LiSA、『音楽の日』『FNS歌謡祭』音楽番組で披露したボーカリストとしての表現力 多彩な作品に求められる豊かな感性
7月17日に放送された音楽特番『音楽の日』(TBS系)にて、LiSAが最新曲「HADASHi NO STEP」を披露した。ドラマ『プロミス・シンデレラ』(TBS系)の主題歌となっている今作は、スウィングしたサウンドに自分を大切にするために新たな一歩を踏み出す女性の心情を描いた軽快な歌詞が乗るポップチューン。番組でLiSAは、カラフルなパッチワーク柄のようなロングワンピースを身に纏い、同じくカラフルなシャツ姿のダンサーと共に軽快なダンスを披露した。伸びやかな歌声は健在だが彼女の代表曲となった「紅蓮華」や「炎」、そしてこれまで彼女が歌唱してきた楽曲に多いロックチューンとは一線を画す軽やかでキュートな歌声が印象的で、楽しげな笑顔の合間にはちょっぴりおどけたような表情すら見せる。今回のパフォーマンスではまた違った個性を存分に発揮しており、彼女のボーカリストとしての表現力の奥の深さを改めて感じさせられた。
また、LiSAといえば先日7月14日に放送された『2021 FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系)での、「サプライズ」のパフォーマンスも記憶に新しい。6月25日に公開された映画『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』の主題歌となっている同楽曲は「HADASHi NO STEP」とは打って変わって晴れやかなストリングスが印象的なミディアムナンバー。デニムとシフォンがあしらわれたツーピースドレス姿のLiSAはシャンデリアとグリーンが配されたセットの中で柔らかな笑顔を浮かべながら伸び伸びと歌い上げていたが、その歌声のニュアンスはとても優しげだった。彼女特有のパワフルさは存分に活かしつつも、より王道のポップスとしての表現で魅せている印象がある。
今回の音楽番組出演の際に披露された楽曲は2曲とも実写作品の主題歌となっており、LiSAはそれぞれにまったく違った表情を見せている。その表現はあくまでもLiSAという歌い手の元来持つ魅力やパブリックイメージの延長線上に立ちながらも、これまでと異なるニュアンスを持ってリスナーの目や耳に届いたはずだ。意外にもLiSAが実写作品に寄せた楽曲は今回披露された2曲を含め4曲のみ。その4曲に注目すると、表現の幅広さはとてもよくわかる。
たとえば、LiSAにとって初めての実写作品タイアップとなったドラマ『13』(フジテレビ系)の主題歌である「愛錠」は、「紅蓮華」でもお馴染みの草野華余子とのタッグによって制作されたスローナンバー。チェストボイスの優しさやローの深く奥行きのある表現が特徴的で、切なげに絞り出すようなボーカルで楽曲の持つ情念の深さを表現している。
また、今年5月21日に公開された映画『地獄の花園』の主題歌となった「Another Great Day!!」では“ロックヒロイン”としてのLiSAのイメージをB'zの松本孝弘がアップデート。重厚感あるサウンドやヒップホップ的なバックビートを生かしたBPM遅めのメロディが、LiSAの伸びやかなロングトーンを存分に活かしている。