『BATTLE OF TOKYO』第2弾、K-POP乱立のチャートでも存在感 グループ特性活かしたLDHならではの“壮大な仕掛け”

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2021-07-05/

 2021年7月5日付のオリコン週間アルバムランキングは、首位・2位どちらも発売2週目のBTS『BTS, THE BEST』(推定売上枚数75,868枚)、SEVENTEEN『Your Choice』(49,886枚)。初週となる前週の売上枚数はBTSが約78万枚、SEVENTEENが約14万枚でグループの勢いをしみじみ感じる。ちなみにBTSは日本で企画されたベスト盤だがSEVENTEENは韓国本国での作品だ(つまり輸入盤)。他にも8位にNCT DREAM、9位にTWICE、10位にEXOとトップ10のうち半分がK-POPのグループで占められ、NCT DREAMは5月のリリース作品が改めてランクを上げている。ここまでK-POP尽くしというのも珍しい。最近カムバックが続いたこともあるだろうけれど、K-POPのこの強さには唸る。チャートの特性上、フィジカルでの売上の強さが出ている可能性も高いが、合算ランキングでもトップ10の布陣にそこまで大きな変化はない(強いて言えばSTUTS & 松たか子 with 3exes『Presence』が10位に顔を出している)。

 ちなみにここまで挙げた作品だと、TWICE『Taste of Love:10th Mini Album』とEXO『Don’t Fight The Feeling』は個人的にファイバリット。とりわけ、リード曲「Alcohol-Free」のややエキゾチシズムを盛った能天気さを裏切るように、音数を絞ったかなり渋いダンスポップを揃えたTWICEはおすすめだ。

 ちょっとイレギュラーな書き出しになってしまった。トップ10の初登場作品を追っていくと、3位にGENERATIONS from EXILE TRIBE、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE、FANTASTICS from EXILE TRIBE、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEら、Jr.EXILEが揃い踏みした『BATTLE OF TOKYO TIME 4 Jr.EXILE』(39,106枚)、4位には『アイドリッシュセブン』のユニット・TRIGGERによる『VARIANT』(27,504枚)、5位には『ラブライブ!サンシャイン!!』のユニット・AZALEAの『We'll get the next dream!!!』(15,467枚)、そして6位・7位には2作同時発売された上白石萌音のカバーアルバム『あの歌-1-』『あの歌-2-』がそれぞれ15,011枚・14,751枚でランクインしている。

『BATTLE OF TOKYO TIME 4 Jr.EXILE』初回限定盤

 今回ピックアップしたいのは『BATTLE OF TOKYO TIME 4 Jr.EXILE』。本作は単に複数グループが参加したコンピレーションというわけではなく、2019年にLDHがスタートしたプロジェクト「BATTLE OF TOKYO」の2年ぶりとなる第2弾リリースだ。公式の呼び方にならえば“次世代総合エンタテインメントプロジェクト”で、楽曲のみならずアニメ、ノベライズなど多角的に展開していく。各グループのメンバーがそれぞれ自分と結びついた「アバター」を持ち、SFチックな作品世界に登場するというのが基本的なコンセプトだ。キャラクターを介して現実の世界とフィクションの世界を横断するコンテンツは近年のエンタメで大きな存在感を示していて、ある意味ではLDHが仕掛けて一大人気コンテンツとなった『HIGH&LOW』シリーズもそうした文脈と接する部分がある。しかし、4グループ・総勢38人に及ぶキャラクターが、現実に活動するグループとリンクしながら展開していくというのはなかなか真似できないだろう。作品の設定やプロットには言及しないが、実写のシーケンスとSF的ギミックに彩られたアニメーションがシームレスにつながるMVの視覚的インパクトだけでも凄まじいものがある。こんなに大きくて深くて立派な沼をこしらえてどうするんだよ、と頭を抱えてしまう。

Jr.EXILE / UNTITLED FUTURE (Official Trailer)

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