SUPER★DRAGON 古川毅、影響を受けた俳優を語りまくる 憧れる3人の“超役者”

■役所広司

 最後は役所広司さん。大ベテランで僕がオンタイムで追えている活動はほんの一部ではありますが、もう手放しに尊敬しかない“百獣の王”というイメージです。最近だと『すばらしき世界』は映画館で観ましたし、2018年の『孤狼の血』は僕のベスト映画の一つで、とんでもないもの、“超役者”を観てしまったという今までに味わったことのない感覚を覚えました。

 役所さんは暴力団捜査係主任の大上章吾役で、暴力なんてあたりまえ、取り調べ中の女性とセックスはするし、商店のおばあちゃんにお金握らせて情報を取ろうとするし、事件の証拠になりそうな防犯カメラのテープを手に入れるために放火まで。もうめちゃくちゃなんですけど、実は街や堅気の人たち、仲間のことを誰よりも大切にしている一面もある。いつもは暴力的で豪快な大上が、時折顔を見せる孤独や優しさにグッと引き込まれます。

 そして最後には、あれだけ強かったのに豚の糞を食べさせられてボコボコに殴られて、無残な死に方をする。死体が海に浮かぶシーンはただ気持ち悪くて残虐だからっていう次元じゃなくて、心底目も当てられないんです。そこまで感情を揺さぶられるのは、役所さんの演技あってのことで、役作りや演じ方って、人それぞれだし誰も役所さんにはなれないけど、俳優としての正解を見せられたような気持ちになりました。もしいつかお会いすることができたら、聞きたいことが山ほどあります。

 ちなみに、役所さんが殺された養豚場で働く薬物中毒の善田大輝を演じているのは、僕らSUPER★DRAGONの振り付けを担当してくださったこともある岩永ジョーイさん。『孤狼の血』は続編『孤狼の血 LEVEL2』がこの記事が出る頃には公開になるので、すごく楽しみです。

 というわけで、今回は僕が尊敬している俳優さん、そして映画のことについて“カタリタガリ”しましたがいかがだったでしょうか。窪塚さんのところで言いましたけど、素晴らしい俳優って、まぎれもなくその人だけどその人じゃない、個性を圧倒的に役に活かすことができるというか、役のための個性というか、それを観た誰かを突き動かしているのは役でありその人でもある。僕もそこまでいけたらなって、思う日々です。

 それに対してSUPER★DRAGONで音楽をやっているときは、もちろん自分の存在は曲やグループのためにありつつ、自分そのものを表現に昇華していくようなイメージで、そういう意味では違いはあるんです。けれど、俳優って完全に自分にはない視点からも人の気持ちを考えなきゃいけないし、自分一人の人生だとぜったいに経験しないような役も回ってくるので、そこで得たことはメンタル的にも表現としても、必然的に音楽に返ってくる。俳優も音楽もやる今の僕の状態は、二つの顔ともシームレスであるとも言える。今はそんな環境がすごく刺激的でありがたくて、これからもどんどんいろんなことに挑戦したいと思っていますので、よろしくお願いします。

合わせて読みたい

『毅の“カタリタガリ”』第1回 シーンを動かした4人のボーカリスト
『毅の“カタリタガリ”』第2回 影響を受けた“歌詞”
『毅の“カタリタガリ”』第3回 “ファッションと音楽”
『毅の“カタリタガリ”』第4回 表現のインプットとなった3組
『毅の“カタリタガリ”』第5回 新たなスタンダードを築くアーティスト4組

古川毅 Twitter:https://twitter.com/tsuyoshi__0227
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