DADARAY、三者三様の挑戦で作り上げたバンドの最新形 「今まで以上に川谷くんが任せてくれるようになった」

DADARAYが語る、バンドの最新形

REISとえつこだから遠慮せずにぶつけられる

えつこ

――課長はコロナ禍の中で「黙々と一人で音楽を聴いていた」という話でしたが、そうやって聴いた音楽が今回の楽曲にも還元されていると言えますか?

休日課長:めちゃめちゃあると思います。例えば、「イキツクシ(HOME VER.)」はウッドベースで録ったんですけど、ウッドベースのアレンジは普段あんまりやってないんで、ウッドベースものは結構聴きました。もともとエスペランサ・スポルディングが好きなので、そのあたりから始めて、「ウッドベースなんだけどキャッチーな曲」みたいなのは結構聴いて、フレーズを作っていきましたね。ただ逆に言うと、ボキャブラリーがあまりないことが僕っぽさになるとも思ったので、「普通ウッドベースでこういうフレーズは弾かない」っていうのをあえて入れたりもしました。あとは、「fake radio」も最初僕の技術的なボキャブラリーでは弾けなかったので、インスタのバカテクの人をいろいろ研究したり。

――「fake radio」かっこいいですよね。

えつこ:これもう課長のソロ曲でしょ(笑)。

休日課長:ずっと後ろで弾いてるからね。

えつこ:でもちゃんとライブでやってますからね……恐ろしい。

REIS:その上で歌うのが申し訳なくなっちゃう。

休日課長:いや、それ逆だから!

――ゲスの極み乙女。も含めて、最近ループを基調にして、課長が自由に遊ぶタイプの曲が増えてる印象があります。

休日課長:確かに、そうかもしれないです。ゲスの初期はバッキングに徹することが多くて、その途中途中で遊んでる感じだったけど、今は「それ歌の後ろでもやんのかい!」みたいな、そういうのは増えたかもしれない。

――その上で、しっかり歌も前に出ていて、バランスがとてもいいなと。

休日課長:そこはREISだから成り立つところも大きいと思います。えつこもそうですけど、この2人はめちゃくちゃパワーがあるので、遠慮せずにぶつけられるというか。

――ちなみに、バカテクの人だとどんな人が参考になりましたか?

休日課長:結局一人選ぶとしたらヴィクター・ウッテンですかね。単純に、ワクワクするんですよね。なので、あの人から直接何かを取り入れたわけではないけど、あの人を見てて、MIDIでは出せない魅力を存分に感じるというか。それをふまえ、ちゃんとベースのニュアンスを生かしながら弾けるようにしたいと思って、それは今回の演奏に出てるんじゃないかと思います。

――そんな課長のレシピ本が原案となったドラマの主題歌「Ordinary days」が一曲目ですが、この曲は作詞がREISさんで、作編曲は川谷さんとえつこさんの共作なんですよね。

えつこ:そうです。「メロディは俺が考えるから、コードを付けてください」と言われて、川谷くんからメロディの欠片がアカペラで、LINEでポンポンポンと送られてきて。

――それって流れにはなってないんですか?

えつこ:なってないんですよ。「これを自由に繋いで一曲にしてください」みたいな感じで、あと参考曲を送ってくれて、キーの設定も任せるからって。

――面白いですね。ちなみに、参考曲は何だったんですか?

えつこ:コリー・ウォンの「Design(feat.Kimbra)」でした。それで一回デモを作って、後日バンドで集まったときに、違和感のある場所とか細かい修正を川谷くんがして、それで完成、みたいな感じですね。

――ラップパートは最初からあったんですか?

えつこ:2サビ後のセクションにカオスゾーンを作りたかったんです。ドラマは課長の妄想の世界だから、妄想に迷い込んじゃうみたいな世界観にしたくて。で、そこを楽器だけで完結させてもよかったんですけど、「英語でラップしてほしい」ってお願いして。

REIS:「やります!」って言ったけど、「できないかも」って思った(笑)。

えつこ:でもすごいイメージ通りのめちゃかっこいいラップを入れてくれて、そこのセクションは課長のベースも攻めてほしかったから、それが実現して、私は本当に満足です。

REIS:英語のラップパートは初めてだったんですよね。「ダダイズム」でラップっぽいことはしてるけど、あれはもうちょっと早口って感じだったし。なので、今回「英語でラップしてほしい」って言われて……大変だったけど、アイデア自体はかっこいいと思ったし、やってみたらいいものになったなって。

――平歌との声色の違いも含めて、非常にかっこいいですよね。歌詞に関しては、「Ordinary days」というタイトルから、コロナ禍とのリンクを感じたりもしました。

REIS:基本的にはドラマに寄り添った歌詞を書きたいと思ったので、資料をいただいて、自分が感じたことを落とし込んでいったんですけど、ドラマに出てくるのは「ガワは強いんだけど、中身は弱い」みたいな女性像が多いと思ったので、実際の役柄とかも落とし込みながら、その感じが書けたらなって。ただ、ドラマに出てくる優しい女性たちは全部課長の妄想なわけだから、「私、妄想書いてるのかな?」って、一瞬迷走したんですけど(笑)。

Ordinary days

――(笑)。

REIS:でも今って女性が社会進出をしていく中で、嫌な思いをすることも多いと思うから、無意識に強くいようとしちゃって、ホントは弱い部分を隠してたりするなって。そういう部分にすごく共感したんです。

――もともとDADARAYの楽曲で描かれている女性像にも近いですよね。

REIS:確かに、それもそうですね。

――それにしても、さっきのラップの話もそうですけど、今回REISさんのボーカリストとしての幅はかなり広いですよね。

えつこ:そうなんですよ、うちのREISが(笑)。

REIS:レコーディングのディレクションはえっちゃんがやってくれて、ちょっと控えめに歌ってたりすると、「ここでよくライブでやるあれ出しちゃいなよ!」とか言ってくれて(笑)。自分からはやらないけど、やってみたらすごくよくなって、「この声使っていいんだ」みたいな、そういう発見が今回すごくありました。わかりやすいのだと「黄昏のBAY CITY」とかって、「こんな朗々と歌っちゃていいのかな?」って不安だったんですけど、ブースの向こう側でえっちゃんが「めっちゃいいじゃん!」って言ってくれて。

えつこ:エンジニアさんとめっちゃ盛り上がって、「歌うために生まれてきたんだね!」みたいなことを言っちゃったり(笑)。

休日課長:映画のワンシーンみたい(笑)。

――えつこさんはボーカルもさることながら、鍵盤でもいろんな聴きどころがあって、特に「流光」のピアノソロは印象的でした。

えつこ:「流光」はホントにライブでやりたくないです(笑)。ドラムのGOTOくんがすごいタイトに合わせてくれるので、最初はMIDI音源を使おうと思ってたんですけど、川谷くんに「ソロは生ピアノじゃないとダメなんじゃない?」って言われて、結局楽できませんでした(笑)。

――「流光」はドラムがDALLJUB STEP CLUBのGOTOくんで、ギターはtricotのキダ先輩なんですよね。

えつこ:初めてこの2人と一緒に作品を作って、すごくワクワクしました。GOTOくんは意味わかんないフレーズを叩くし、キダ先輩も「THE キダ先輩」っていう感じのフレーズを作ってくれて、嬉しかったですね。ギタリストの中でキダ先輩がホントに好きで、スキルもパフォーマンスもすごいし、歌も上手い。一緒にできてホントに楽しかったです。

――ちなみに、さっきエンジニアさんの話がありましたけど、エンジニアさんもこれまでとは違う人が参加してたりするんですか?

えつこ:基本的にはいつもお願いしているビクタースタジオの岸本さんなんですけど、「Ordinary days」は井上うにさんで、「イキツクシ(HOME VER.)」はなんと、課長でございます! 私がトラックを作って、録音とミックスが課長ですね。

――なぜ最後に「イキツクシ(HOME VER.)」を入れようと思ったのでしょうか?

えつこ:最初の話に戻りますけど、去年の春のツアーが中止になって、そこから「HOME VER.」として3人の演奏動画をSNSとかに上げるようになって、それはずっと川谷くんノータッチで、3人でやってきたから、今回も3人でやろうと。で、「イキツクシ」のHOME VER.はすでにYouTubeに上げているバージョンがあって、そのままフルコーラスを作ってもよかったんですけど、ここでも変えたい精神が働いてしまって(笑)。アレンジをし直して、課長にウッドベースを入れてもらい、REISのボーカルもニュアンスを変えて録り直したんです。

DADARAY「イキツクシ home ver.」

――バンドの始まりの曲である「イキツクシ」が、3人の手によって生まれ変わり、最後に収められるというのは、3人の色が濃くなったアルバムの締め括りにふさわしいと思います。「DADA」シリーズではないタイトルも含めて、新たな始まりのような印象もあり。

休日課長:この2年間の活動がここに集約された感じはありますね。コロナ禍になって、HOME VER.をやるようになったり、いろんな流れがあった中で、その時系列が全てここに集約されて、スポッとハマったような、そんな感じがすごくしてます。

■リリース情報
DADARAY 2ndフルアルバム『ガーラ』
2021年9月22日(水)発売
予約はこちら
通常盤(CD) ¥3,300(税込)  WPCL-13324

<通常盤(CD)収録内容>
全13曲収録
1、Ordinary days
2、流光
3、ハートの合図
4、URARAKA
5、パリ帰りのレインボー
6、蛮勇
7、GALS
8、YOI
9、恋してばかり
10、fake radio
11、黄昏のBAY CITY
12、花は買わない
13、イキツクシ(HOME VER.)

初回限定盤(CD+DVD):¥4,500(+税) WPZL-31912/3

<初回限定盤(DVD)特典映像収録内容>
・2020.10.04無観客生配信ライブ『YOI』at 下北沢ERA
「美しい仕打ち」「どうせなら雨が良かった」「GALS」「YOI」「優しく鬼に」

・2021.04.11無観客生配信ライブ『パリのラジオ』
「ハートの合図」「fake radio」「恋してばかり」「誰かがキスをした」「パリ帰りのレインボー」

先着購入者特典:ジャケットステッカー

■ライブ情報
DADARAY ONEMAN LIVE 『時雨になるのよ』
開催日 2021/10/2(土)
開場 17:30 開演 18:30
会場 東京国際フォーラム ホールC
全席指定¥4,500(税込)
チケットリンク: https://dadaray.lnk.to/Py3o1g

【関連リンク】
オフィシャルサイト https://dadaray.com/
オフィシャルtwitterアカウント https://twitter.com/DADARAY_?s=20 (@DADARAY_)
オフィシャルYouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCdWWMWdMyzheIyRsMxwbVEQ
ドラマ番組サイト https://www.tv-osaka.co.jp/moso_gohan/

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