UA&浅井健一が語る、AJICOはなぜ世の中と“接続”するのか ミュージシャンとしての共鳴が呼び寄せた再始動

UA&浅井健一が語る、AJICOはなぜ世の中と“接続”するのか ミュージシャンとしての共鳴が呼び寄せた再始動

 UA、浅井健一、TOKIE、椎野恭一によるバンド・AJICOがおよそ20年ぶりに再始動した。2000年、BLANKEY JET CITY解散直後の浅井とUAを中心に結成されたAJICOは、ツアーと並行してフルアルバム『深緑』と3枚のシングルを発表し、多くのリスナーに支持されながらも“完全燃焼”を理由に僅か一年足らずで活動を休止したという、“伝説”級と言っても過言ではないスペシャルなバンドだった。あれから20年。復活の狼煙として届けられた4曲入りEP『接続』には、かつてとは異なるレンジと開放感による新たなAJICOサウンドが早くも確立されている。なぜAJICOはここまで“開けた”サウンドを携えて帰還を果たしたのか。そのプロセスをUA、浅井健一に語ってもらった。(内田正樹)

「ベンジーに断られるなんて1ミリも頭を過ぎらなかった」(UA)

ーーまず新作についてのお話の前に、AJICOのラジオ番組(※J-WAVE『THE KINGS PLACE』木曜日のナビゲーターを担当中)、めちゃめちゃ面白いですねえ。

UA:おお、ありがとうございます!

浅井健一(以下、浅井):俺もそう思う。面白いよね。

ーーUAさんがとあるエピソードを披露すると、浅井さんが「ちょっと何が面白いかわかんない」とオチごと却下されたり、お二人のずっと話が噛み合わないままの噛み合い具合が最高だなと。

浅井:そんなときあったっけ……あったな。

UA:リスナーから「UAがんばれ」とかメッセージをもらっています(笑)。

ーーそもそもAJICOは、当初UAさんの25周年イヤーの一環として去年(2020年)に再始動予定でした。それがコロナ禍のために延期され、ようやくスタートを迎えたと聞いています。再始動を持ちかけたのは?

UA:私からでした。数年前、最近の日本の音楽ってどんな感じなのかなと興味が湧いたタイミングがあって、YouTubeやストリーミングでいろいろと漁っていたんです。そしたらたまたまAJICOの『深緑』を聴いて、改めて「あ、カッコいいな」と思った。それがきっかけでしたね。音楽の面白さって時代の周期で何度か回ってくる側面もあるけど、『深緑』って、いま聴くと本当に面白いアルバムで。私は当時全く分かっていなかったんだけど、ベンジーはPortisheadなんかもイメージしていたらしくて。ちょっとサイケデリックで、アンニュイで、それでいて少し退廃的で鬱な感じもあって、これはこれで今の時代にドハマりすると思うんです。でも仮にこれをもう一回やろうとしても、まずこうはならない。それは分かりきっていたので、最初から全く新たなトライアルをするつもりでした。ベンジーが書くメロディは本質的にすごくオーセンティックで、確固たるラインを持っているし、コード感もポップじゃないですか。結論から言っちゃうと、その可能性を最大限まで引き出そうと私なりに追求したのが今回のトライアルの軸でした。で、イメージ通りできたと思う。満足ですね。

AJICO – 波動 (Official Video)

ーーお二人は休止中の間、連絡は取り合っていたんですか?

浅井:全くなかった。ただUAが2016年にフジロックのFIELD OF HEAVENに出た時、俺はステージの袖から観ていたんだよね。で、たしかその時、UAの旦那さんに初めて会って「『今度、また一緒にアルバム作ろうよ』って言っといて」と伝言したんだ。まあ、その時は実現しなかったんだけど。

UA:ちょうど私がカナダに移住するタイミングとも重なってバタバタしていたから。その伝言も後から聞いたの。「『今ならもっと売れる音楽作れる気がするんだわ』とか言ってたよ?」って(笑)。ただ、今回ベンジーに声をかけるにあたって、私はその伝言のことを全く忘れていて。だけど不思議とベンジーは絶対にオッケーしてくれると確信していた。断られるなんて1ミリも頭を過ぎらなかった。

ーー実際、浅井さんは二つ返事で快諾でしたか?

浅井:そうだね。「いいよ。やろうよ」って。

ーー椎野恭一さん、TOKIEさんのお二方は?

UA:やっぱりすぐに「やろう」と言ってくれました。有り難いよね。20年も経っているのに。各々が最前線で真摯に音楽と向き合ってこられた20年があったからこそ、もらうことができた即答だったと思いますね。

ーー制作はどのようなプロセスで進みましたか?

UA:コロナ禍に入る前はUAとしての仕事もあって帰国していたので、自分のツアーの合間にデモを聴きながら打ち合わせや音合わせをして。それが2019年。その頃にはもう今回は4曲入りにしようと自然と決まっていましたね。

ーー過不足なく、ぴったりこの4曲のみが決まったんですか?

UA:そう。この4曲以外、余分な音合わせは全くしなかった。考えてみたら面白いね。

『接続』は開けていなければ意味がない

ーー『接続』の4曲を聴いて感じたのは、今回のAJICOはかつてのAJICOと比べてかなり“開かれたカッコよさ”を放っているという点でした。それこそ、あんなに楽しいラジオ番組とか、20年前のAJICOの雰囲気だと、ちょっと想像がつかなかったし。タイトル通り、世の中とコネクト(=接続)しているなと。

UA:たしかにそうね。20年前はどちらかと言えば接続を拒んでいたかも。自分たちで勝手に演って「聴いてくれるならどうぞ」って感じだったもんね(笑)。ポップへの回帰という、ここ最近の私の心境も大きかったけれど、今回はむしろ開けていなけりゃ意味がないとさえ思っていたから。

浅井:以前とはかなり違ったね。正人くん(鈴木正人/サウンドプロデュース)もいるし、曲も以前と比べて一つひとつがコンパクトで、今の時代に合った仕上がりになったと思うよ。

ーー鈴木さんの参加はどのような経緯で?

UA:私が提案して。正人くんは私が1999年から長年信頼してきたバンマスで、ベンジーも20年以上前から彼のことを買っていたので、絶対にいい感じでこの4人の化学変化にプラスの要素を持ち込んでくれるはずだと目論んで。せっかくこの4人が集まるのなら、それぞれが持ち寄る化学反応と、それ以上のものが見たかったから。

ーーレコーディングは20年前と同じく、スタジオで全員、顔を合わせて?

UA:もちろん。最初から4曲に絞られていたから、シングルを4枚作るような集中力と勢いで、正味3日間くらいで一気に録って。そこからしばらく寝かせて、今年に入ってからトラックダウンをした。レコーディングエンジニアの関口正樹くんもミックスの奥田泰次くんも、私のリクエストをとてもよく汲んでくれましたね。

ーーレコーディングのエピソードで覚えているものがあれば聞かせてください。

UA:私がスタジオでミュージシャンのみんなに自分のイメージを伝える時の言葉って、ちょっと抽象的というか、時々、伝わり辛いみたいで。今回も制作中、椎野さんとのやりとりのなかで、「それはAJICOではなくUAの考え方なんじゃないか?」と指摘されて、ちょっと落ち込んだ場面があったんだけど。

浅井:みんなまるっきり分からん時がある。何言っとうか分からんから、もうちょっとちゃんと説明してくれ! と(笑)。

UA:正人くんはその翻訳係も担っている(笑)。カナダから帰国して、限られた時間のなかでワーッと作業をしようとしたせいで、私が焦っちゃった部分もあったみたいで。でも後で椎野さんから「ごめん。ちょっと面食らったけど、よくよく思い返してみれば、UAは昔から全く変わってないや」って。椎野さんとトッキー(TOKIE)は本当に大人(苦笑)。いつも冷静に私達を受け止めてくれる。私とベンジーはこんな感じでしょ? あの二人がいてくれるからAJICOは成立するんだと思う。

ーー作詞はお二人のどちらかもしくは共作で手掛け、作曲は全て浅井さん。ソングライティングのキャッチボールはどのように?

UA:そこも20年前と全く同じ。ベンジーから曲の断片のようなデモ音源を全部で15曲くらいもらって。

浅井:俺は自分のレコーダーにたくさんの曲が入っているんだけど、それを全部聴き直して、今のUAが歌ったら絶対にカッコいいと思ったものをストレートにピックアップして渡した。曲は日々常に書いているから、新しいものもあれば昔に書いたものもあって。そこからさらにUAが選んでこの4曲になった。

ーーちなみに浅井さんって、現状で曲やその断片のストックがどのくらいあるんですか?

浅井:どうだろう……400くらいかな。昔はカセットテープやらMDやったから失くしたりしたけど、最近はデータだからまず失くさないしすぐに取り出せる。デジタルの良さと怖さだけど溜まっていくばかりだわ。

ーー基本はギターを弾いて歌うというスタイルですか?

浅井:そう。なかにはピアノを弾いたものもあるけどね。これだけあるから、その気になればすぐにAJICOのアルバムだって作れるよ。今度は俺が全てコントロールしたいけどね。

UA:あはははは! やってみやがれ!(笑)。

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