P!NK、ツアードキュメンタリーが伝えるスター/母としての素顔 ファンと家族を笑顔にする姿を見つめて

P!NK、ツアードキュメンタリーが伝える素顔

 ちなみにライブパフォーマンスそのものについては、随所で断片的に挿入されているのみなのだが、彼女は映画の公開に合わせて、サントラ的な位置付けのアルバム『オール・アイ・ノウ・ソー・ファー: セットリスト』もリリースした。ウェンブリー・スタジアムからのライブ音源が12曲分フルに聴けるほか、別の公演からクイーンのカバーも2曲収録。ライブアルバムと評せる作品を発表するのはこれが初めてなだけに、圧巻の生のボーカル力を堪能できる、貴重な一枚だ。

P!nk, Willow Sage Hart - Cover Me In Sunshine (Official Video)

 同作にはさらに2曲、ライブ音源ではない曲も収録されており、うちひとつは、さる2月にリリースしたウィローとのフォーキーなデュエット曲「カヴァー・ミー・イン・サンシャイン」。もう1曲は、映画とタイトルを共有する最新シングルの「オール・アイ・ノウ・ソー・ファー」だ。エンドロールに流れる事実上の主題歌でもあり、歌詞を追うと、P!NKがこの映画を作りたかった理由が明かされているような気がする。そう、これまで約40年間生きてきた彼女は子供たちに、タイトル通りに“現時点で私が知っていることの全て”を、つまり、ふたりが大人になった時に腑に落ちるはずの、様々な人生の教訓を伝えたかったのだろうーーと。

P!NK - All I Know So Far (Official Video)

 とはいえ、このライブ盤から教訓を得るのは、子供たちだけではないはず。現在の音楽界にはアデルからケイティ・ペリー、デュア・リパ に至るまで、重要なインスピレーション源としてP!NKを敬愛する後輩たちが大勢いる。彼女たちもまた、子連れツアーのハウツーを含めて、女性アーティストにとって生きやすい環境をつくるための極意を、この“楽しいママ”から受け継ぐのではないかと思う。

■新谷洋子
女性ファッション雑誌の編集者を経て、フリーランスの音楽ライターに。メインストリーム・ポップからインディー・ロックまで、主に海外アーティストの取材、ライナーノーツの執筆、歌詞対訳を手掛けているほか、訳書に『モリッシー インタヴューズ』がある。

■リリース情報
P!NK
『オール・アイ・ノウ・ソー・ファー: セットリスト』
2021年6月16日(水)国内盤リリース
海外発売日&配信5月21日(金)/輸入盤5月28日(金)
SICP-6383/¥2,400+税/国内盤のみジュエル・ケース仕様
購入・配信はこちら

<トラックリスト>
01. ジャスト・ライク・ア・ピル(ライヴ)
02. フー・ニュウ(ライヴ)
03. ファンハウス/ジャスト・ア・ガール(ライヴ)
04. リヴァー(ライヴ)
05. ジャスト・ギヴ・ミー・ア・リーズン(ライヴ)
06. タイム・アフター・タイム(ライヴ)
07. ウォーク・ミー・ホーム(ライヴ)
08. アイ・アム・ヒア(ライヴ)
09. フxxキン・パーフェクト(ライヴ)
10. MTVビデオ・ヴァンガード・アワード・スピーチ
11. キャッシュ・キャッシュ・リミックス・イントロ/ホワット・アバウト・アス(ライヴ)
12. カヴァー・ミー・イン・サンシャイン
13. オール・アイ・ノウ・ソー・ファー
14. ボヘミアン・ラプソディ(ライヴ)
15. ウィー・アー・ザ・チャンピオンズ(ライヴ)
16. ソー・ホワット(ライヴ)

■配信情報
『P!nk: All I Know So Far』
5月21日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信

P!NKソニーミュージックオフィシャルサイト

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