reche初インタビュー ソロプロジェクト始動の背景と歌手活動への思い「10年続けてようやく自我が芽生えてきた」
EGOISTのボーカリスト 楪いのりとして活動するchellyが、6月6日に突如、“reche”としてソロプロジェクトをスタート。Twitterを通して告知された際は、国内外のファンからお祝いや応援のメッセージなどの温かい言葉が多数寄せられた。
「自由な形で新しい表現活動に挑戦したい」と強い意思を語るreche。すでに、一緒に音楽を制作するクリエイターを募集する企画や、楽曲カヴァーのリクエスト企画「reche JUKE BOX」もスタートしている。本インタビューでは、ソロプロジェクト始動の背景や今後の歌手活動に対する思い、彼女の歌手としてのキャリアなど、プロジェクトのスタートタイミングとなる最初の声を届ける。(編集部)
私自身の本当の実力を皆さんに見てもらいたい
――まず、ソロ活動をスタートするに至った理由を教えてください。
reche:これまでの活動は、あくまでボーカリストとしての役目を果たしてきたというか「楪いのり」「chelly」というひとりの女の子のフィルターを通して、音楽や歌を表現してきました。でも、EGOISTの活動が今年10年目を迎える中で、今一度自分というものを見つめ直した時に、一人のアーティストとして、表現者として何かやれることはないのかと考えていくようになって、もう少し自由な形で新しい表現活動に挑戦したいと思ったんです。
――recheさんの歌手キャリアのスタートは、2011年にsupercellの「ゲストボーカルオーディション」を受けたところから始まっています。当時、なぜオーディションを受けようと思ったのですか?
reche:当時は学生で、ちょうどVOCALOID系の音楽をよく聴いていたのですが、supercellのryoさんがオーディションを行うことを知って、友達に「オーディションを受けてみたら?」と言われたことがきっかけです。その時は、どうしても歌手になりたいとか、音楽で生活していきたいとか明確な目標があったわけではなかったんです。どちらかというと、周りに促されて行動するような受け身なタイプではあったのですが、それが今、歌手活動を10年続けてきた中で、ようやく自我が芽生えてきたような感覚があります。
――周りの方からは、声がいい、歌が上手いと思われていたということですよね。
reche:でも、カラオケに行った時に、少し褒めてもらう程度でしたね。社会勉強のような感覚でオーディションに参加したので、もちろん運もあるでしょうけど、まさか受かるとは思いませんでした。いま思い返してみると、この10年間、自分自身がアーティストであるとか、EGOISTのボーカルであるみたいな自覚が、薄かったのかもしれません。それは、顔を出していない分、普段の生活は皆さんとあまり変わらないということもありますし、受け身の姿勢で活動してきたことが大きかったのかなと思います。
――今後はrecheさん個人として活動していくわけですが、自我というか、パーソナルな部分も含めてメッセージを発信していくのでしょうか。
reche:私はもともと、自分が何か伝えたいということよりも、曲から汲み取って、曲と対話しながら、それを表現していくタイプだと思っています。周りの方々からはイタコ的と言っていただけるのですが、裏を返せば自分自身の表現したいことが明確に見えていないということで。リスナーやファンの方々に「何を伝えていくか」は、ソロ活動を通して徐々に見つけていきたいと思っています。
――ソロとして、一番やりたいことは何ですか?
reche:今一番やりたいこととしては、ジャンルレスに、幅広い曲に挑戦していきたいです。これまでの活動では見せていない一面を出していきたいと思っているので、私自身の本当の実力、可能性というものを、皆さんにはまず見ていただきたいですね。
――アーティストとしての自我はないと言っていましたが、“歌いたい”という欲望は揺るぎないんですね。
reche:忘れがちなんですけど、自分のことを客観視した時に、やっぱり歌うこと、表現することが好きなんだなと実感します。これまでは新しいことへ挑戦する気持ちがあまり湧いてこなかったんですけど、デビューからずっと自分を探す旅をしていたような感覚もあって、そこで見つけたものを少しずつ形にして、お見せしていきたいなと。
ーー6月29日からスタートしたカヴァー企画「reche JUKE BOX」は、ファンの方々からカヴァー曲のリクエストを募集する企画ですが、それこそrecheさんにとっては様々な曲に挑戦する場所になるのかなと。
reche:そうですね。この企画では今まで歌ったことのない楽曲に挑戦していきたいですし、コンスタントにみなさんに歌を聴いていただける機会を作っていきたいという気持ちも強いです。ファンの方々のリクエストに答えていくのはもちろん、私自身もカヴァーしてみたい候補曲がいくつかあって。声のポートフォリオを作るではないですけど、recheはこんな歌声が出せて、こういう表現もできるんだよって見せていけたらいいなと思っています。楽しみではあるんですけど、ある意味、ボーカリストとしての課題も見えてくると思うので、ドキドキしてます(笑)。