新譜連載「本日、フラゲ日!」
WANIMA、A.B.C-Z、櫻坂46、ちゃんみな……4月14日リリースより新譜4作レビュー
櫻坂46、2ndシングル表題曲「BAN」は、グループの過渡期を当て書きしたかのような一曲に。欅坂時代からの脱却を求められがちな風潮に、〈変わらないっていけないことなの?〉という真っ当な疑問を突きつける。また、アコースティックギターのスラップ奏法が映えるトラックは、欅坂46「サイレントマジョリティー」などを彷彿とさせるが、2期生を含めての歌声がますますの統一感を帯びるなど、グループのイメージを更新することも忘れてはいない。そんな彼女たちに関わったすべての人を、希望に満ちた未来へと導いてくれるのが「櫻坂の詩」(通常盤収録)。そのほかのカップリング曲は「君と僕と洗濯物」(TYPE-B収録)など、恋愛をテーマにした楽曲で揃えられている。(一条)
ちゃんみなのニューシングル『美人』のテーマは、ルッキズム(容姿、身体など、見た目によって人を評価すること)だ。去年、ジョギングと食事制限で体重を落とした際、インスタの写真を見た人から「そんなにかわいいなんて落ち込む」といった感想が寄せられたことが曲を書いた直接のきっかけだったそうだが、“外見で評価が変わる”“コンプレックスや羨望を呼び起こす”という問題は、ジェンダーや年齢に関わらず、誰もが直面したことがあるはず。他者や世間の目を気にするのではなく、自分自身の美意識に従って生きるべきーーそんな力強いメッセージは、リスナーの価値観や考え方を揺さぶると同時に、ちゃんみな自身に対する鼓舞でもあるのだろう。鋭利で強靭なトラック、官能的なフロウを含め、きわめて意義深いヒップホップチューンだ。(森)
※掲載時、一部表記に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。
■一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter(@kota_ichijo)