“美と狂気”でリスナーを魅了 謎多きユニット DUSTCELLが秘めたグローバルに広がる可能性
厭世的でダークな世界観もDUSTCELLの特徴の一つだ。ユニットの楽曲の方向性として「美と狂気」をイメージしていたというMisumiの言葉通り、耳に残るメロディアスなサウンドに乗せられているのは、誰もが心に持ちうる闇や欠落感を、綺麗ごとを許さずシニカルに描いたフレーズたち。例えば、トラップ的展開が盛り込まれた「CULT」は多重人格をテーマに、人間の心の多面性を〈誰かがそこで笑ってた/僕によく似ているCULTなeyeで〉と表現して見せる。いじめとその復讐を描いた「DERO」は、EMAのチルなラップで〈「今日はあまり良くない一日でした。」 /365(mirogo)意味不明の反省から始まるLIFE NOTE)と歌い上げる。
作曲はMisumiが制作するものと二人で共作しているものもあるが、EMAによる作詞も注目すべきポイントだ。日記を見返してそこから感情を拾って言葉にしているというEMAの歌詞は内省的なのが特徴で、例えば、「STIGMA」は、生きる苦悩の中で「唄」という道を選び取ったことを描いている。この決意は、「DUSTCELLのEMA」として始動する際、自らがファンに向けて発信した「0から音楽を始めよう」という決意と重なっている。〈「けど、其処には唄がありました」〉というセリフ調の歌詞が象徴的だ。
また、「SOPPY」では〈お姉ちゃん彼氏に振られてた/アイスを奢ってあげました〉など生々しい日常感のある言葉のチョイスや、〈ぴ/"心電図の真似でした。"〉などの遊び心が独特の感性を感じさせる。
ハイクオリティなアニメーションMVが曲を彩るのも、ネット発のアーティストらしいところだ。群青(https://twitter.com/qunqing123)の手がけた「STIGMA」、「終点」の宗教画を思わせる吸い込まれるようなイラストや、Ligton(https://twitter.com/ligton1225)によるキャッチーな絵柄とストーリー性のある展開で惹き込む「CULT」や「アネモネ」のアニメーション、ビビットな色遣いと個性的な絵柄で独特な雰囲気を醸し出す람다람(https://twitter.com/rrr001222)のアニメーションによる「SOPPY」など、美麗な映像たちがDUSTCELLの「美と狂気」の世界をより一層盛り上げている。
世界で勝負できる音楽性と引き出しの多さ、独創性を持って降り立ったDUSTCELL。次々に新たな才能が生まれ、流行の入れ替わりが激しい昨今の音楽シーンにどのように切り込み、地位を確立していくのか、ここからの快進撃が期待される、注目のアーティストである。
参考:https://mag.digle.tokyo/interview/bigup/80591/4
■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。Twitter(@erio0129)
■リリース情報
新曲「命の行方」
4月10日(土)配信リリース
配信はこちら
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