音楽活動をやられてきていますが、最近の音楽活動は、それとはちょっと違う楽しさがあるのでしょうか？

木梨：やっぱり、全然違いますよね。その当時は、音に対するこだわりだとか、コンセプトがどうだっていうのは……そもそも、秋元さんの歌詞があったし。そのコンセプトみたいなところも、秋元さんが考えたり、（石橋）貴明が考えたりしていたので。俺はそこに行って、1、2回歌って、すぐに違うところに行っちゃったりしていたから（笑）。だから、実はそこまで関わってなかったのね。もちろん、矢島美容室のときは、女性3人組がいいなとか、だったら衣装はこうでとか、ビジュアル面のことはガッツリ関わっていた。野猿に関してもダンスナンバーの動きには関わっていたけど、サウンドについては、もうお任せしていて。でも今は、その部分も全部見させてもらっているから……それはそれで、やっぱり楽しいんですよね。

――なるほど。ソロ名義の音楽活動というと、ともすればストイックになりがちですけど、木梨さんの場合は、そういう感じでもないですよね。

木梨：まあ、音楽活動一本だったら、そうなっていたかもしれないけど、今は、昨日あったことを、今日話すような感じでやっているというか、全部オープン攻撃でやっているから。昨日録ったものを、すぐに翌日のラジオで流したり。その放送を聴いて、レコード会社の人が、初めてその状況を知るみたいなことも多いので（笑）。

■リリース情報
『木梨ミュージック コネクション3』
10月3日（日）リリース
https://kinashi.lnk.to/kmc3PR

【収録曲】
M1
最高な毎日にするために自分からアタックして言葉に気をつけムードよく進めるようしかけは早め全て面白がり答えは追い追いやってくるくるくーるZ!!・・・つまり、答え探しの毎日を! feat. ももいろクローバーZ & のりクロ
M2
命綱 feat. マツコデラックス,ミッツ・マングローブ & ピンドン・ノリ子　
M3　
サクセス
M4　
ジグソーパズル feat. 中井さんと木梨くん。
M5
最高な毎日にするために自分からグイッと動き言葉に気をつけ相手の顔色見て全て面白がり答えは追い追いやってくるにちがいない。・・・つまり、しかけ早めに動いていこう! feat. 遠藤章造, 狩野英孝, 堀内健 & 60才なのに40ぐらいの気持ちNORIー!!　

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