きゃりーぱみゅぱみゅ、“好き”を貫いた10年のアーティスト活動 レーベル設立や生活スタイルなどの変化も

きゃりーぱみゅぱみゅ、好きを貫く活動

10年目で芽生えた挑戦の気持ち

ーー話を戻しまして、『Roots』ではOKAMOTO’Sのオカモトレイジさんとの対談も行われていました。旧知の仲ということもあって、二人ならではのトークもありましたが、中でも「最近は丁寧な暮らしが楽しい」というお話が印象的でした。そう思ったきっかけは、コロナ禍における生活スタイルの変化が大きいですか?

きゃりー:私自身アウトドアな一面も持っていて、普段はキャンプやテーマパークによく出かけるタイプなんですけど、昨年からコロナの影響もあって家にいる時間が長くなる中で、緑を全然見なくなったなと思ったんです。それでお家の近くにある観葉植物屋さんに行って、植物を育てるようになりました。そうしたら、その生活がどんどん楽しくなってきちゃって、次は日当たりのいい部屋に引っ越したいみたいに思い始めるようになって……。

ーー植物中心の生活になってるんですね。

きゃりー:はい、観葉植物が17個くらい家にあるんです。

ーーそれは育てるのも大変そうです。

きゃりー:霧吹きでの水やりはこまめにしていますが、基本的には1週間に一度の水やりで育つ種類で、今はすごくいい感じに育ってくれています。これまでみたいにワールドツアーで日本を数週間離れるような生活だったら、こういうこともできなかったと思うんです。今は、心にもゆとりがあるから丁寧に育てられていると思いますし、何かと共に生きることにすごく楽しさを感じています。

ーー2021年8月17日にデビュー10周年を迎えました。改めて、この10年での変化についても伺いたいのですが、今年1月には新しい試みとして<KRK LAB(ケーアールケーラボ)>という新レーベルを設立。レーベル名のKは、きゃりーぱみゅぱみゅと本名の頭文字であり、Rはリバーシブルを意味しているそうですね。昔は“きゃりーぱみゅぱみゅ”というイメージが大きくなっていくことで、自分自身の存在が薄くなるような感覚があったと『Roots』のインタビューでもお話されていましたが、そのバランスは今どのように変化しましたか?

きゃりー:以前よりも友達が本名で呼んでくれたり、心を許せる友達もどんどん増えていったこともあって、今はちょうど半分半分くらいですね。最近は、私ときゃりーぱみゅぱみゅの関係性って西川貴教さんとT.M.Revolutionのような感覚に近いかもしれないと思っていて。アーティスト活動は“きゃりーぱみゅぱみゅ”なんですけど、<KRK LAB>で行っているプロデュース業に関しては、ありのままの自分として挑戦したいことでもあるので、素の自分らしさが強く出ていると思います。

ーー衣装の話題の中でも世間のイメージというお話がありましたが、“きゃりーぱみゅぱみゅ”という存在が大きいからこそ苦労することもあったと思います。

きゃりー:これまで色んなことに挑戦してきたんですけど、やっぱりきゃりーぱみゅぱみゅというキャラクターが強いので、そのイメージと少し違うことをすると「路線変更したんですか?」とか、「もう派手なことはやらないんですか?」みたいな意地悪な質問を受けることもたくさんあって。そういうお話を聞くたびに、どんどん挑戦することが悪いみたいな気持ちになってきて、内側に気持ちが向いてしまうような時期もありましたね。

ーー周りの人の声が気になってしまって、立ち行かなくなるようなこともありますよね。

きゃりー:ありましたね。でも、こういうことをしたらこう思われるんじゃないか、みたいに考えている時間が一番無駄で。レーベルを立ち上げたことで吹っ切れたというか、考えるよりとりあえずやってみよう、と思えるようになったのは良かったです。

ーー世間から求められていた部分も大きいと思いますが、この10年は“音楽アーティスト・きゃりーぱみゅぱみゅ”に徹していた部分もありましたか?

きゃりー:活動初期から何でも屋さんにはなりたくないと思っていました。もともと読者モデルをやっていて、そこから音楽活動を始めたわけですが、そこから何かをプロデュースしていくとか、あれもこれもやっていくのは嫌だったんです。音楽をやるなら、そこだけに集中しようと10年間活動してきました。でも今年10周年という節目を迎えて、改めて考えてみたら音楽以外にもやりたいことがたくさんあるなと思って。今まで音楽中心に頑張ってきたらからこそ、ここからはジャンルに捉われず、色々なことに挑戦していきたいという気持ちも強くなりました。

ーー紆余曲折の10年間だったと思いますが、デビューから現在まで続けられたモチベーションはどんなものになりますか?

きゃりー:やっぱり、私の活動を楽しみに待っていてくれる方々の存在が大きいです。「新曲まだですか?」「ライブで早く会いたい!」みたいなメッセージをいただくと、すごく嬉しい気持ちになりますし、みんなの期待に応えられるように頑張ることができます。活動が空いている期間があると世間の人たちは「辞めちゃうのかな」とか、「やる気ないのかな」とか思うみたいなんですね。ただ、私としては全然そんな気持ちはなくて。どちらかというと活動自体は私個人というよりも、事務所やレーベルの方々が決めていく部分も大きいから、それでお待たせしてしまった分、これから良い作品やライブをどんどん届けていきたいです。

中田(ヤスタカ)さんは“人生のパイセン”

ーー8月17日のデビュー日には「原点回避」をリリースしました。この10年は、音楽プロデューサーである中田ヤスタカさんとの10年でもあると思います。

きゃりー:高校生の時からCAPSULEやPerfumeも聴いていましたし、当時ただのファンだった私をこれまでプロデュースしてもらえたことは、本当に嬉しいです。中田さん以外の方にプロデュースされたいみたいな気持ちは一切ないですし、これはよく言っているんですけど、もし中田さんがプロデュースから外れてしまったら私自身も辞めちゃうと思いますね。中田さんがチャンスをくれたおかげで今があると思いますし、デビューから10年間も曲を書いてもらえていることはすごく幸せです。

ーーきゃりーさんにとって、中田さんはどんな存在ですか?

きゃりー:中田さんは本当に“人生のパイセン”という感じがします。これまでの曲を思い返してみても、そこで言っていることは一貫していて。例えば「ファッションモンスター」(2012年)や「きみのみかた」(2018年)、そして今回の「原点回避」にも、「我が道をしっかり進めばいい」「ブレないことが大事」というメッセージをずっと感じています。

ーーきゃりーさんは、自分の好きなものを貫き通すことの大切さを音楽活動を通して体現してきたイメージもあります。

きゃりー:高校生時代の頃から、派手な変わっている女の子みたいな扱いをずっと受けてきました。でも、それをきゃりーぱみゅぱみゅとして歌を歌えば、世界中の人に喜んでもらえたり、こうやって10周年もお祝いしてもらうこともできました。自分がいいと思うことを貫き通すことは大事ですし、これから先もその気持ちはブレずにいきたいです。

ーーある意味、最初から通じ合う部分もあったような気もしますが、そんなお二人が二人三脚で築き上げられた信頼関係も素敵です。この10年で印象深い曲はありますか?

きゃりー:「もんだいガール」(2015年)という曲を出した当時は、週刊誌にプライベートをたくさん撮られていた時期で、それがすごいストレスだったんです。自動車教習所の仮免試験で縁石に乗り上げていることが記事になったこともあって、その時はすごく恥ずかしいと思ったし、ストーカーみたいで怖いなと感じていて、中田さんにも「私は一人の人間として見てもらえていないんじゃないか」みたいな話をしたんです。そうしたら後日「もんだいガール」という曲が出来上がって、そこに〈キライなことで笑うより ステキなことで泣きたいわ〉とか、〈ただ恋をしてるだけなの 機械みたいに生きてるわけじゃない〉という歌詞が入っていて。話をした時は普通に聞いてくれていたんですけど、それを解釈してアンサーソング的に、あの歌詞を考えてくれたと思ったら、レコーディングの時に泣きそうになりましたね。

ーーきゃりーさんが考えていることや、感じていることを自然に曲にしてくれるんですね。

きゃりー:よく自分で歌詞を書いていると思われるんですけど、まるで中田さんに私が憑依しているように、私の思いを音楽で伝えてくれている感じはあります。

ーーここからツアーが控えていますが、11年目以降はどんな姿をみなさんに見せていきたいですか?

きゃりー:ここ最近もそうなんですけど、大人っていうことにすごく囚われていて。何かしら表現する時に、まず大人っぽくしたいですみたいなことを言うんですけど、見た目を大人に寄せることって、たぶんいくらでもできるんですよ。ただやっぱり、内面がどう大人になっていくのか、その大人とは何かっていうところがすごく重要だと思うので、そこをもっと突き詰めて、魅力的なアーティストになりたいなって思います。

ーーここまで変化について色々伺ってきましたが、逆にデビューから現在まで変わらない部分をあげるとしたら?

きゃりー:ずっと梅干しが好きです(笑)。ワールドツアーの時のお供でもありますし、今でも一番美味しい梅ってなんだろうとネットで検索してお取り寄せするくらい好きです。ジャパニーズソウルフードというか、最高のご飯アイテムだと思っています。一時期、ファンの方々が色んな梅干しをくれて、毎日パクパク食べていたら、塩分の取りすぎで少し具合が悪くなったんですよ。でも、それを乗り越えて、今もめっちゃ好きですね(笑)。

■配信番組情報
『Roots −きゃりーぱみゅぱみゅ−』
アーカイブ配信中
出演: きゃりーぱみゅぱみゅ

「Roots」番組HP&公式SNS
公式HP:https://video.dmkt-sp.jp/ft/p0002273 ⇐視聴はコチラから
公式SNS:https://www.instagram.com/roots_dtv/

■リリース情報
中田ヤスタカプロデュース Digital Single『原点回避』
配信中
配信サイト:https://lnk.to/GENTENKAIHIPR

きゃりーぱみゅぱみゅ 公式サイト:http://kyary.asobisystem.com
きゃりーぱみゅぱみゅ10周年特設サイト:http://kpp10.jp
きゃりーぱみゅぱみゅ OFFICIAL Twitter:https://twitter.com/pamyurin

サイン入りプレゼント

きゃりーぱみゅぱみゅ サイン入り10周年記念ポストカード(非売品)を1名様プレゼント。応募要項は以下の通り。

応募方法

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<締切:9月12日(日)>

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