lynch.、オーディエンスの“心の声”で埋めた空白 一年越し『ULTIMA』ツアー最終公演をレポ
ライブは終盤戦、会場の興奮もピークへ。「さっき、拍手をたくさんください、なぜなら気持ちいいからと言いましたが、もっと気持ちいいことしませんか?」と葉月がけしかけると「pulse_」へとなだれ込み、会場の盛り上がりも同時に最高潮を迎える。そして、「次の曲はみんなの声が出せるようになるまで絶対にやらないと思ってました。だけど、みんなの“心の声”があれば大丈夫ってことがわかりました」と葉月が話したのはこのツアーのセットリストで必ず本編ラストを飾ってきた「EUREKA」。元々、この曲はシンガロングをするパートがあり、ライブでそのパートをオーディエンスが担うことで初めて楽曲が完成するはずだった。しかし、前述のとおり観客の声出しは禁止。それでも彼らはこの逆境をはねのけ、全公演で「EUREKA」を披露し、オーディエンスは“心の声”でその空白を埋めたのであった。
アンコールは和やかなMCをはさみ、ライブ初披露となった「WALTZ」からスタート。つづく「ALLIVE」で会場のボルテージを上げると、「JUDGEMENT」では悠介から玲央(Gt)へとギターソロを繋ぎ、最後は明徳(Ba)へとバトンを渡す場面も見られた。そこからさらに間髪入れずに「お前らのその頭、俺によこせ!」と葉月が吼え、「FAITH」のけたたましいイントロが響くと、理性のたがが外れたオーディエンスはヘッドバンギングで応戦。そして、アンコールを「EVOKE」で締めくくるも、それでも鳴りやまないアンコールに対してダブルアンコールを用意。「俺らとお前らの絆を歌います!」と「ADORE」をプレイし、この日のラストナンバーとした。
「この場所を守る」――このツアーで葉月が再三口にしていた言葉だ。ライブをやることも、ライブをやらないことも、正解にも不正解にもなりえるこの情勢において、彼らはこの場所を守るために、たとえそれが思い描く理想のものではなかったとしてもツアーの開催を決めた。そのなかでこのツアーで見せた完成形ではない「EUREKA」はある種の希望であり、我々はこの歌を完成させるという使命を授かったといっても過言ではない。そのためにlynch.は、彼らを愛する者たちは、この場所を守らなければならない。そして、近い未来この「EUREKA」の空白が埋まったときに『ULTIMA』は本当の意味で完成するのだ。
■ライブ情報
『deadman+lynch. 「デビッドリンチ2021」』
9月9日(木)Zepp Nagoya 開場17:15 開演18:00
(問)ズームエンタープライズ052-290-0909
9月16日(木)Zepp DiverCity(TOKYO)開場17:15 開演18:00
(問)サイレン・エンタープライズ 03-3447-8822
=Ticket=
全席指定8,000円(税込/D別)
※未就学児童入場不可
※申込者および同行者の個人情報を事前にご登録いただきます