WANDS、「カナリア鳴いた頃に」で打ち出した新境地 柴崎浩×上原大史による“新生WANDSサウンド”を紐解く

WANDS、新曲で打ち出した新境地

 2020年1月に『真っ赤なLip』で約20年ぶりとなるシングルをリリースし、復活ののろしを上げたWANDS。その後もシングル『抱き寄せ 高まる 君の体温と共に』、アルバム『BURN THE SECRET』をリリース。今年6月に『カナリア鳴いた頃に』をリリースした。同曲が放つ、WANDSの新たな魅力に迫る。

WANDS 「カナリア鳴いた頃に」 MV

 ジャズを取り入れたスリリングなサウンドの楽曲「真っ赤なLip」、ストレートなバンドサウンドと共に胸の奥に熱いものをたぎらせた「抱き寄せ 高まる 君の体温と共に」。それらに続く「カナリア鳴いた頃に」は、ミドルテンポのサウンドと、どこか遠くから見つめるような視点で、WANDSとしての新たな魅力を発揮している。

 「カナリア鳴いた頃に」は、落ち着いたバンドサウンドの上で、メランコリックに奏でられる淡々としたメロディと、駆け上がっていくようなサビの展開が胸を締め付ける。体温を一定に保つかのような、穏やかだが陰を感じさせるボーカル。心のざわめきを表現したかのようなギターソロ。年月を重ねても決して忘れることのできない、大切な出会いと募る思いを歌った歌詞は、家族との思い出や今の状況と重ねた思いなど、聴く人によって様々に解釈することができ、ネットでも感動の輪が広がっている。

 タイトルのカナリアは、かごの中の鳥の比喩としてよく使われる言葉だが、上原はこれを四季が巡ったことの意味で使った。カナリアは春から夏にかけてよく鳴くそうで、カラフルな見た目からも草木が鮮やかに色づく季節をほうふつとさせ、〈カナリア鳴いた頃に〉というフレーズ一つで、歌詞の物語が一気に広がる。またサビの後半では〈カナリア鳴いた頃に〉が、〈サヨナラ泣いたけれど〉に変換されるのが実におしゃれで、その後に続く〈強くなった今〉は主人公の成長を実感させる。

 シンプルで派手さはないが、それがかえって楽曲の世界観ともマッチし聴く度にジワジワと良さが増していく、ありていに言うと噛めば噛むほど味が出るスルメ曲だ。

 作曲・編曲は、第1期WANDSからのメンバーで、T.M.Revolutionのライブサポートやabingdon boys schoolのメンバーでもある、ギターの柴崎浩が担当した。柴崎は、前回のシングル「抱き寄せ 高まる 君の体温と共に」をはじめ、アルバム『BURN THE SECRET』に収録の「David Bowieのように」「Burning Free」などの作曲・編曲を担当している。「カナリア鳴いた頃に」を作曲するにあたっては、弾き語りでも成立するメロディを意識したという。

 90年代当時のWANDSでは、キーボードの大島こうすけをメインコンポーザーに、織田哲郎や栗林誠一郎、川島だりあ、小松未歩などの楽曲提供によって、1992年に大ヒットした中山美穂 & WANDSの「世界中の誰よりきっと」をはじめ、「時の扉」「世界が終るまでは…」など、誰もが口ずさみやすい良質のメロディで数多くのミリオンヒットを世に放った。その一方カップリング曲やアルバム曲で、独自のロックスピリッツを開花させていたのが柴崎だ。例えば「Crazy Cat」や「Mr.JAIL」など。往年のロックサウンドを昇華したサウンドメイクに、WANDSらしいキャッチーさを加えた柴崎楽曲は、WANDSのもう一つの顔だった。

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