TAKU INOUE、メジャーデビューで贈る“クラブ賛歌” 様々なカルチャーの重なりから届けるイノタク流ポップス

TAKU INOUE「3時12分」インタビュー

定義がない分、自由度が高いのが“ポップス”

TAKU INOUE(写真=藤本孝之)
ーーなるほど。これまで錚々たるアーティストのサウンドプロデュースを担当されてきましたが、忘れられないエピソードはあったりしますか?

TAKU INOUE:どのアーティストとも、いろんなお話がありますね。言えること言えないことあるし、迷うなあ……。

ーーしかも、それぞれのアーティストのターニングポイントとなる瞬間に立ち会ってますよね。

TAKU INOUE:そうだといいですねえ。あ、HOWL BE QUIETでアルバム丸ごとサウンドプロデュースさせていただいたことは大きかったかも。歳をとると今のペースで曲を作れなくなっていくよなって思っていて。だからプロデュース仕事をどんどんやっていきたいなと思っていたときにお話をいただいて、是非是非と。男4人のバンドということがあって部活っぽさがすごく楽しくて。

ーー自分のバンド時代も思い出しながら。

TAKU INOUE:そうそう。周りのスタッフを巻き込んでディスカッションしている様もあったり。ドラマティックだなって。自分にとっていい経験になりました。

ーー日本のポップカルチャーって今やボカロ、アニメーション、ゲームなどいろんな広がりを見せています。二次創作やn次創作にまつわる拡張文化もセンスもずば抜けていて。そんないまの時代の日本のポップミュージックのあり方をどう捉えていますか?

TAKU INOUE:そもそもポップスというジャンルが好きなんですよ。ポップスって何をやってもポップスって言い張れる。定義がない分、自由度が高いなと思っていて。尖ることもできますし。日本は、音ゲーやアニソン、ボカロも独特ですよね。ポーター・ロビンソンが日本からの影響を公言してアルバムを作っていたり、コナミの音ゲーに曲を書いている人たちって、海外にDJしに行ったりするとめちゃくちゃ盛り上がるんですよ。知らないうちにすごいところにいたんだなって認識をして。独特な進化を遂げていますよね。それこそコード進行もオリジナリティがあるんですよ。もっと世界へ誇るべきだと思っています。

ーーそうそう、もっと胸を張っていていいと思いますね。しかも、ヴェイパーウェイヴが水面下で浸透した結果、日本のシティ・ポップや80’sカルチャーが気がついたら海外でも広がっていたり。

TAKU INOUE:オーバーグラウンドでも芽が出てきていますよね。

ーーSpotifyのプレイリストでいうと「hyperpop」や、ゲームの世界をテーマとした「Pixel Garden」などもありますし。J-POPサウンドの世界への入り口が海外で開かれているんですよね。

TAKU INOUE:日本のアーティストもリストインしていますもんね。

ーー日本のポップカルチャーの広がりを感じます。

TAKU INOUE:かつては夢だった、いい時代に生きているなって思っていますよ。

ーーそんななか、TAKU INOUEさんはどんな視点から日本のポップカルチャーの担い手として世界へ向けて闘っていくのかが気になっています。

TAKU INOUE:闘っていくという感覚はないんですけど、ソロワークとして世界を見据えた動きはやりがいを感じています。周りに素晴らしいアーティストもたくさんいるので、僕は僕なりのちょっと変なポップスを提案していきたいですね。

ーー日本のポップミュージックでは、ボカロ文化圏、TikTok文化圏、YouTube文化圏というインフラ派生が強くなっているのですが、その3つの重なり合うところに実はTAKU INOUEさんはいらっしゃいますよね。

TAKU INOUE:それは嬉しいですね。いろんなことをやりたがりなので。ゲーム会社を離れたのもそれが理由で。TOY'S FACTORYのようなレーベルにいたらクライアントワークの間口も広がるなと。もっと楽しいことができそうだなって。

TAKU INOUE(写真=藤本孝之)

ーージャンルがどんどん溶けている世の中なので、重なり合うところにファンが生まれると思っているんですよ。

TAKU INOUE:たしかに。重なりがおもしろい現場になっていますし、そんな場に立ち会えたらいいですね。

ーーここ最近で、これはやられて悔しかったなという作品、ミュージックビデオ、施策などあったりしましたか?

TAKU INOUE:去年、コロナ禍で配信リリースの頻度が上がっていて新たなムーブメントが起きたと思うんです。そこにもう少し自分も関わっていたかったですね。

ーー—気にYOASOBIやAdoがブレイクした流れですね。

TAKU INOUE:そうですね。僕もおもしろい提案をできたんじゃないかなって思っていて。あと、MOGRAが『Music Unity 2020』という、日本全国のクラブ、ライブハウスなどと一緒にノンストップ形式のライブストリーミングフェスを配信していたり。ああいう試みは良かったなと思っていて。リアルライブの代替品ではない、配信でしかできないこともあるんですよね。その辺は自分でも追求してみたいです。

ーーでは最後に2021年下半期の目標は?

TAKU INOUE:メジャーデビューしたので、作品をリリースしていきたいですね。楽しいチャンネルがひとつ増えたなと思っています。

TAKU INOUE WORKS
「3時12分 / TAKU INOUE&星街すいせい」
「3時12分 / TAKU INOUE&星街すいせい」

■リリース情報
『3時12分 / TAKU INOUE & 星街すいせい』
7月14日(水)配信
Lyrics/Compose/Arrangement:TAKU INOUE
Vocal:星街すいせい
Guitar Solo:後藤貴徳

Streaming & Download Link
https://tf.lnk.to/SanjiJuunihun

TAKU INOUE OFFICIAL SITE:https://taku-inoue.com/
TAKU INOUE OFFICIAL YOUTUBE https://www.youtube.com/channel/UCICy3BC4CIU2OXa7VGoektw/featured
Twitter:@ino_tac
Instagram:@taku__inoue
TikTok:@tkiinue
Spotify【TAKU INOUE WORKS】:https://open.spotify.com/playlist/4FUjB2654FY2JRLA0oL3st
VIA/TOY’S FACTORY:https://via-label.jp

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