雨宮天、『テレ東音楽祭2021』声優アーティスト初出演の快挙 TrySail&ソロ活動で培われた“クリスタルボイス”の魅力

 だが実際の彼女は、共演者からは「会う前と会った後で印象が全然違う」と言われているほどに世間のイメージとのギャップがあり、出演するラジオなどを通してみれば、彼女のあどけなくてどこかズボラな部分がうかがい知れる。

 こういった影響もあってか、「明るい曲を歌ってほしい」と期待するファンの声も少なくなかった。2020年に発表されたTVアニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』のOP曲に起用された「PARADOX」は、クールな雨宮天ではなく、ポップな雨宮天を押し出した曲になった。

雨宮天「PARADOX」オンラインライブ映像 YouTube EDIT (from 『LAWSON presents 雨宮天ライブ2020 "Paint it, SKY" Online Live』)

 彼女初となるラブソングとなった歌詞、曲調もサックス・トランペット・トロンボーンのブラスサウンドがパワフルにリードしていくポップサウンド。陽気で明るい楽曲に対し、Trysailやキャラクターソングなどで培った経験をフィードバックし、メロディを追いかけ過ぎず、リズムにノリながら比較的ハキハキとした発声をしているのが分かる。これまでのディスコグラフィには無かった躍動感を補う同曲は、彼女のソロ活動のなかでも新機軸だったと言えよう。

 同曲を収録したアルバム『Paint it, BLUE』は、それまでのイメージを崩すことなく、低めのトーン、少年のような声色、味のあるファルセットやハイトーンをうまく織り交ぜたりと、雨宮が様々な歌い方へとチャレンジした1枚だといえよう。それも声色を強引に変化させているわけではない、彼女は彼女のまま、クリスタルのように煌めく透明感を発揮している。

 今年4月下旬には雨宮天個人の企画チャンネルが立ち上がり、さらに今回のテレビ出演となると、ソロ活動のフィールドが少しずつ大きくなっていくのが分かる。ソロ活動6年目を迎え、充実の時期を過ごす彼女、今後の活動にも注目していきたい。

参考:雨宮天「PARADOX」インタビュー|ポップに突き抜けた新境地の10thシングル - 音楽ナタリー 特集・インタビュー https://natalie.mu/music/pp/amamiyasora03

■草野虹
福島、いわき、ロックの育ち。『Belong Media』『MEETIA』や音楽ブログなど、様々な音楽サイトに書き手/投稿者として参加、現在はインディーミュージックサイトのindiegrabにインタビュアーとして参画中。
Twitter(@kkkkssssnnnn)

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