μ's、Aqours、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、Liella!……『ラブライブ!』シリーズのアイドル達が届ける物語と音楽
続く虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(以下、ニジガク)は、先輩2組とは別の経路から発展していった。2017年春ごろにキャラクタービジュアルが公開され、3つのウェブメディアに分かれて活動がスタート。各種CDリリースなどを経て、自身らが登場するスマホゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』が発表。2020年10月にはアニメ作品として放映されている。
先輩2組との大きな違いは音楽性にも表れている、ニジガクはアイドルユニット名義としてでなく、個々人のソロ楽曲がメインになっている点だ。アニメ化以前にアルバム作品を3枚リリースしているが、収録曲の大半がソロ楽曲、その後3組のユニットに分かれて歌唱しており、ニジガク名義の曲は数曲しかない。
アニメ本編でもそれは踏襲されており、ニジガクというグループで活動をするわけではなく、個々人の活動や夢・理想を求める姿をキッチリと描いているのだ。
彼女らが登場したスマホゲームのキャッチコピーといえば、「あなたと叶える物語」である。ゲームプレイヤーが「あなた」として登場することが大きなポイントだったことに端を発する言葉だが、アニメ化した際には「あなた」の代役として高咲侑が登場、ヒロイン9人ひとり一人をサポートし続ける役をこなし、この言葉を体現している。
最終話に挿入歌として流れる「夢がここからはじまるよ」は、ニジガクとして歌われる楽曲だが、最後の歌詞は〈その手を伸ばして キミだけの夢へ〉という言葉、それは「1人のアイドルとしてあなたと夢を叶える」という物語をしっかりと伝えていく楽曲であることを物語っている。
そして最後に触れるのがLiella!だ。『ラブライブ!スーパースター!!』のテレビ放映時点で作中で発表されているメインメンバーは5人。プロジェクト始動時の一枚絵に書かれていたキャッチコピーは、「私を叶える物語」だ。第1話を見たファンならば、どことなくそのニュアンスを掴んでいるはずだ。
4月7日にデビューシングル『始まりは君の空』を発表しているLiella!。単音でメロディをなぞるギターサウンド、バンド感を強く感じさせるサウンド、メインメロディを5人一斉に歌う流れまで、非常にオーソドックスなアイドルソングに聴こえるが、〈なにか目覚めそうだよ まだ名もないキモチが 違う明日を見たがってる〉という冒頭の歌詞から、まさにアニメ第1話を思い出させる言葉が並んでいる。
スタッフに注目すると、原案に公野櫻子、監督は京極尚彦、シリーズ構成に花田十輝、音楽を藤澤慶昌、この4名は初代『ラブライブ!』以来に揃い、どことなく原点回帰のムードを感じさせる。まだアニメはスタートしたばかり、「私を叶える物語」というテーマ性がどのように広がっていくのか、そして楽曲にどのような物語が帯びていくのか、注目していきたいところだ。
■草野虹
福島、いわき、ロックの育ち。『Belong Media』『MEETIA』や音楽ブログなど、様々な音楽サイトに書き手/投稿者として参加、現在はインディーミュージックサイトのindiegrabにインタビュアーとして参画中。
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