The Birthday×THE GROOVERS、1年越しの対バンを徹底レポート 藤井兄弟、夢の共演が叶った特別な一夜に

The Birthday×THE GROOVERSレポート

 後半はThe Birthday。「Sixteen Candles」に合わせて腕を振りながら笑顔で登場したチバユウスケは、オフマイクのままアカペラで〈とんでもない歌が 鳴り響く予感がする〉と、「くそったれの世界」のオープニングを歌い出した。そのままバンドは曲になだれ込み、ドラムを叩きながらクハラカズユキがチバと掛け合うようにコーラスを重ねると、フロアが大きく揺れた。

 ヒライハルキのベースから入った「青空」は雨交じりの空から覗く青空のような切なさを含み、続く「ヒマワリ」は噛みつくようなチバの歌を受けてソリッドなギターとヘヴィに歪むベースで、揺れるヒマワリの花を想像させた。温まってきたフロアをさらにアツくした「星の首飾り」は、チバの野太いボーカルとケンジのシャープなギターが小気味いいアンサンブルに。一息入れてチバが「今日は、福山の名産品が二人もいる!」と言ったのは、広島県福山市出身の藤井兄弟のことだ。そしてケンジのクールなギターリフが光る「Red Eye」を演奏。彼がThe Birthdayに参加して初めてのアルバム『I'M JUST A DOG』からの1曲だ。チバは気持ちよさそうに体を揺らしながら歌い、間奏ではブルースハープでギターとの応酬を聴かせた。

チバユウスケ
フジイケンジ
ヒライハルキ
クハラカズユキ
previous arrow
next arrow
 
チバユウスケ
フジイケンジ
ヒライハルキ
クハラカズユキ
previous arrow
next arrow

「1年以上延期になってたんだね。本当はいつだったのか、もう忘れちゃった」

 ポツリとチバが言った。本来は『SHIBUYA SPECIAL MATCH』というタイトルが示すように、渋谷CLUB QUATTROで開催されるはずだった企画でこの対バンライブが組まれたのだが、前述したように二転三転してこの日になった。そんな気分を歌ったような「オルゴール」は、「ヒマワリ」とカップリングで両A面シングルとして2020年11月にリリースされた1曲。〈止まったオルゴールと静寂の中で/新しいメロディーが生まれたんだ〉と歌うチバは、オルゴールを“また鳴らしている”のだ。

 気分を一新するタフなロックンロール「カレンダーガール」に、THE GROOVERSも同じあたりに「乱気流ガール」を入れた構成だったのを思い出していたら、チバが「フジイケンジ!」と声をかけ、ケンジのギターソロに。そしてチバが少しイントロを弾いただけで拍手が起きた「涙がこぼれそう」は、チバに指差されたケンジが、ぼそぼそと〈電話探した〜〉と冒頭を歌い出し、あとをチバが引き継いで「今日はTHE GROOVERSとお前らと、豊洲PITだ!」と叫んで一気に曲が爆発した。本来の半分の客入れほどしかいないはずのフロアだが、熱気はいつもと変わらない。そのままケンジのギターが繋いだ「なぜか今日は」も、『I'M JUST A DOG』から。嫌なことがあっても気分が良くなりそうな気がするこの曲で、ライブではお馴染みのハンドクラップが一段と大きく響いていた。

 4人がアンコールに応えて再登場し、クハラが「今日は本当にありがとうございます、また会いましょう。最後に一発!」とドラムを叩き出すと、珍しくケンジがマイクに向かい「今日はたくさん来てくれてありがとう! 本当にやれてよかったです」と挨拶。そのまま「じゃあ紹介します。THE GROOVERS、藤井一彦!」と兄を紹介すると、スタッフが大急ぎでアンプをセッティングして一彦が登場。ケンジとギターの応酬を始めると、チバがブルースハープを吹いた。曲は「ローリン」。シンプルな曲だが、一彦とケンジは競うようにソロを回し、それを見ながらチバは「藤井一彦、その横はフジイケンジ。福山の名産品が二人!」と呼びかけ煽る。オーディエンスも声こそ出さないが、腕を上げ体を揺らし、この共演を心から楽しんでいた。配信も録画もされていなかったこのライブは、きっと伝説となっていくことだろう。

The Birthday OFFICIAL WEBSITE
THE GROOVERS 公式サイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる