Mr. Bigは、なぜ被災地に寄り添うのか 日本のファンとの間に生まれた深い絆

Mr. Bigは、なぜ被災地に寄り添うのか 日本のファンとの間に生まれた深い絆

 ここ日本でも絶大な人気を誇るアメリカのハードロックバンド、Mr. Big。今年は東日本大震災(2011年3月11日)からちょうど10年を迎えたこともあり、一つのドキュメンタリー映画が公開されることになった。それが『MR.BIG ~3・11から10年 被災地とともに歩んだ外国人バンド』である。これは3月18日~21日に開催される『TBSドキュメンタリー映画祭』(会場はユーロライブ)の中で上映される作品の一つで、Mr .Bigファン、並びにロックファンには必見の内容と言えるだろう。

 今回はそれに先駆け、3月8日にLOFT9 Shibuyaにて先行上映会&トークイベントが行われた。当日は作品の監督を務めた川西全氏、“メタルゴッド”こと音楽評論家の伊藤政則氏を招き、TBSアナウンサーの初田啓介氏が司会進行を務める中、会場にはマスク着用で多くの観客が詰めかけていた(オンライン配信もあり)。ちなみに遠目には確認できなかったかもしれないが、この日、川西氏はBABYMETALの黒マスクを着用していた。そう、今回の先行上映会は、川西氏の「メタル・レジスタンス」の始まりでもあるのだ。

 この日は本編60分バージョンの映像ではなく、25分の短縮バージョンが上映されたものの、見応えは十分だった。

 2011年4月、被災地・盛岡でライブを行ったMr. Big。バンド自身もこういう時期にライブをやっていいものかと悩んだそうだが、こういう時期だからこそ音楽に救いを求めている人がいるんだと関係者に説得され、来日公演に踏み切ったのだという。映像はその会場に足を運んだ世代が異なる女性ファン2人の視点を重ねて伝えていく。現地に住む人のリアルな肉声と心境を聞き、改めて“音楽の力”を感じる場面が多々あった。

 そして3年後、2014年の来日公演ではパット・トーピー(Dr/2018年に死去)がパーキンソン病を患っており、以前のようなパワフルなドラム演奏が困難な中、仙台公演で数曲ドラムを叩く場面では大勢のファンが歓喜する様子をカメラは捉えている。海を越えて、Mr. Bigと日本のファンが深い絆で結び付く光景に思わず涙腺が緩んだ。さらにその翌年にあたる2015年にはエリック・マーティン(Vo)がアコースティックにてソロツアーを開催。そこには被災したライブハウス・石巻 BLUE RESISTANCE公演も日程に組まれ、パットはそのツアーにも同行し、ファンからプレゼントされたギター型の打楽器をプレイする姿も映されていた。どんな困難があろうとも現実に立ち向かっていくパット、また、被災地に寄り添い続けるMr. Bigの行動力に、多くの人たちがエネルギーをもらっていた。

 25分の上映会が終わると、ここから1時間に及ぶトークイベントへ。Mr. Bigがハードロック/ヘヴィメタルの入口だったという川西氏が切々と熱い思いを語ると、「ファンじゃないと作り得ない」「愛情が毛細血管のごとく張り巡らされた作品」と、伊藤氏は読み手の感情を滾らせるライナーノーツばりに熱烈な言葉で褒め称える。

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