そして、デビュー曲「Build a Bitch」MVは、公開1週間で7500万回再生を突破。グローバルチャート、USチャートでウィークリー1位を獲得し、新人アーティストのデビュー曲の歴代最高視聴回数を記録した。6月中旬現在、このMVは1億7200万回再生を超えている。TikTokでは、日本国内だけで配信開始から10日間で再生数が1億回を突破した。また、同曲のSpotifyでの再生回数は8220万回を超え、今なお伸び続けている。

　「Build a Bitch」は、キュートなトラックが印象的なミディアムチューン。生音っぽい音色の使い方、音数の少なさ、シンプルでキャッチーなメロディ、短い小節を繰り返す構成、R&Bを彷彿させるボーカルアプローチなどは、ここ数年のトレンドだが、ボンボン鳴る低音で、バウンドするリズム感を印象付けているところが斬新だ。アレンジのメリハリも起承転結があり、飽きさせないポップネスがある。しかしながら、この曲の最大の魅力は、そのメッセージ性にある。

　「女の子はカスタムできない」「好きなパーツを選べない」を繰り返しながら「私は欠点だらけで態度も悪い」と歌う本曲は、あらゆる蔑視を痛烈に批判した1曲だ。女性というより女の子の視点で描かれた皮肉も痛快。さらに彼女の出自や他に類のない経歴から、実体験がベースにあることも想像できる。ゆえに、ベラ・ポーチ自身が歌うことで、説得力が増す生きたメッセージになっているのだ。

　インフルエンサーとしてその存在をシェアされ、瞬く間にデビュー曲「Build a Bitch」もヒットさせたベラ・ポーチ。リリース以降、ハッシュタグチャレンジ「#あなたらしく」や、エフェクトを利用したメイク動画などで「Build a Bitch」を使用した動画の投稿数が急増しているのも、彼女らしいトピックスだ。同ハッシュタグ付きの投稿動画の再生回数は、リリースから約1カ月で13億を超えているというのもすごすぎる。

　ベラ・ポーチも「#あなたらしく」というハッシュタグとともに、TikTokに動画を投稿。日本に向け「Hey Japan」という挨拶とともに、こんなメッセージを発信している。

「この曲は、ありのままの自分を受け入れて、社会に何を言われても自分に正直でいることについて歌っているの」

■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル（新中野駅から徒歩2分）始めました。
Piccolo 266 インスタグラム（@piccolo266）