Little Glee Monster、4人体制で臨んだ初のさいたまスーパーアリーナ公演 パフォーマンスに滲み出る覚悟と自覚

リトグリ、4人体制で臨んだ初のSSA公演

 今年1月27日からスタートしたLittle Glee Monsterの全国アリーナツアー『Little Glee Monster Arena Tour 2021 “Dearest”』が、4月17、18日のさいたまスーパーアリーナ2DAYS公演をもって終了した。コロナ禍での有観客公演は二度目の緊急事態宣言の影響もあり、当初予定されていた広島公演、仙台公演を中止せざるを得なかったが、日本武道館のほか大阪城ホール、日本ガイシホールでの各2公演を政府機関、コンサート開催都市のガイドラインを遵守しながら実施、現在までに感染者の報告なく無事に終えることができている。

 また、昨年12月から休業に入った芹奈抜きでツアーを敢行することに対しても、メンバー自身さまざまな葛藤があったことだろう。そのあたりについては前回の記事(※Little Glee Monster、芹奈不在で臨んだ全国ツアー日本武道館公演 オンデマンド配信から感じた4人の決心の重み)にて触れているので、今回は割愛する。そういった思いを抱えて、『Little Glee Monster Arena Tour 2021 “Dearest ∞ Future”』と題して開催されたツアー追加公演のさいたまスーパーアリーナ2DAYS。本稿では最終日の4月18日公演の様子を紹介する。

 開演時間を待つ間、場内ではDJによるリトグリナンバーノンストップMIXを展開。スクリーンにてハンドクラップやちょっとしたアクションを促す演出も加わることで、リトグリ登場までの間にオーディエンスは体を温めることができたことだろう。声を上げたり一緒に歌ったりすることができない昨今、アーティストたちがさまざまな試みでコロナ禍ならではの演出を試みてきたが、このリトグリの手法も非常に彼女たちらしいやり方だ。

 その流れからバンドの演奏へと移行すると、ステージ上にかれん、MAYU、manaka、アサヒがそれぞれ別方向から登場し、ステージ中央へと歩んでいく。4人が一列に並んだところで、「I BELIEVE」でツアーファイナルをスタートさせた。武道館の映像を目にしたときは、4人が芹奈の不在を補い合う姿が印象に残ったが、この日は1曲目の時点でそれぞれの歌声と佇まいから頼もしさが伝わった。間違いなく、大阪や名古屋での経験が4人に絶対的な自信と強い自覚を与えたことが、この過去最大キャパ会場での単独公演を4人のみでやり遂げようとするポジティブさにつながったのではないだろうか。

 そんなことを考えていると、早くも2曲目に大ヒット曲「世界はあなたに笑いかけている」が投入される。熱量の高い歌はこの曲や続く「青い風に吹かれて」でも存分に活かされており、ここでは特にアサヒとかれんの活躍が印象に残ったことに触れておきたい。芹奈がリードをとるパートをほかの4人が分担する中で、この2人が本ツアーで果たした役割はもっと賞賛されるべきだ。もちろん、それにはMAYUやmanakaも絶妙なフォローがあってこそ。この2人もここぞというタイミングでは前に出てアピールし、それぞれの個性を発揮するパフォーマンスで観客を魅了していた。

 そんな4人の成長があるからこそ、アリーナ会場では一段と映える「ECHO」は今まで以上に強く響くものがあった。この4人だけのバージョンもまた違った味わいがあり、よりヒリヒリした攻めの「ECHO」を楽しめた。そんな熱量の高いステージから一転、MCではアサヒを中心に緩やかなトークが繰り広げられる。この落差もリトグリのライブならでは。2020年は彼女たちのライブを一度も生で体験できなかっただけに、これをライブ会場で直接楽しめることに感慨深さを覚えたのは、きっと筆者だけではないはずだ。

 朗らかなトークでさらに温まった空気を引き継ぐように、続いてのブロックではリトグリ流パーティチューンが連発される。「Be My Baby」ではセンターステージの天井から吊るされたミラーボールが煌びやかな世界を演出し、「Baby Baby」では4人が息の合ったダンスを披露。大人びたテイストが強調された「move on」「SPIN」や、その流れから突入する最新ナンバー「Waves」では全員20代に突入したこのタイミングだからこその「リトグリの“今”」をしっかり提示してみせた。中でも、「Waves」でのMAYUの歌い出しには背筋がゾクっとするほどシビれるものが伝わったことも、特筆しておく。

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