あくにゃん×ながちが語る、ジャニヲタメンズとして発信する意義 「“カープ女子”のようなムーブメントを起こせたら」

あくにゃん×ながち“ジャニヲタメンズ”対談(後編)

本当はキャッキャしたいけど……ジャニヲタメンズの葛藤

あくにゃん:会場で声とか出せます? 僕、あの高いキーが出せなくて。

ながち:「アリーナ!」「女子!」「男子!」とかの声出しあるじゃないですか。緊張しません?

あくにゃん:「男子!」の時に「うぇーい!」とかいうんですか?

ながち:協力はしたいので……ほんのりなんですけど(笑)。

あくにゃん:えらい! 僕絶対やらないです。

ながち:そうなんですね!

あくにゃん:男性が何人かいる中で、毎回1人だけ声が大きい人いません? タッキー(滝沢秀明)とか、その人とマンツーマンでコールアンドレスポンスをやってましたよ。そういうのってお客さんとして見ていると面白いんですけど、その近辺2メートル位の人は振り向くじゃないですか。その視線に耐えられない。僕の場合だと、井上瑞稀担として知られているから、彼が出てきた瞬間に周りが振り向いてくるんですよ。楽しそうにヲタ活しているイメージがあるらしく、あくにゃんがキャッキャしている姿を見たいとか、どんな反応しているのか見てやろう、みたいな気持ちもあると思うので、いろんな視線が来る時があって。そういう時はこうです(真顔)。

ながち:あははは! 本当はどっちなんですか?

あくにゃん:キャッキャしたいです。韓国界隈だともう二度と会わない、他の国の人たちだから声も出せるんですよ。でもジャニーズになると、あの視線が怖くて。たぶん、全員が全員敵視しているわけじゃないくて、好意的な目で「井上瑞稀くん出てきたよ」みたいな感じで見てくれる人もいると思うんですけど……。逆に「あいつなんなの?」「反応悪っ」みたいに思われるかもしれないけど、それでもいつも声は出せない。しかも韓国と日本で比較すると、日本の方が掛け声の声が高いんですよ。なおさらついていけないですよね。

ながち:男性限定ライブとかやって欲しいですよね。

あくにゃん:僕は逆に行けない気がするな。男だけを集めると“男祭り”という言い方になることが多くて、男性性を売りにしがちなんですよ。「お前ら声出せんのか!」「男ども! 盛り上がっていくぞ!」みたいな。僕は男祭りのノリが見たいわけじゃなくて、かわいい彼らを見たいので。それに見に来る人も、男性性が強い人だけじゃないと思うんです。フェミニンな人もいるし、「うぉーい!」ってしたくて行っている人だけじゃないから。だけど、全員が無理して男祭り感を作ろうとするんですよ。コンサートのロゴも大体筆書き、明朝体みたいなやつで「漢!」って感じで、それがちょっと苦手で。1回、ヴィジュアル系バンドのそういうライブに行ったことがあるんですけど、その時に辛かった思い出があるんです。

ながち:そういうノリが禁止で、いつも通りのコンサートだったら行きますか?

あくにゃん:それだったら行くかもしれないです(笑)。男祭りのノリを見せたらイエローカード! みたいな。

好きなものを好きと言える世界に

あくにゃん:ながちさんはSNSで発信していてよかったことはありますか?

ながち:「今度これやるよ」みたいな情報をファンの方からもらえることが増えましたね。知れることが増えたし、めちゃくちゃ助かります。

あくにゃん:助かりますよね。当日に「今日公開されますね」とか「この後出ますね」「今テレビ出てますよ」と言われて、「やばい、見なきゃ!」みたいな。

ながち:もう1個の情報局からメールが届くみたいな感覚でありがたいですね。そういうコメントは多いですか?

あくにゃん:出演情報ももちろんそうですけど、「この子オススメです」「最近こういうグループがいますよ」ってオススメしてくれて、それを見たりとかしてます。自分は雑誌やテレビ、YouTube上のその子しか知らないけど、「実はこういう子なんですよ」「こういう面白さがあるんですよ」というファンしか知らない情報を送ってくれて知ることもあります。

ながち:新しいことを知れるのはありがたいですよね。僕はあまり男性のジャニーズ、アイドル好きがいないところで育ってきたから、「男性でジャニーズ好きなのはダメなのかな」みたいな感じだったんですよ。僕らからしたら、みんなが野球選手を好きなのと同じ感じで、ジャニーズやアイドルが好きなんですけど。今の学生とかが、「男性でジャニーズが好きだけど、テレビとかで有名な男性ファンがいないからいけないことなんだ」となるのが嫌で。だから有名になって、「ジャニーズ好きって言っていいんだよ」という環境にしていきたいなって。

あくにゃん:僕も全く一緒です。さっきも話に出た重岡担の男の人なんですけど、コンサート会場に行くまでに団扇を堂々と出せることがかっこいいと思っていました。当時の僕は団扇なんてバレないようにしたかったし、柄が見えないような袋に入れていたから。SNSに「僕みたいな男の子がいても大丈夫ですか」「男だから行きにくい」ってよくコメントがくるんですけど、男の人が増えたら行きやすいかと言ったらそうでもなくて。多分、僕が1人の男性に救われたように、突出している人がいればいいと思うんですよね。その1人になりたいなと僕は頑張っています。世論形成をしていきたい、みたいな(笑)。

ながち:“カープ女子”のようなムーブメントを起こせたら、仲間が増えたり、影響力があるのかなと思います。

あくにゃん:“ジャニヲタ”男子みたいなね。カープ女子って、多分「にわか」というか、野球のルールも知らないような人もいたと思いますし、人数で戦っていたと思うんですよ。僕はいわゆるにわかに対して「本当はヲタクじゃないじゃん!」「え?コンサート入ったことあるの?」みたいな気持ちでいたんですけど、当時ルールを知らないカープ女子がいたように、ちょっとゆるくいこうと思いました(笑)。

ながち:あははは! でもにわかが増えてジャニーズを悪く言う人が増えたら……と考えると、深いファンが増えたほうがいいですね。

あくにゃん:でもそうすると敷居が高くなっちゃうから……僕は今年1年間、にわかに優しくなります(笑)! 今日はちょっと濃いめの2人の対談でしたけど、今後は薄口の人も受け入れてジャニヲタメンズの母数を増やしましょう。好きなものを好きと言える世界になると素敵ですよね。

■あくにゃん
『ヲタクをするために生きている』をモットーに
ジャニーズや、韓国アイドルをこよなく愛する“ちょろヲタ系”YouTuber
日本全国だけでなく、海外にまで応援しに行く姿がSNS上で話題に。
公式YouTube『あくにゃんちゃんねる!』:https://www.youtube.com/channel/UC-_yybtyNX3kDy7FGgXH9vg
あくにゃんTwitter:@akunyan621

■ながち
NSC東京第18期生。趣味はジャニーズ、カラオケ、美味しいものを食べる。特技はジャニーズ知識、ジャニヲタあるある、ジャニーズイントロ、SMAPの歌詞で人を励ます、動画編集。
Twitter:https://twitter.com/n_g_no18
「ながちゃんねる。」YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCHcEGkl2LG_FmpXI1OsGXiw
TikTok:https://www.tiktok.com/@n_g_no18

■発売情報
『推しがいなくなっても、ぼくはずっと現場(ここ)にいる―誰も語らなかったアイドルヲタクのリアル』(株式会社主婦の友社)
あくにゃん・著
定価:本体1400円+税
サイズ、ページ数:四六判・192ページ
発売日:2021年3月17日(水)
ISBN:978-4-07-447770-8
【Amazon】https://www.amazon.co.jp/dp/407447770X

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