『FANTASTIC VOYAGE』インタビュー
FANTASTICS、2ndアルバムで見せる“新しい表情” ワンカット撮影からボカロPとの初共演まで、制作秘話を語り尽くす
この1年は、グループでの主演ドラマ『マネキン・ナイト・フィーバー』(日本テレビ系)や地上波初冠番組『FUN!FUN!FANTASTICS』(日本テレビ系)、リーダー2人を除くFANTASTIC 6によるエンターテインメントショー『BACK TO THE MEMORIES』など、チャレンジングな試みに取り組んできたFANTASTICS from EXILE TRIBE(以下、FANTASTICS)。8月18日にリリースされた2ndアルバム『FANTASTIC VOYAGE』には、EXILE/GENERATIONS from EXILE TRIBEで活躍するパフォーマー・白濱亜嵐がクリエイターとして参加したリード曲「Drive Me Crazy」や、LiSA「紅蓮華」を手がけたシンガーソングライターの草野華余子&ボカロPの市瀬るぽとのコラボ楽曲「DiVE」などが収録されているとともに、この1年の経験を通して表現の振り幅をグッと増した仕上がりとなった。今年開催された全国ツアー『FANTASTICS PROLOGUE LIVE TOUR 2021 “FANTASTIC VOYAGE” ~WAY TO THE GLORY~』の振り返りも含めて、メンバー全員に語ってもらった。(古知屋ジュン)
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「亜嵐がFANTASTICSをイメージした曲に仕上げてくれた」
ーー1stアルバム『FANTASTIC 9』は2019年のツアー『FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE』のセットリストとリンクした内容になっていたと思いますが、今回の2ndアルバムのテーマはどういうものだったんでしょう?
世界:ひと言でいえば“次への旅”ですね。タイトルの“VOYAGE”の通り、FANTASTICSが次へ向かっていく感じのアルバムになっているかなと。
佐藤大樹(以下、佐藤):自分たちがネクストステージに駆け上がるための第一歩、かつターニングポイントになればいいなと思っている作品なので、そういう思いを込めて作らせてもらいました。1stアルバムは名刺代わりというか、メジャーデビューからの1年で頑張って作ってきた楽曲を並べた形でしたけど、今回はメンバーで曲順を決めたりしながら、「僕ら、こういうジャンルの楽曲もあるんですよ」という新たな一面も掲示できるようなアルバムになっていると思います。
ーー年始に公開された「機動戦士ガンダム40周年記念 ガンダム×KEN OKUYAMA DESIGN×LDH JAPAN “G40プロジェクト”」のスペシャルムービーテーマ「TO THE SKY」など、新録曲4曲が収録されていますね。リード曲「Drive Me Crazy」にはクリエイターの一人に白濱亜嵐さんが参加されていますが、どういったきっかけだったんでしょうか。
世界:亜嵐とはEXILEの現場で一緒になることが多いのですが、これまでにも「FANTASTICSの曲作ってよ」みたいなことをノリで話していたんです。そうしたらGENERATIONSの作品候補でもあった「Drive Me Crazy」がアルバムのリード曲として浮上してきて。僕らの知らないところで亜嵐が動いてくれていて、FANTASTICSをイメージした曲に仕上げてくれたみたいです。
ーー今までのFANTASTICSのラブソングのイメージを一変させるような、セクシーで熱っぽいニュアンスが歌詞やサウンドからも伝わってきます。
中島颯太(以下、中島):今回はMayu Wakisakaさんに初めて歌詞を書いていただいたのですが、女性を誘うようなちょっと大人のFANTASTICSをイメージして作ってもらったんです。レコーディング当日にWakisakaさんと(作曲の)T.Kuraさんがいらっしゃって、デモ段階ではオケだけだったイントロ部分に「セリフや歌をちょっと入れちゃおうか?」みたいな感じで、レコーディングしながら新たなエッセンスが加えられていって。僕らもそういうクリエイティブな部分に携わらせてもらって、すごく思い入れの強い曲になりました。
ーーサウンド的にはファンクやハウスの要素がミックスされていて、グルーヴが強調された印象ですが、レコーディングで歌ってみていかがでしたか。
八木勇征(以下、八木):FANTASTICSとしては初めてのハウス調の楽曲なので、レコーディングではこれまで歌ってきた楽曲で得た引き出しも開けつつ、いろんなアプローチを試したんです。たとえばBメロであえて普通のメロディより少しタメを作って歌うようにしたことで、今までになかったようなグルーヴが生まれたりしました。前回のアルバム曲もどれもよかったのですが、今回はさらに成長を感じてもらえるような仕上がりになったんじゃないかなと思っています。
中島:リズムをすごく立たせた曲なので、トラックに負けじとリズム感を出せるような歌い方を自分たちなりに研究して、じっくり録ったんです。ラップが入ったかと思えば、ちょっとテンポを落として爽やかに歌うところもあったりするので、その緩急を意識したいなと思っていました。T.Kuraさんにディレクションしていただきながら、サビはみんながノリやすいような持って行き方にできたと思いますし、個人的にもこの1曲の中でいろんな表情を出せたのかなと思います。
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ーーMVでは、見る人を引き付けるようなストーリー性と緻密さに圧倒されます。
世界:監督の関(彩乃)さんが曲を聴いてイメージしてくださった「FANTASTICS全員で一人の女性をどうにか口説いて落としにかかろうとする」というストーリーがすごくハマっていて、そこを振り付けで見せたいというオーダーがあったので、それも踏まえて構成を考えました。
佐藤:これがリード曲ということもあって、新たなFANTASTICSを表現できるようにしながら、同時に“ダンスで魅せる”ことをかなり意識して撮影していました。約2分半、ワンカットの撮影だったので、途中でミスしたら頭からやり直しで。正直、相当苦戦しました(笑)。
世界:ワンカット風とかではなくガチのワンカットだから、途中でミスしたメンバーが踊りながら「やっちゃった顔」になっていたのがまた面白くて(笑)。
木村慧人(以下、木村):僕のパートの小道具でバラの花を使ったのですが、そのバラが踊っていたらポキッと折れてしまったり(笑)。他にもよく確認したら人が映り込んでいたりとか、いろいろ事件がありました。
瀬口黎弥(以下、瀬口):自分的にはいつもよりさらにクールに見せられるようにと心掛けて、マイケル・ジャクソンになったくらいの気持ちで取り組みました。1人失敗したら撮り直しという緊張感溢れる現場だったので、集中力が半端なかったです。
澤本夏輝(以下、澤本):撮影前日も現場に行ってリハーサルしたり、全員かなり気合いを入れて撮影に臨みまして。もうお互いにプレッシャーを掛け合ってました(笑)。
堀夏喜(以下、堀):でもワンカットにしたことで、スピード感のある構成になりましたし、大人っぽくてエレガントなFANTASTICSを表現できたんじゃないかなと思います。
澤本:女性を追いかけている目線の僕たちを感じることもできますし、見ている人が追いかけられている気持ちにもなれます。
ーー先ほど話に出ていた振り付けについても、少しお聞きしたいです。
世界:今回の振り付けにはヒップホップだけじゃなく、ロックやハウスの要素などいろいろ入っているので、ちょっとしたダンスの勉強にもなるんじゃないかと思います。大まかにいうとオールドスクールな要素を盛り込んでいて、やっていることはものすごくシンプルなんですが、見せ方とかそれぞれのダンススキルでカッコよく見えるようには意識しています。一人ひとりがメインになるシーンが多いMVなので、その振り付けも見どころですね。
佐藤:ワンカット撮影の中でシチュエーションに沿った振り付けを考えてもらったので、毎回頭が上がらないんです。今回、僕と慧人がバラを奪い合うシーンがあるのですが、そこは僕が躍動感を意識しつつ振りを作っています。
世界:アウトロ部分は僕がメインということで、亜嵐が作ってくれた音をいい感じに表現できたかなと思います。曲の最後でみんなが疲れているところに、追い討ちかけるように振り付けました(笑)。
木村:この部分のパフォーマンス、過去一の速さだと思います!
堀: ダンスの音ハメにも注目してもらえたら嬉しいよね。
瀬口:全体的に細かくスタイリッシュな仕上がりの中にも、ちょっとポップなユニークさが入っているところがポイントかと思います。
木村:あと今回はフォーメーションがかなり変わっているので、それに合わせた振りがポイントかもしれないです。冒頭の肩を回して全員で踊っているところはオシャレだし、見ている皆さんも真似しやすいかなと思います。
ーーボーカルのお二人もかなり踊っていますよね。
八木:僕ら2人もフォーメーションに入って踊ってるので、その部分でもしっかりと魅せられるように気合いを入れて臨みました。ラスサビには特に注目してほしいです!
中島:今回は移動しながらの振り付けなので大変でしたけど、映っていない人も裏で大移動しています。誰かしらがどこかで爆走してる様子をメイキングで見ると、かなり面白いんじゃないかなと思います(笑)。
ーーFANTASTICSは、もともとダンスに関しては職人集団というイメージがありましたが、今回のMVでは皆さんの表情の豊かさも際立っている印象がありました。
佐藤:撮影に入る前にEXILE HIROさんから「照れずにとにかくカッコつけてください!」と熱いメッセージをもらいまして。ダンスに加えて、その時の感情を表情で魅せるという引き出しも、それぞれ格段に増えた印象があります。ホールツアーももちろんですが、『マネキン・ナイト・フィーバー』や『BACK TO THE MEMORIES』の経験が活きたのかなと感じています。でき上がったMVでメンバーを見て「こんな表情できたんだ?」とか「こんな顔して踊ってたんだ!」とか初めて気づく部分も多かったし、同じメンバーとして自分も負けていられないと感じた瞬間でもありました。
世界:メンバー全員が主役であり、MVPという感じです。2019年に芝居に初挑戦したメンバーがいたり、2020年には全員でドラマ主演させてもらったりと、ここ数年で歌とダンス以外の表現方法が少し身についたことで、大人の恋愛を演じる“表情力”が発揮できたのかなと思います。
ーーなるほど。他の新曲に関してもお聞きしたいんですが、「Summer drops」は王道の夏ソング的なイメージがあります。
中島:サウンド的に本当に爽やかなポップチューンなので、自分たちもそれに合わせた歌い方をしています。サビは特に一度聴いたら忘れられないようなメロディラインで、実際にパフォーマンスするときは表情もつけながら歌えたらと思っています。
八木:「Flying Fish」も夏をイメージさせる曲ではあったんですが、ここまで直接的に夏を表現している楽曲はFANTASTICSとしては初めてなんです。「Flying Fish」は爽やかで声も少し軽かったと思うんですが、「Summer drops」ではしっかりと芯があるような歌い方にアプローチを変えました。ライブでやったら、お客さん全員が楽しめるような楽曲じゃないかなと思います。