森朋之の「本日、フラゲ日!」
マキシマム ザ ホルモン、SPYAIR……コロナ禍を経たロックバンドの新たな表現 新譜5作をレビュー
25周年を迎え、結成当初の3人体制(谷川正憲 /Vo&Gt、谷浩彰 /Ba&Cho)、吉田昇吾 /Dr)に戻ったUNCHAINのニューアルバム『Animal Effect』。自粛期間中にリモートで制作されたグルーヴィ&メロウな「Choices」、竹内アンナがコーラスと作詞で参加したネオソウル系ナンバー「Touch My Soul」など、このバンドの特徴であるハイブリッドな音楽性を堪能できる楽曲が並ぶ。ソウル、ジャズ、ファンクなどを取り込んだしなやかなサウンドメイクも素晴らしい。リード曲「Elephant Ship」は〈未だ見ぬ 未来という 彼方へ〉というラインを高らかに響かせるミディアムチューン。壮大にして力強いメロディ、先が見えない現状を打ち破ろうとする意思を込めた歌詞が共存するこの曲は、新たなスタートを切った彼らのモチベーションを証明している。
神戸発の3ピースバンド、w.o.d.の3rdアルバム『LIFE IS TOO LONG』は、彼らのルーツであるグランジ、オルタナを2020年代の日本のロックとして再構築した充実作。Led Zeppelin、The Chemical Brothers、Oasisがセッションしているような「モーニング・グローリー」、“クラウトロック×ガレージパンク”な爆音チューン「楽園」など、どの曲にも偉大な先人たちからの影響が強く感じられるのだが、臨場感に溢れたバンドサウンド、その瞬間の閃きと反射が込められたパフォーマンスによって、“今”のロックに導かれているのだ。歌心を増したサイトウタクヤ (Vo/Gt)のボーカルも確実に成長。特に「あらしのよるに」における、大切な人と会えない寂しさ、自分と向き合うことの意味を描き出した歌には、強く心を揺さぶられた。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。