SixTONES『on eST』、演出全開で畳み掛ける怒涛の構成 “今表現したいもの”を詰め込んだ、オリジナル曲のみでのライブ

SixTONES『on eST』レビュー

 基本的にあらゆる能力の高いジェシーだが、多彩なボーカル表現力も彼の特徴の一つである。とりわけ本公演で多用された威圧感たっぷりのがなり声は、会場全体を揺らすようなパワーがあり魅力的だ。それと対極をなすのが京本大我の美しく響き渡る歌声だろう。「Imitation Rain」でそれが最もよく活かされているが、「Special Order」のような激しい曲ではむしろ“動”に振り切れたサウンドを中和する“静”側の重要な役目を担っていると感じる。一方で、高音を艶やかに歌う松村北斗の歌声はこのグループのトレードマークと言っていいだろう。まさに“代替不可”な表現で、このグループにしかない色気を醸し出している。また、髙地優吾と森本慎太郎の2人がユニット曲「My Hometown」で見せた満面の笑みと平和的な世界はこのグループのあまり知られていない一面である。だが、笑顔の中にも時折見せる高地の憂いを帯びた表情や、森本が「Bella」で見せた力強い歌声は彼らの新境地だったような気がする。そしてこのグループの心臓でありモーターとも言える存在の田中樹のボーカルワークからは、内に秘めた思いの強さをひしひしと感じ取れた。MCコーナーでのツッコミ役としての瞬発力もさることながら、金色に染めた前髪が両目を覆い隠し、異様な存在感を放つ終盤の彼にはただならぬオーラがあった。

 ライブとしては、終盤の畳み掛けが見事だ。特効をバックに傾斜を滑った「RAM-PAM-PAM」、ネジが一本外れたような凄まじいパフォーマンスを見せる「NEW ERA」、火花が散るなかで歌った「Imitation Rain」、最後の力を全力で振り絞るような「ST」、神秘的な真っ白な光のなかで歌い上げる「Lifetime」と、音源だけでは味わえない臨場感が映像から伝わってくる。特典のビジュアルコメンタリーを観れば、彼らが歌いながらどんなことを考えているのかも知れて興味深い。

 今年はアルバムのリリースに始まり、ツアーの開催や意欲作『マスカラ』の発表に至るまで怒涛の勢いで突き進んでいるSixTONES。活動の一つひとつが刺激に満ちあふれ、強い意欲を感じ取れる。2020年のデビュー以降は世の中的に思うようにいかない状況が続いているが、ついにオリジナル曲だけで一本のライブを成功するまで登り詰めた。その力強い活動姿勢を今後も貫いて、日本を代表するボーイズグループへと成長していってほしい。

『on eST』初回盤

■リリース情報
LIVE DVD/Blu-ray『on eST』
2021年10月20日Release
購入・予約はこちらから:https://sixtones.lnk.to/LIVE_oneST_1020
収録内容の詳細はこちら:https://www.sixtones.jp/discography/d008/
SixTONES Official web site:https://www.sixtones.jp/

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