新譜連載「本日、フラゲ日!」
平井堅、TWICE、Hey! Say! JUMP……5月12日リリースより新譜5作をレビュー
毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は5月12日リリース作品より、平井堅『あなたになりたかった』、EMPiRE『HON-NO / IZA!!』、TWICE『Kura Kura』、さかいゆう『愛の出番 + thanks to』、Hey! Say! JUMP『ネガティブファイター』の5作品をピックアップした。(編集部)
前作『THE STILL LIFE』からじつに5年ぶりとなる平井堅のニューアルバム『あなたになりたかった』には、「僕の心をつくってよ」(映画『ドラえもん のび太の 南極カチコチ大冒険』主題歌)、あいみょんとのコラボ曲「怪物さん feat.あいみょん」など13曲を収録。平凡すぎる街のなかで取り残される女性を主人公にした「オーソドックス」、誰かに選ばれることもなく、鬱屈した空気の中で佇む“僕”を描いた「鬼になりました」など、他人への妬みや羨み、自分自身への嫌悪と否定、そして“ここではないどこかに行きたい、自分ではない誰かになりたい”というあまりにも切実な楽曲が並ぶ。ただ暗い気持ちを吐き出すだけではなく、濃密なグルーヴをたたえたボーカルによって、心と体を同時に揺り動かす作用こそが本作の魅力であり、平井堅の凄さだろう。(森)
先鋭的なダンスミュージックに裏打ちされた楽曲、質の高いパフォーマンスを武器にアイドルシーンにおける独自のポジションを奪い取っているEMPiREの新作は、初の両A面シングル。「HON-NO」は高速で飛び跳ねるエレクトロビートと歪みまくったギターサウンドがぶつかり合うアッパーチューン(個人的にはBOOM BOOM SATELLITESを思い出しました)。三浦大知やiriとの仕事でも知られる音楽家・Seihoが作曲、編曲、プロデュースを手がけた「IZA!!」はEDM、ダブステップ、ミニマルテクノなどを融合させたサウンドとともに、叙情性と解放感を同時に感じさせるメロディが広がるダンストラック。両極端な2曲によってEMPiREの魅力をダイレクトに伝えるシングルに仕上がっている。通底しているのは、誰もいないところに自分たちの居場所を作るという意思だ。(森)
グループの育ての親であるJ.Y. Parkが、TWICEの日本オリジナルシングル曲で作詞を手掛ける日がついにやってきた。彼女たちの新シングル表題曲「Kura Kura」は、J.Y. Parkらしいパッショネートな愛情の表現を、恋愛の熱に打たれたような“クラクラ”という言葉に落とし込んだ一曲となっている。トラックメイクは、BTSや三浦大知らにも作品提供経験のあるUTAが担当。トロピカルハウスの要素を取り入れたアッパーなトラックで、サビの直前や1コーラスごとにウィスパーボイスを挟むなど、緩急の付け具合が非常に心地よい。メンバーの半数が日本語を母語としないからこそ、“クラクラ”という言葉の発音も普段以上にオリエンタルな響きを纏っているように思う。(一条)