新体制の私立恵比寿中学、進化し続けるパフォーマンスとハーモニー 『THE FIRST TAKE』通じて新たなファンも獲得
結成12年を迎えたアイドルグループ・私立恵比寿中学が今、新しいステージに進みつつある。2021年の年明けから行われたオーディションを経て、5月5日には桜木心菜、小久保柚乃、風見和香の3人の新メンバーが加入して9人体制へと移行。そして2020年10月から悪性リンパ腫の治療で活動休止していた安本彩花も4月に寛解を発表し、7月16日にYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』でメディア復帰を果たし、注目を集めている。
新たなムーブメントの発信地『THE FIRST TAKE』は、歌唱力が純度高く問われるコンテンツだ。7月16日に公開された「なないろ」の一発撮りパフォーマンスは新メンバー以外の6人が参加し、それぞれのボーカリストとしての魅力が最大限に発揮されていた。真山りかの凛々しい歌声、星名美怜の情感たっぷりの歌声、柏木ひなたの芯の強い歌声、小林歌穂のたおやかな歌声、中山莉子の弾ける歌声、そしてそこに279日ぶりに加わった安本彩花の優しく清らかな歌声。衣装通りの彩り豊かで個性的な歌声が集結し、洗練されたハーモニーで魅了するという今の私立恵比寿中学を強く証明する映像だ。
「なないろ」という選曲にもファンの間では歓喜が溢れた。活動初期から縁深い池田貴史(レキシ)が作詞作曲を担当し、2017年に急逝したメンバー・松野莉奈への想いが込められたとされる楽曲であり、今回の動画が公開された日も彼女の誕生日である。彼女の存在が今なお私立恵比寿中学に息づいていることを強く感じさせると同時に、今回のパフォーマンスで安本彩花の復帰を祝する意味も付与されたように思う。〈はじまりはキラキラ 走り出せ私から〉というフレーズが、新たに強い意思を持って歌い直されていた。
7月28日に公開された「ジャンプ」では「なないろ」から一転、黒で統一した衣装でシリアスな楽曲世界を体現した。作詞作曲を担当した石崎ひゅーいのアコギに乗せ、躍動的なメロディを丁寧に辿りながら感情を剥き出しにする歌唱は驚異的だ。ただ正確で巧いというだけでなく、様々なジャンルの音楽に融和できる表現力も私立恵比寿中学の強みである。2本の動画の再生数は240万回を突破し、今なお大きな反響を呼んでいる(8月12日現在)。
「King of 学芸会」と称され、かつては「キレのないダンスと不安定な歌唱力」というキャッチフレーズを掲げていたことも忘れるほどにファンの間ではすでに浸透した彼女たちの歌唱力。『THE FIRST TAKE』を機に私立恵比寿中学に出会ったリスナーは初期の音源を聴いたり、ライブ映像を観たりするときっと驚くはずだ。どのようにこの強靭なパフォーマンスに辿り着いたのか興味を持つに違いない。新体制を間近にした今、「なないろ」と「ジャンプ」から遡り、彼女たちの歩みを知る良いタイミングだろう。実際、7月22日にグループの公式YouTubeチャンネルで公開された「なないろ」のライブ映像には「『THE FIRST TAKE』をきっかけにハマった」という新規ファンからのコメントが相次いでおり、チャンネル登録者数も増加している。