SUPER★DRAGON 古川毅、影響を受けた俳優を語りまくる 憧れる3人の“超役者”
■山田孝之
山田孝之さんは事務所の先輩。と言っても実際にお会いしたことはありませんが、一方的に俳優として、人間として尊敬しています。最初に山田さんの存在を知ったのは映画『クローズZERO』でした。県内の不良が集まる鈴蘭高校で、未だかつて誰も獲ったことのない“てっぺん”を目指す男たちの話。山田孝之さんはその“てっぺん”にもっとも近いと言われている芹沢多摩雄の役で、転校してきた小栗旬さん演じる主役、滝谷源治と壮絶な一騎打ちを繰り広げるんです。僕は二人とも大好きで、一時期滝谷を真似てウォレットチェーンをつけて“いきり散らかしている風”でした。芹沢も滝谷も別にいきってないんですけど(笑)。
芹沢は野生味とか色気とか愛嬌とか、いろんなかっこよさを持っていて、例えば「貧乏人はつえーぞ」ってさらっと言うところとか、すごく味があっていいんですよね。僕の地元でも、貧乏かどうかは置いといて、都心からは離れたストリートのにおいがする、優しくておもしろくて強い奴は人にモテる。「俺もあんなふうになりてえな」とか思いながら『クローズZERO』の芹沢を照らし合わせると血がたぎってきて、でも喧嘩とかはしないしできないから、けっきょく憧れは憧れのままっていう(笑)。とにかく僕の青春時代をもっとも彩ってくれた映画でした。
ほかの山田さんの出演作だと、映画『凶悪』とか、ショートフィルム『点』も大好きで、深夜のテレビドラマ/映画の『闇金ウシジマくん』シリーズ、Netflixの『全裸監督』なども観ましたし、とにかく役や作品のテーマの振れ幅がすごい。監督としても活動されていますし、最近だと「MIRRORLIAR FILMS」という短編映画プロジェクトも立ち上げられました。そしてそれらの活動の一つひとつに山田さんの“意志”があるんです。単に才能があって声をかけられたからいろんな仕事をこなしているわけではない。
転機は『クローズZERO』で、それまでマネージャーさんの意向で主役が多かったところから、芹沢という主役ではない立場を自ら選んだことだったらしいんですけど、役に思うことから始まって、日本の映画界や芸能界のシステムに感じることなど、常に業界全体のことを考えて活動されています。それってある意味アンチテーゼだからリスクもある。けれど山田さんはただ不満を言うだけでなく、そこにアクションがともなっている。そのシステムがずっとそこにある状況にも理由があるから、じゃあどうやって不備を解消して一歩進めるかを考えて実際に動かれているから、多くの人が惹かれるんだと思います。
今は、芸能だけに限らずどんな世界でも若手だからって変な我慢をする必要はないと思うし、実力や代替案がないなら黙れっていう風潮にも疑問はあって、言いたいことは言えばいいと思うんです。でもそれって、言い換えれば若手というところに逃げない覚悟も必要だということ。短絡的になんでもかんでも言っていたらただのわがままになる。そこで山田さんのような方の、積み重ねてきた歴史や想いがあるからこその言葉やアクションは、本当に勉強になります。知名度による拡散力とかそういうことじゃない、本質的な重みや影響力。僕もただ売れたいとかそういうことではなく、ちゃんと強い気持ちが持てるようにやっていきたいです。