櫻坂46、『紅白歌合戦』初出場での独特の気迫 “紅と白”の特別衣装、グループ全員パフォーマンスの意義とは

改めて示した“全員で成長する”という意気込み

 そして今回のステージで特徴的だったのが、歌唱中に選抜以外のメンバーが舞台に駆け寄り、サビ部分からグループ全員でパフォーマンスした点である。これには「選抜の意味がないのでは?」との声が上がってもおかしくない。しかし、選抜制度を導入した点にも、楽曲によってメンバーを入れ替える新体制にも、そもそも改名という決断自体にすらも、その根底には“全員で成長する”というテーマがある。『紅白歌合戦』は他とは違う場所だ。そこに立つということに特別な意味がある。あの日あの場所で歌ったということに、再スタートへの意気込みと、改めて“全員で成長する”ことへの誓いの意味が帯びてくるだろう。なので、今回のステージにはこれまでにはない独特の気迫のようなものが漂っていた。激動の2020年を共に乗り越えた仲間たちと今一度ここで肩を組み、チーム一丸となって活動していこうという前向きなエネルギーが画面を通して伝わってくるようだった。

 新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて史上初の無観客開催となり、アーティスト間のコラボも減った今回の『紅白』。それによって比較的“歌”そのものが浮き立つ作りになっていたことも幸いし、彼女たちのこうした新鮮な魅力は、より広く深くお茶の間に届いたことだろう。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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