Maroon 5があらゆるオーディエンスの欲求を満たす 「One More Night」などヒット曲連発の配信ライブ

Maroon 5、配信ライブレポ

 『American Express UNSTAGED with Maroon 5』と題されたMaroon 5のライブが日本時間3月31日に配信された。

 現役ロックバンドの最高峰に君臨するMaroon 5。そんな彼らでさえコロナの影響を免れることはできなかった。2020~21年のツアーは中断。昨年7月にはベースのミッキー・マデンが離脱するなど波乱もあった。だが、2020年7月には「Nobody’s Love」、2021年3月には「Beautiful Mistakes feat. Megan Thee Stallion」と新曲をリリースし、その健在ぶりをアピール。さらには、ツアーも今年7月より再開されることが発表され、近く7枚目のアルバムをリリースする予定というアナウンスもあった。そんな中での久々のライブだ。

 薄暗い室内で点滅する照明。背景のスクリーンに映し出されるサイケデリックな映像。周囲には古代ギリシア建築風の円柱が立ち、また植物や様々なオブジェも置かれている。中央には黒いコートを羽織ったアダム・レヴィーン(Vo/Gt)、その隣りにはジェームス・ヴァレンタイン(Gt)。前面に立つ二人を囲うように、背後にはマット・フリン(Dr)、下手にはサム・ファーラー(Ba)とジェシー・カーマイケル(Key/Gt)、そして上手にPJモートン(Key)。軽いジャムセッションのようなものを繰り広げた後、ギターのジェームスが鳴らす裏打ちのカッティングに導かれ、2012年に全米No.1となった彼らのヒット曲「One More Night」が披露される。レゲエのリズムをさらに強調し、こちらの逸る気持ちを焦らすかのようにジワジワと熱量を上げていく。

 アダムの野獣のような雄叫びで始まったのは「Animals」。リズム隊が敷き詰めるタイトなビートと、ジェームスの軽快なギターのストロークとがぴったりと寄り添い、その上でアダムがファルセットを交えつつ起伏に富んだ旋律を綴る。驚いたのは、アダムが途中でキティちゃんのイラストが描かれたギターを抱えたこと! さらに曲のエンディングでは、ジェームス、ジェシー、アダムがギターを歪んだ音で掻き鳴らしながらメタルサウンドを展開。ライヴではしばしばハードな演奏を繰り広げる彼らだが、ここでも“ロックバンド”である彼らの一面が浮き彫りとなる。

Maroon5
 そこから一転、メロウな音像が広がり、より間口の広い“メインストリーム”バンドとしての側面が打ち出される。まずは3月にリリースされたばかりの新曲「Beautiful Mistakes」。ラップパートでは、ミーガン・ジー・スタリオンの姿が後方のスクリーンに映し出される。そして、トロピカルハウス風音色も散りばめられた「What Lovers Do」、洗練されたファンクナンバー「Makes Me Wonder」、ラテンのクラーベのリズムを基調とした「Don’t Wanna Know」と続く。この振り幅がMaroon 5だ。続いて、全米シングルチャートにて7週連続No.1を獲得した彼ら最大のヒット曲「Girls Like You」。この曲のラップパートでも、PVの映像が多数のTVモニターに映し出される形で、カーディ・Bが“参加”する。

 ここでおもむろに始まった質問コーナー。事前に募集された質問にアダムとジェームスが答える。まずは「カバー曲をやるなら?」の問いに、ジェームスは「Rushの『Tom Sawyer』」、アダムは「Nine Inch Nailsの『Closer』」。「一緒に作曲してみたい人は?」という質問には、アダムが「The Neptunes」と答える。そして「自分たちのアルバムで一番好きなのは?」と問われると、アダムが「1stアルバム(『Songs About Jane』)」、そしてジェームスが「常に次のアルバムだ!」と声を上げる。

 次のセクションは、アダムが最も好きだと答えた1stアルバムからの曲が並ぶ。「Secret」「Sunday Morning」、そしてアダムとジェームスの二人がアコースティックで綴る「She Will Be Loved」。スタジオの照明が明るくなり、色とりどりの花が美しく映えると、聴こえてきたのはMaroon 5屈指の有名曲「This Love」。ナイル・ロジャースに影響を受けたというジェームスの小気味良いカッティングと、アダムのソウルフルなボーカルが核となり、ファンクとロックが交差するMaroon 5節が炸裂する。

 続いてPJのエレピから始まる「Memories」。早世した朋友マネージャーに捧げたこの曲でのアダムは、溢れる想いをいくらか抑制しながら研ぎ澄まされた表現へと昇華させている。

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