新譜連載「本日、フラゲ日!」
Snow Man、aiko、back number、Bank Band、AKB48……9月29日リリースより新譜5作をレビュー
毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は9月29日リリース作品より、Snow Man『Snow Mania S1』、aiko『食べた愛/あたしたち』、back number『黄色』、Bank Band『沿志奏逢 4』、AKB48『根も葉もRumor』の5作品をピックアップした。(編集部)
デビュー曲「D.D.」を開幕曲に、ジャニーズJr.時代の未音源化楽曲も収録されている『Snow Mania S1』。グループの顔であるダンスナンバーはもちろん、今作では特にR&B方面での訴求力が凄まじく、その筆頭となる楽曲がメンバー全員の“声のよさ”に甘美な感情を引き出される新曲「Super Sexy」。また、ファン待望の初ユニット曲のなかでも、岩本照・ラウール・佐久間大介による全編英語詞の「ADDICTED TO LOVE」は、R&B〜ファンクの1980年代リバイバルを意識したオントレンドなサウンドで、3人の幅広い音域でのボーカルを味わい尽くせる一曲に。アルバム全体を俯瞰しても、グループの強さに楽曲の強さが掛け合わさった、両者の終わりない足し算をいつまでも楽しめるような一枚だ。(一条)
3月にリリースした14thアルバム『どうしたって伝えられないから』がロングセールスを記録しているaikoからニューシングル『食べた愛/あたしたち』が届けられた。「食べた愛」(編曲/トオミヨウ)は、ネオソウルやシティポップの潮流を捉えたサウンドのなかで、想い続ける“あなた”と電話しているときの“あたし”の繊細な感情の揺れを描いたポップチューン。「あたしたち」(編曲/島田昌典)は、“あなた”から何気ないメッセージを受け取る場面から始まり、〈苦手なことに向かっていく〉“あたしたち”の姿を綴った3拍子のバラードナンバー。そしてカップリング曲の「列車」(編曲/トオミヨウ)は、恋人同士だけにわかる感覚を“列車”に例えた、愛らしくも切ない楽曲。歌が聴こえた瞬間に光景や物語が立ち上がり、心地よいフロウと質の高いサウンドとともに、感情の機微をじっくりと味わえるaikoのポップスは今もなお、作品を重ねるごとに深みを増している。(森)
back numberのニューシングルの表題曲「黄色」は、バンドの本質を壮大なスケールで表現した楽曲だ。最初に聴こえてくるのは、〈今は硝子の蓋を閉めて〉というラインと繊細なピアノのフレーズ。直後にベース、ドラム、ギターが加わり、楽曲がグルーヴしはじめる。歌詞の主人公は、“君”のことが好きで好きでたまらなくて、〈私が私じゃ無くなるくらい/君の姿 仕草を 焼き付けている〉と一人呟く。少しくらいズルくても、あの人を手に入れたいという切実な感情を抱く主人公の姿を清水依与吏(Vo/Gt)は、ドラマティックな旋律とエモーショナルな歌によって濃密に映し出している。バンドの演奏とボーカルを際立たせながら、クラシカルな弦のアレンジによって楽曲を彩る小林武史の手腕も素晴らしい。カップリング曲には、好きな女性に対するアプローチ合戦を競技にたとえた「勝手にオリンピック」を収録。生々しいバンドサウンドとユーモアたっぷりの歌詞の対比が楽しい。(森)