LiSA、ライブアーティストとしての凄まじさ 楽曲と一体化する圧倒的パフォーマンス見せた『ONLiNE LEO-NiNE』レポ

LiSA、ライブアーティストとしての凄まじさ 楽曲と一体化する圧倒的パフォーマンス見せた『ONLiNE LEO-NiNE』レポ

 自分がこのステージに立ったら、どんな気分になるんだろう。アーティストのライブを観て、そんなことをよく考えている。そのなかで、舞台裏でのプレッシャーを考えると、できればその立場になりたくない……もっと言えば、どんなになりたくてもなれないのが、LiSAだ。彼女ほど音楽に対して目に見えて情熱的で、弱音を吐きそうな場面でもそれに打ち勝ち、全力で歌を楽しみきってしまう存在は他にいないだろう。

 そんな実感を改めて抱いたのが、LiSAが12月12日に開催した自身初の配信ライブ『ONLiNE LEO-NiNE』である。彼女は当初こそ、今年春より複数のツアーを開催予定だったが、先般の時流から開催延期に。この日は1年2カ月ぶりとなる待望のステージとなった。

 1曲目に選ばれたのは「マコトシヤカ」。続く「晴レ舞台」などを含めて、聴く人の頑張り時を全身全霊で鼓舞しながらも、それが決して心の重荷にはならない爽やかな応援歌だ。まさに、LiSAがこれまで打ち立ててきた金字塔的なジャンルといえるキャッチーな応援歌であり、こういった社会情勢下だからこそ、そんな明るいライブの幕開けが胸によく沁みる。

 直後のMCでは、今回のライブはファンが自宅などで視聴するからこそ、恥じらいを捨てて家族や友人を巻き込み「全員まとめて楽しんじゃえばいいんだよ!」と心得を伝授。そこからの「エレクトリリカル」では、チップチューンテイストな楽曲にあわせて、視聴画面にも“8bit”のゲーム画面を思わせるエフェクトが。また、歌唱前に行なったサビの振り付けのレクチャーでは、開始数秒で「全然ダメです! 恥ずかしさが見えてます!」と、視聴者側の余計な自意識を容赦なく取り払っていく。彼女の前では、やらないことが格好いいと思っているのは大間違いであり、これぞLiSAの知っている“遊び方”なのだ。

 前述した画面エフェクトを含めて、“オンラインだからこそ”な試みが随所に見られた今回のライブ。特に、映像美という観点で驚かされたのが、6曲目「わがままケット・シー」だった。ここではおそらく、人が愛の虜になっていく様子を複数曲に連なって描いたのだろう。前曲「愛錠」を歌い終えると、LiSAは裸足のままフロアにそっと座り、次第に溶けるように体を地面に預けていく。

 すると、彼女の体がたゆたい、その輪郭を強調するかのように、床面のLEDモニターが幾何学的な映像を放つ。次々に切り替わる映像は、光に満ちた純白の空間や冷たく漆黒なアスファルトを思わせるようだ。その上でLiSAはゆったりと体をくねらせ、愛を求める歌詞を艶っぽく紡いでいく。その姿を俯瞰して観ると、まるでこの世界に自分と彼女しかいないような感覚にさえ陥ってしまいそうになる。

 さらに彼女が体を起こす頃には、床面のみだったモニターが四方を取り囲み、ダンサーらのコンテンポラリーダンスを交えた「unlasting」に。このパートは、各楽曲の行間にある共通点を映像のピースで繋ぐような、歌と映像の美しさに酔いしれる時間となった。

 そこから、スキャットが冴え渡るジャジーな「赤い罠(who loves it?)」を経由して、ステージ上の灯篭に炎の柱が上がる。いよいよ歌唱されるは「炎」。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を観た人であれば、その歌詞も一層に感情深く響いたことだろう。以下に、サビの部分を引用したい。

〈僕たちは燃え盛る旅の途中で出会い/手を取りそして離した 未来のために/夢が一つ叶うたび 僕は君を想うだろう 強くなりたいと願い 泣いた/決意を餞に〉

 この日、このライブで、このフレーズを聴いて改めて、LiSAというアーティストは作品の内容に対して最大限に寄り添いながら、同時にその物語を自分らしい表現や感情として力に変えられるような存在だと感じた。これは『鬼滅の刃』だけでなく、彼女は『ソードアート・オンライン』シリーズの「Catch the Moment」や、『魔法科高校の劣等生』での「Rising Hope」といったアニメ主題歌、さらには自身のオリジナル楽曲も歌い続ける長年のキャリアを通して、数多の登場人物らの想いを背負い、代弁してきた。

 そのためか、LiSAが発する“僕”や“君”は、“I”や“You”といった単語が備える本来の力の範疇を超えて、何人もの人生を連想させるほどの言葉の強さも持っている。先ほど引用した「炎」の歌詞でいえば、決意、悲しみ、勇気、弔いーーこの曲で歌われるあらゆる感情が作り物ではなく、リアルに迫ったものとして表出されるのも、彼女の圧倒的な歌唱力と、たくさんの“僕”を歌い続けてきた歴史があってこそだろう。今回の「炎」には、そんな想いさえ巡らせてしまう荘厳なオーラがあった。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる