Snow Man『おそ松さん』、KinKi Kids『人間・失格』、嵐『ピカ☆ンチ』……活動の弾みとなる全メンバー出演のジャニーズ作品

 2022年春に公開予定の映画『おそ松さん』にSnow Manのメンバー全員が出演する。8月3日の発表直後から反響が寄せられ、早くも大きな注目を集めている。

 デビュー後、グループ全員で出演する機会もそう多くはないだけに、貴重な作品となることだろう。本稿では、このSnow Man ×『おそ松さん』同様、過去ジャニーズのグループメンバー全員が出演した作品にフォーカスしていく。

 ジャニーズの歴史のなかで、メンバー全員が出演した作品の先駆けとも言えるのが、SMAP主演、1994年公開の映画『シュート!』だ。原作は『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載された同名作品で、高校のサッカー部を舞台にしたスポーツ漫画だ。1992年に開幕したばかりのJリーグブームも相まって、サッカー人気が高まるなかでの実写作品は、当時ヴェルディ川崎(現:東京ヴェルディ)に所属していた人気選手、ラモス瑠偉、武田修宏、藤吉信次が登場したほか、後にV6としてデビューする井ノ原快彦、長野博、さらにKinKi Kidsの堂本光一と堂本剛も出演している。

 また、1999年に新春スペシャルで放送された『古畑任三郎 vs SMAP』(フジテレビ系)では、SMAPメンバーが劇中に登場するSMAPをそのまま演じた。メンバーの個性やグループとしての変遷も加わり、すんなりと作品の世界に入り込むことができる、まさにこのリアルさはメンバー全員出演だからこその臨場感、醍醐味といえるだろう。

 また、V6も1995年にドラマ『Vの炎』(フジテレビ系)でメンバー全員で初主演を飾ったほか、2003年には映画『ハードラックヒーロー』に6人揃って出演。料理店の経営者の事情により、突如キックボクシングの試合に駆り出された岡田准一扮する浅井タカシ。だが、負けるはずだった試合に勝ってしまい……そこからドミノ倒しのように逃走劇が始まる。メンバー全員のキャラクターが活かされた同作品は、ハラハラしたり、森田剛、三宅健がそれぞれ演じた藤田ケンジと工藤ユウジの友情など“シンメ”の演技に胸が熱くなったりと、改めてV6全員が俳優であることを確信できる映画となっている。

 ジャニーズ唯一のデュオであるKinKi Kidsが揃って出演したのが、1994年放送のドラマ『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』、1996年放送『若葉のころ』(共にTBS系)。高校生とはいえそれぞれ複雑な事情を背負った役どころで、CDデビュー前のアイドルとはなかなか結びつかない重いテーマを演じた。当時としても珍しいデュオという形で、アイドルらしからぬデビュー曲「硝子の少年」のインパクトも含め、異彩を放ってきたKinKi Kids。その後、1997年には『ぼくらの勇気 未満都市』(日本テレビ系)で主演を務め、同作には当時人気だったジャニーズJr.の小原裕貴、相葉雅紀、松本潤が出演。堂本光一演じるヤマトの「20年後の今日、俺たちでまたこの場所に集まろう」の言葉どおり、20年後の2017年には『ぼくらの勇気 未満都市2017』(日本テレビ系)が放送された。

 結束力の強さで知られる嵐も、1999年に『Vの嵐』(フジテレビ系)のほか、2002年〜2004年には映画『ピカ☆ンチ』シリーズに出演。同シリーズはV6・井ノ原の実体験を基にした作品で、団地を舞台に幼なじみの5人それぞれの人生を描いた群像劇だ。ジャニーズタレントの実体験をモチーフに、それを1組のジャニーズグループ全員が主演する形でシリーズ展開されたのも革新的であった。

 一方、関ジャニ∞もファンクラブ会員向けのコンテンツから関ジャニ戦隊∞レンジャーが誕生し、コンサートでコントを披露したほか、2012年には映画『エイトレンジャー』が公開されるなど、ファンと共に歩んできた作品と言えるだろう。また、スマホゲーム『キャンディークラッシュソーダ』では、超人気ガールズユニット“キャンジャニ∞”として出演するなど、例えCMでも振り切った展開を見せるのがなんとも関ジャニ∞らしい。

 こうしたグループ/デュオ全員が揃って主演する作品が実現するのも、グループ自体での活動、そしてメンバーの関係性があってこそ。楽曲のパフォーマンスやバラエティ番組にはない、個々のキャラクターの細かい部分も知ってもらえるチャンスであり、グループ、ソロ活動の両方に弾みをつける機会でもあったはずだ。

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