SixTONES『on eST』、演出全開で畳み掛ける怒涛の構成 “今表現したいもの”を詰め込んだ、オリジナル曲のみでのライブ

SixTONES『on eST』レビュー

 SixTONESが今年開催したワンマンツアーの横浜アリーナ公演の模様を収録した映像作品『on eST』を発売する。

『on eST』通常盤
『on eST』通常盤

 今年1月にリリースした1stアルバム『1ST』を引っ提げて開催されたこのツアー。当初は1月から3月にかけてを予定していた日程も、新型コロナウイルスの感染状況の影響により延期や中止が重なったことで長期化。アルバムが発売された1月から、2月の4thシングル『僕が僕じゃないみたいだ』、そして5thシングル曲「マスカラ」をサプライズ披露した6月に至るまで、結果的に3作品のリリースを跨ぐほどロングスパンのツアーとなった。動員数の上限、マスク着用、歓声禁止といった普段とは違った制限のある中での開催となったが、コロナ禍で有観客イベントが減ったこともあり、随所にライブそのものを楽しんでいる姿が印象的な作品だ。

 またこのツアーは、彼らにとって初めて自分たちのオリジナル楽曲のみで構成された公演となっている。自分たちの楽曲だけでライブを一本作り上げたいという思いは、ステージに立つ者であれば誰しもが抱くものだろう。特に下積み期間の長かった彼らにとって、自分たちの曲だけでライブを成立させることは長年の夢であったと想像する。もちろん先輩グループの楽曲のカバーも新鮮な感動があるが、やはり彼らのために書き下ろされた作品だけで作られた公演というのは味わい深い。その意味で、この映像作品に収められたものこそが純粋なSixTONESの世界であり、今現在の彼ら自身が表現したいものが詰め込まれていると言っていいだろう。

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 まず観て驚いたのは、序盤から演出全開で畳み掛ける怒涛の構成である。開演早々、大きな紗幕を使ったシルエットパフォーマンスを披露し幻想的なステージを展開。SixTONESがそこに居るのか居ないのか不確かな状態からスタートさせた。そこから幕が一気に降ろされ、無数のライトと滝のように火花が落ちる特殊効果を経て、まるでロボットのように静止したメンバーたちが現れる。この“実在感が増していく”作りに舌を巻いた。いきなり「これがSixTONESです!」と見せるのではなく、徐々にSixTONESという存在が浮かび上がり、輪郭が鮮明になっていくような流れとでも言えばいいだろうか。ロボットダンスは昨年の『TrackONE -IMPACT-』でも披露していたが、その時は縛られた状態から自我を取り戻していくようなイメージで見せていた。それはメジャーデビュー直前の彼らの抑えきれない強い衝動がうまく表現されていたように思う。対して今回は、SixTONESという存在があやふやな状態から徐々に固まっていく過程の一つとして用いているように感じた。1stアルバムにて打ち立てた独自のスタイルに至るまでの、デビューからの一年をこの数分間で表すかのような構成だ。

 そして何と言っても、5曲目の「S.I.X」で通路が“降りてくる”演出には度肝を抜かれた。現場で体験できなかった読者にはぜひ映像を観てその興奮を想像してもらいたいのだが、横浜アリーナを一直線で真っ二つに割る特大の構造物が天井から出現し、それがゆっくりと下降してくるのである。やがてそれが床に着くと、その上をメンバーたちがメインステージから歩いて行ける仕組みになっている。これだけ書くと、「そもそも花道を作ればいいだけの話じゃないか」と思うかもしれない。しかしそれでは意味がないのだ。この演出があることで、SixTONESから会場を掌握する覇気のようなものが漂い、彼らの“圧倒的王者感”が際立つのである。ただ単に大掛かりな演出をしたいのではない。その迫力と存在感を観客に感じてもらいたいがためにこのような演出が必要なのだ。さらに次曲の「Special Order」ではセンターステージが上昇。ここでは彼ら自身のスキルに意識が奪われる。

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