嵐 櫻井翔×kz、Hey! Say! JUMP×DECO*27……ジャニーズとボカロP、新時代へと繋がるクロスオーバーの変遷
ボカロPらが手がける楽曲が広く浸透した昨今。その流れはジャニーズにも波及し、ボカロPが楽曲を提供するケースも増えている。本稿ではジャニーズとボカロPのクロスオーバーについて、これまでの代表的な作品からその変遷を辿ってみたい。
嵐 櫻井翔「Fly on Friday」(編曲:kz)
2012年10月31日リリースの嵐のアルバム『Popcorn』に収録されている櫻井翔のソロ曲「Fly on Friday」では、ボカロPとしても活躍するlivetuneのkzが編曲を担当した。15秒ほどのイントロを経て〈Oh yeah!〉と、櫻井の伸びやかな声が重なる。仕事から解放される金曜の夜。この瞬間を待ちわびる胸の高鳴り、夜に飛び込む高揚感が伝わってくるサウンド。月のミラーボールに照らされた金曜の夜に、ネクタイを外してクラブのフロアに自分を解放するーー櫻井が歌うからこそ、その解放感がより伝わる。
『Popcorn』では、KAT-TUN「STAR RIDER」の作曲をはじめ、Kis-My-Ft2などの楽曲を手掛けたステファン・エルフグレンや、EXILE「SHOOTING STAR」を制作したエリック・リッドボムなど海外クリエイターらが多数クレジットされている。当時ダンスミュージック系のボカロ曲で人気を博していたkzを起用することで、より一層、嵐の音楽に対する貪欲さ、進化を止めない姿勢が感じられた。
A.B.C-Z「Reboot!!」「Whippy」(作曲:みきとP)
2017年2月1日発売のシングル表題曲「Reboot!!」は、mikito名義でみきとPが作曲を担当した。A.B.C-Zデビュー5周年の記念日に発売されたメモリアル作品で、EDMサウンドにA.B.C-Zらしいポジティブな歌詞を乗せたダンスナンバーだ。メンバーも表情豊かに、まるでトークをしているかのような表現力で歌を聴かせ、細かなリズムに合わせたキレのあるアクロバットをダンスに盛り込みパフォーマンスを披露したことも。見て聞いて楽しめる、何より元気がもらえる一曲に仕上がっている。また、2017年6月21日リリースの4枚目のアルバム『5 Performer-Z』収録の「Whippy」も、同じくみきとP(=mikito)が作曲を手掛けている。
Hey! Say! JUMP「Letter」(作詞・作曲:DECO*27)
2021年5月12日発売のシングル『ネガティブファイター』通常盤収録の「Letter」は、DECO*27が楽曲提供したナンバー。J StormオフィシャルYouTubeでは同楽曲のPVも公開されている。
PVにはHey! Say! JUMPは登場せず、メンバーのシルエットが描がれたイラストで構成。絵師として活躍するゆりぼうが手掛けたやさしいタッチのイラストに、温もりを感じる歌詞テロップ、そこへメンバーの優しい声色が重なる。ややくすみがかった淡いトーンでまとめられ、ポップさを残しながらもHey! Say! JUMPらしい、ほのぼのとした温かい雰囲気が投影されている。