BTSら所属事務所、Big Hitが新たな展開へ 「Weverse」と「V LIVE」の統合やYG PLUSへの投資に注目

 BTSらが所属するBig Hit Entertainmentの子会社・beNXにNAVERが投資し、beNXによる「Weverse」とNAVERによる「V LIVE」が統合して新たなファンコミュニティプラットフォームを立ち上げることが発表された。また、Big HitとbeNXがYG ENTERTAINMENTの子会社・YG PLUSへ計700億ウォン(約70億円)を投資することも明らかに。今後、Weverseはじめ、様々な展開で協力していくと見られる。こうした動きを踏まえ、Big Hitの今後の展開についてK-POPや韓国音楽シーンに詳しいライターのDJ泡沫氏に話を聞いた。

 まず、WeverseとV LIVEの統合については以下のように教えてくれた。

「Big Hitは上場するときにKakaoMやNAVERのような、エンタメを含む総合的なIT関連企業を目指すと言っていました(参照)。今回の動きでは、beNXというWeverseの運営などを手掛けるIT関連企業の株をNAVERが49%取得。投資というよりは、所有権がBig HitとNAVERでほぼ半々になるので、共同経営とも言えます。1年かけて2つのプラットフォームを統合した新しいプラットフォームを作り、どちらか一方だけに登録していたユーザーも、両方使えるようになるといいですね。V LIVEはBTSやTOMORROW X TOGETHERも使っているプラットフォームで、立ち上げから5年経過しており登録者数も非常に多いですから、そのユーザーを全てWeverseに移行するというのは現実的ではないかもしれません。熱心なファンはコンテンツが移動したらWeverseを利用するでしょうけど、特に海外には掛け持ちのファンも多いので、V LIVEだと一度登録すれば既存の様々なグループのコンテンツを楽しむことができるというのが強みです。また、LINE LIVEでも一部の動画を観ることができます。それを考えると、V LIVEと対抗するのは、Weverseにとってあまり得策ではないかもしれないですね。SEVENTEENとBTSは、VLIVE+という有料会員向けのコンテンツを最近Weverseに移行しました。2組はフォロワーも多いので、NAVER的にもそこが抜けてしまうのは厳しい。一方でV LIVEもスタートしてから5年以上経ち、相当数のコンテンツが溜まっているので、それを全てWeverseに移動させる手間を考えると共有した方が良い。さらにはユーザーの利便性も考えての判断なのではないでしょうか」

 さらに、YG ENTERTAINMENTとNAVERの関係性についても以下のように話す。

「実は2017年にはNAVERがYGに100億円を投資しています(参照)。その時にこれを皮切りに様々なエンターテインメント関連企業とパートナーシップを結びたい、と言っていましたので、その流れでBig Hitにも投資を行ったと考えられます。これを踏まえると、Big Hitと(NAVERがほぼ半分の株を持つ)beNXからYG PLUSへの投資も自然な流れだと思います」

 では、YG PLUSへの投資によってWeverseは今後どのような展開を見せるのだろうか。

「YGは韓国でアーティストグッズを買えるリアルショップを展開していますが、YG PLUSにはマーチャンダイズの流通や生産をやっている部署があります。今回はBig Hitが300億(ウォン)、beNXが400億を投資するということで、Weverse Shopの強化もが一つの目的かもしれません。というのも、PLEDIS Entertainment合流後、SEVNETEENのグッズをWeverse Shopで販売した際に梱包の不備や不良品などがあり、一部ファンから不満の声が上がったことがありました。BTSやSEVENTEENなどは国内外含めファンの数が多く、流通量も凄まじい。さらにコロナ禍でリアルなコンサートがなかなかできないので、通販でのグッズの販売はより重要になっています。そのため、流通やグッズ管理を強化しようという考えがあるのではないでしょうか」

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