ぜんぶ君のせいだ。もとちか襲、素直な自分であり続けたい理由 “誰かのため”に生きることで芽生えた覚悟とは?

ぜん君。もとちか襲、誰かのために生きる覚悟

 ぜんぶ君のせいだ。が7人の新体制となり、本格的な再スタートを切った。2020年夏にメンバー脱退や活動休止という大きな節目を経て、一時的にグループは如月愛海と征之丞十五時の2人だけに。そこへ甘福氐喑、もとちか襲、雫ふふの3人が加入し、同年11月には新5人体制でのお披露目ライブを行った。さらに2021年になると、新たにメイユイメイ、个喆の2人が加入し、現7人体制でのぜんぶ君のせいだ。が誕生した。

 編成は大きく様変わりしたわけだが、グループの本質は驚くほど変わっていない。孤独で居場所のなかったメンバー同士で支え合い、患い(ファンの総称)一人ひとりと目を合わせながら全身全霊で前へ進んでいく、その姿勢はますます揺るぎないものになっているのだ。最新の7人の声は『Q.E.D. bi』でのインタビュー(参照:ぜんぶ君のせいだ。、寄り添うことで発揮される7人の個性 『Q.E.D. bi』に刻まれた葛藤と成長を語り尽くす)に掲載されているが、各メンバーの個性的なキャラクターやグループでの役割をさらに深く探るべく、リアルサウンドでは7人へのソロインタビューを行っていく。

 第5回目は、もとちか襲が登場。加入後すぐから高い歌唱力やパフォーマンス力を発揮し、ステージ上では強い存在感を放っている彼女だが、「別に歌って踊りたかったわけじゃなくて、とにかくぜんぶ君のせいだ。に入りたかった」(※1)というほど思い入れが強かったのだという。果たして、襲はぜん君。から何を受け取り、なぜそれほどまで“ぜん君。になること”を志したのだろうか。これまでの人生や家族との関係にも触れながら、何事も一人でこなしてきたという襲が、7人のぜん君。で伝えていきたいことをたっぷり語ってもらった。(編集部)

「どこか空っぽで、満たされてない感情が強かった」

ーーぜんぶ君のせいだ。への加入が発表されたのが2020年9月30日だったので、そこからもうすぐ1年が経ちますけど、今はどんな心境ですか。

もとちか襲(以下、襲):加入してすぐ47都道府県ツアーも始まったので、最初のうちはとにかくがむしゃらにやっていました。その時よりは少し余裕ができてきたので、毎日いろんなことを勉強している感じですね。

ーーご自分の個性を出せるようになってきたのは、いつ頃からだと思いますか。

襲:メイこて(メイユイメイ&个喆)が入ってからかもしれないです。5人体制だった頃とは違って、経験も場数もずっと上の2人が入ってきたことで、自分の意識もはっきりと変わりました。メイこてと同じステージに立つわけだから、ライブで負けたくないなって。

ーー襲さんはもともと負けず嫌いな性格なんでしょうか。

襲:どちらかというと、「どうしよう、どうしよう」って焦ってる姿を人に見られたくないんですよ。甘福氐(喑)は努力家だし、負けたくないっていう気持ちをパッと出せる人なんですけど、私は心の中でしたたかにそう思っているタイプなので、見えないところでめっちゃ練習するというか……。どちらかと言えば1人で没頭したい方なんですね。みんなで足並み揃えて練習しつつ、家に帰ってから「よし、今から本気出して練習するぞ」みたいな(笑)。負けず嫌いと言えば、負けず嫌いなのかもしれません。

ーーそもそも襲さんは、どうしてぜん君。に入りたい気持ちが強かったんでしょうか。

襲:最初のきっかけはYouTubeで「Cult Scream」のライブ映像を見たことですね。「なんだこれは!?」と思いました。アイドルとか女性グループに関心がなくて全く触れてこなかったので、なおさら衝撃を受けたんです。「私のイメージしてた女性グループじゃない!」って(笑)。明るい曲や流行りの曲ってそんなに好きじゃなかったし、ぜん君。のドンって来る重いメロディがめっちゃいいなと思って惹かれました。孤独のことを題材にしている曲が多いし、万人受けを重視してない、刺さる人にはすごく刺さる部分が自分には響いたのかなと思います。

ぜんぶ君のせいだ。”Cult Scream” Official LIVE MOVIE

ーーそういう孤独な部分を自分に見出したのはいつ頃なんですか。

襲:まず一人っ子なので、小さい頃から何事もずっと一人だったなって今思いました。幼稚園の頃もみんなでわちゃわちゃした記憶ってあまりないし、小中高と満遍なくやりたいことはやってきたつもりですけど、ふとした時に孤独を感じていたのかもしれないです。満たされてない感情が強くて、目標とか継続してやっていることが全くなかったので、どこか空っぽだなっていうのはずっと思っていました。熱中できるものがあったら、きっと日常生活が鮮やかになっていただろうなって。

ーー常に何かしらはやってきたけど、振り返った時に、情熱を注いだり成し遂げてきたことがあったかというと、特になかったと。

襲:そうですね、全くなかったです。けど何不自由なく過ごしていて、不満はなかったんですよ。本当に嫌だったら何か行動していたかなと思うので、そういう自分を受け入れていたんだと思います。成長していくにつれてどんどんひねくれてしまったので、大人数の部活とか苦手になっちゃって、周りから外れていきました。

ーー強いて言うなら、何か好きだったものってあるんですか。

襲:うーん……音楽聴きながらお散歩とかですかね。

ーーやっぱり一人なんですね(笑)。

襲:本当だ、一人(笑)。時間だけは有り余るほどあったので、暇すぎてよくお散歩していたんですけど、そういうときは常に音楽がありましたね。

ーーどういうものを聴いていたんですか。

襲:暗い曲とか、重低音がすごい英語のラップとか。ラップって言葉が強いし、生き様をめっちゃぶつけたりしているじゃないですか。何を言ってるかわからなくてもいいから、ただその音楽が自分の中に入ってくる感覚が好きだったんです。

「家族総出で武道館まで連れて行きたい」

ーーそういう中で「Cult Scream」でぜん君。に出会って、すぐオーディションまで受けようと思ったんですか。

襲:はい。知ってから数カ月後くらいに、偶然オーディションをやっていて。私って単純なので、「ここがいいから入る!」みたいな感じでしたね。

ーー即決だったと。ぜん君。の曲を聴いて、どういう人たちだと思ったから決断できたんでしょうか。

襲:とにかく伝えたい人たちなのかなって思いました。歌で伝えようとするのって、いろんな歌手の人がやるとは思うんですけど、ぜん君。は姿勢とか叫びとか、己の言動すべてで伝えようとしている気がして。映像を見ていたら、それを受け取った患いさんも前に前に行く感じだったので、とにかくそういうものに出会ったことがなくて、衝撃だったんです。

ーーいざ自分がその立場になってみると、何を伝えたいって思いましたか。

襲:今でも何を明確に伝えたいかって言われたら難しいんですけど、孤独とかぼっちとかを題材にしつつも、ライブの時はいろんな感情をそのまま伝えたいですね。「独唱無題」とか「無題合唱」の時って本当にみんな泣いてるんですけど、大勢の前で泣き顔とかぐちゃぐちゃな姿を見せることって、普段あまりないじゃないですか。でも、ライブではそこも見せたりしますし、そう思っていたら急に勢いのある曲に変わって「来いよ!」みたいな感情になったりするので、弱さも強さも、離さないっていう気持ちも、いろんなことを素直に伝えたいって思います。

ーー人前で見せたくなかった部分も、ぜん君。では出していった方がいいんだなって気づくことで、自分の新しい一面に気づいたこともありましたか。

襲:めっちゃあります。日常的にみんなで一緒に作業したりするんですけど、私、昔は本当にそういうことができない人だったんですよ。やってこようとすらしなかったんですけど、やってみると「あれ、意外にできるんじゃない?」みたいな。次から次へと忙しいスケジュールでも、なんだかんだ結局みんなでやり遂げますし、そのたびに自己肯定感が湧いて自信がつくので、やっぱり何事も勉強だなって思いますね。

今村伸秀(コドモメンタル社長):お父さんもめっちゃ言ってたもんね。襲をぜん君。に入れるために親御さんとたくさん話し合ったんですよ。なんならお父さんとちょっと喧嘩しましたから(笑)。「襲は本当に一人で生きてきたから、絶対みんなに迷惑をかける」みたいなことを言われたんだけど、俺は全然そんなふうに思わなくて。案の定、今だって普通に楽しそうにやってるから。

襲:一人っ子な上に、おじいちゃんおばあちゃんも一緒に住んでいたので、家族に見られる目が多かったんですけど、私がそれに反して好き勝手やっちゃってたので、親としては余計に心配じゃないですか。「こんなに学校行かなくていいの?」「就職する気あるの?」みたいな。だから急に私が「東京行ってグループで活動するから」って言っても、「はあ?」っていう感じだったと思うんです。

ーーなるほど。

襲:めっちゃ困らせちゃって、家族は猛反対だったんですよね。でも、私が本気でやりたいことだから、どうしても家族に納得してもらってから東京に来たかったので、説得しました。今までと違って「家族のことも背負ってやるぞ!」くらいの気持ちだったので、絶対に納得させようと思って、結果的に予定より1カ月くらい遅れての上京になったんです。今では毎日LINEとか電話するくらい仲良いんですけどね。私が親元を離れて、一人でやってる時点でもう感動なんですよ(笑)。「上京したらまた自信をなくしちゃうんじゃないか」みたいな心配もあったと思うんですけど、私がこうして前しか向いていないことを喜んでくれていますし、今ぜん君。の活動をできているのは、家族とか周りの人がいてくれるからこそだなって。地元にいた時は、別に私が何かをやめたとしてもそんなに迷惑かからなかったと思うんですけど、今は患いさんの存在があるじゃないですか。自分の存在が、誰かの人生でこんなに大きくなれるんだなっていうことを実感しています。

ーー素晴らしいですし、すごく親孝行な話ですよね。

襲:本当ですね(笑)。地元にいた時は親不孝な感じだったので。中高時代は私のことで家族をめっちゃ泣かせてたし、パパも怒鳴りまくってたし……なので、今の関係にすごくびっくりしてますもん。親はTwitterも全然わからなかったんですけど、今では毎日のように情報を見てくれていて、ライブも家族総出で来るんですよ(笑)。おばあちゃんはめっちゃ手振るし、おじいちゃんなんて嬉しくて周りにめっちゃ言うんですよ。

ーーあはははは。なんだか微笑ましい話ですね。

襲:めっちゃ幸せです。家族総出で武道館まで連れて行きたいですね。けど、ぜん君。じゃなかったら、コドモメンタルじゃなかったら、こんなに心から「誰かのため」っていうふうに思えなかったかもしれないです。

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