眉村ちあき、ストリーミングツアーで北極から南極へ 画面越しからも伝わったパフォーマンスの裏にある真っ直ぐな思い

眉村ちあき、配信ライブツアー第2弾レポ

『飛び出せ!日本元気女歌手ツアー 〜アラスカ・北極・南極・アフリカ編〜』

 眉村ちあきの配信ライブ『飛び出せ!日本元気女歌手ツアー ~アラスカ・北極・南極・アフリカ編~』が6月24日に行われた。4月には『ニューヨーク・パリ・ロンドン編』が行われ、今回は第2弾である。前回同様に眉村が海外へ行ってライブを行うというコンセプトの特別な公演だが、前回を超える破天荒ながら彼女の個性が滲み出るパフォーマンスになっていた。

 ライブが始まるとテントの中で防寒着を着た眉村が映る。テントの中で座ったまま笑顔で「フリフリスイスイニッコニコ」を歌い「眉村ちあきの100%ラジオはアラスカの中央地点からお送りします。今日はシロクマを絶対に見つける!」と独特な設定の挨拶をした。最初の舞台はアラスカのようだ。2曲目の「クリスマスソング」からはテントを飛び出しアラスカの雪景色が映るスクリーンをバックに、飛び跳ねながら熱唱。極寒のアラスカが舞台のようだが、パフォーマンスはいつも通りに熱い。

 「みんなで呼べばシロクマさんがくるかもしれないよ!」と言って2匹のシロクマを呼び込み「スクワットブンブン」をスクワットしながらパフォーマンス。序盤から彼女にしかできないシュールながら魅力的なエンターテインメントを作り出す。

 「偏差値2ダンス」ではシロクマと一緒に踊り「ピッコロ虫」では「コメント欄にワカサギって書いて」とファンにお願いして盛り上げる。その後も「わたしはあなたのことを、心からワカサギだと思っています」とファンをワカサギ扱いしたり「ワカサギども、言って!」とコメント欄に歌詞を書くようファンに促していた。この破天荒で自由なパフォーマンスも彼女の魅力だ。しかし破天荒なことをした後には「やさいせいかつ」をポップに表現し「夕顔バラード」や「あたかもガガ」ではエレキギターをかき鳴らしながら歌う。ミュージシャンとしても一流であることも、しっかりライブで印象付けている。

 舞台は北極に移る。アコースティックギターを持って「このギター、ゴミに捨てられてたのを救出したの。それから家にずっといて仲良しなので北極まで持ってきました」と語り、そのまま弾き語りで「チャーリー」を優しい声で歌い感動させる。そんな余韻が残る中で再びシュールで楽しい世界観が作られていく。「スーパードッグ・レオン」では雪の中を犬が歩く映像をバックに歌い「クラップの絵文字をコメント欄に書いて」とファンにお願いしていた。コメント欄を使ったコールアンドレスポンスは配信だからこそできるファンとのコミュニケーションだ。

 「今から南極に行くぞ!」と言ってスコップで地面を掘る眉村。どうやら穴を掘って南極に行こうとしているらしい。見事に南極までたどり着いたものの、砂漠の映像がスクリーンに映っている。このライブの世界では南極は砂漠地帯という設定らしい。ノースリーブ姿に衣装チェンジし「メソ・ポタ・ミア」を跳ねながら歌い「教習所」ではシャウトしながら感情的に歌う。南国に来たこともあり、熱気を帯びたパフォーマンスが続いた。

 高校生の時に同じバイト先だった大学生に一目惚れして、友人のルナちゃんに恋愛相談をしたものの、友人のルナちゃんが眉村が恋した大学生と付き合ってしまったというエピソードをMCで語る眉村。そんな悲しい余韻に浸りながら「緑のハイヒール」を切なく歌う。本編の最後には「みんなと一緒に歌いたいんだ。良かったら一緒に歌ってくれませんか?」と言ってから「ブラボー」を弾き語りで歌った。音源や普段のライブではアップテンポで盛り上がる楽曲だが、今日は「終わってほしくないからゆっくり歌おうかな」と言ってスローテンポで言葉を噛み締めながら歌っている。無観客の配信ライブではあるが、彼女には画面の向こうのファンが見えているのだ。画面の向こうに音楽を届けようとしている。ファンと一緒に歌ってライブを作ろうとしている。そんな気持ちが伝わる名演だった。

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