花守ゆみり、東山奈央、高橋李依……『ゆるキャン△』で見せる女性声優たちの好演 視聴者の心潤す、それぞれの表現に注目

 この1月から放送が始まったTVアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』(AT-X、TOKYO MXほか)。3年前に放送されたSEASON 1から、作品の雰囲気を形作るのに重要な役割を担い続けている要素のひとつに、声優陣の好演が挙げられる。そこで本稿では、そのSEASON 1でメインキャストを務めた5人、花守ゆみり・東山奈央・原紗友里・豊崎愛生・高橋李依の演技面に注目。東山や豊崎などアーティスト活動も盛んな声優たちの、『ゆるキャン△』ならではの空気感を作り上げたそれぞれの表現について、改めて振り返っていきたい。

特徴をとらえるだけにとどまらない解釈力と表現力

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 まず5人の芝居における共通点としては“テンプレで終わらない”といった点が挙げられる。5人のキャラクターそれぞれが持つ非常にわかりやすい“特徴”は発揮しつつ、同時に併せ持った等身大の高校生らしさも、突飛さを感じさせることなく地続きに演じきっている。その自然さがまず第一に、作品全体や各々の会話における聴き心地や雰囲気のよさに繋がっているのだ。

 たとえばW主人公のひとり・各務原なでしこを演じた花守ゆみりは、たまらなく愛らしいなでしこ像を描写しながらも、会話中における小技の利かせ方がピカイチ。ぽつりとつぶやくひと言も比較的長いセリフでも、呼吸を含めたセリフ回しの塩梅が絶妙で、決して視聴者を飽きさせない。しかもなでしこは、改めて注目すると能動的に小ボケも入れてくる。そのボケも、ただほわほわと漂わせるだけではなく、しかし逆にウザさも感じさせず、ここでもかわいげと愛らしさを感じさせつつ視聴者へと届ける巧みさを持っているのだ。

 SEASON 1の放送後にはボーイッシュな少女や少年役などを次々とこなし、役の幅を一気に広げた花守。その経験をもって、SEASON 2ではどんななでしこ像を形作ってくれるのか。なでしこの子犬感を増幅させた、“天性の愛嬌”ある声がどう活かされるのかにも、要注目だ。

TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』本予告 │ 2021.1 ONAIR

 また、もうひとりのW主人公・志摩リンを演じた東山奈央の演技は、振り返ればシリーズの成否をも左右したと言っても過言ではなかったもののように思う。リンは表面的には“クールな子”に見える。とりわけSEASON 1の序盤、なでしことの会話を中心に、特にそう見える場面が多かった。だが彼女は、単にデフォルトのトーンや温度感が低めなだけで、感情は普通に揺れ動く。野クル(野外活動サークル)に勧誘された際にわかりやすく嫌な顔をしたことを思い出せば、おわかりいただけるはずだ。その本質を東山が最初からすくいとっていたことがわかるのが、SEASON 1第1話のアバン(オープニング前に流れるプロローグシーン)。第12話のクリスマスキャンプへと繋がるこのシーンで、短いセリフながらも十分すぎるほどに温かな内面を感じさせてくれていたのだ。もちろんそれぞれへと心を開くプロセスなどは感じられたものの、この本質をブレずに貫き通し、SEASON 2でも変わらぬリン像を表現し続けてくれている東山に、改めて拍手を送りたい。