声優 関智一、なぜいま改めてブレイク? 一貫した役者としての表現に迫る

声優であり役者 関智一を形作る恩師の教え

 『桜の塔』に俳優として出演することがニュースにはなったものの、関智一を知る人にとって、それはそこまで驚くほどのことでもないだろう。というのも、彼は一貫して“声優であり、舞台俳優でもある”からだ。

 1993年に劇団ヘロヘロQカムパニー(以下、ヘロQ)を仲間たちと立ち上げた当初は、声優業界からも小劇場界からも疎まれ、観客といえる観客はほとんどいなかった。それでも“舞台上での演劇”にこだわり続けてきたのは、恩師である故・水鳥鐵夫の言葉があったからだ。「声優といえど俳優であるから、舞台で肉体を使った演劇を経験していたほうがいい」。その教えはいまも彼の土台となり、役者・関智一を形作っている。

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 ファンも増え、多くの声優がゲストで出演するようになったヘロQ。この5月には、配信公演第2弾となる日替わり配信生ドラマ『アッパレ!~下町大家族~』が予定されている。12ステージすべての内容が異なる、一度かぎりの物語。『桜の塔』で関智一を知った人も、まだヘロQに触れたことがない人も、関をはじめとする彩り豊かな役者たちの芝居にぜひ一度触れてみてほしい。 

 ということで、いま改めてブレイクを迎えている声優・関智一について駆け足で紹介してきたが、最後にひとつ、筆者が以前インタビュー取材した際の印象について触れておきたい。

 バラエティ番組での破天荒な関智一や、七変化のようにあらゆる役を鮮やかに演じる関智一、といったイメージをもって対面した彼は、想像以上にピュアで誠実な人だった。「成熟した厚みを持つ大人と、繊細で傷つきやすい子供が同居しているような印象」とそのときは表現したが、その印象はいまでも変わらない。

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 「許されるなら、歳を取っても現役で現場にいたい」と語っていた彼は、『桜の塔』の公式インタビューでも「声優としても俳優としても長く必要とされる自分でいれたら、うれしいです」と答えている。どこまでも誠実に、どこまでも芝居にこだわる役者・関智一の新たな挑戦に期待したい。

■とみたまい
フリーライター。主に声優、アニメ、特撮などのジャンルにおいて、インタビュー取材を
中心に活動中。Twitter(@maguuuuu)

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