KinKi Kids、2020年締め括るアルバムチャートで首位に 『O album』は王道&実験に溢れた“歌謡の本懐”を感じさせる1枚

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2021-01-04/

 事実上2020年最後となる1月4日付(12月21日〜12月27日)のオリコン週間アルバムランキング。首位に輝いたのはKinKi Kidsの『O album』でした。2位のBABYMETAL(5.3万枚)、3位のEve(3.5万枚)など、話題のアーティストから大きく数字を引き離しての初登場1位。約13.6万枚とセールスも安定しています。

 安定と言いましたが、KinKi Kidsのアルバムは実に4年ぶり。ジャニーズ系アイドルは1~2年のサイクルでアルバムが出るのが普通なので、ずいぶん久々と言うべきでしょうか。とはいえ既視感があるのは堂本剛のソロプロジェクト ENDRECHERIが2018年、2019年、2020年と年1枚のペースで作品を量産していたから。バキバキに踊れて強烈にエロティックな、日本の音楽シーンを見渡しても他に見当たらないファンクでした。

 ことに、『SUMMER SONIC』出演が大きな話題になった2018年以降、剛の音楽は一般層からコアな音楽ファンにまで面白いほど浸透していきました。“ジャニーズのアイドルがやっている”という枕詞なしに“ENDRECHERIのファンクがすごい”のだと。自作曲でデビューすること、それがラブソングではなくメッセージソングだったことなど、剛ソロに関しては最初から異端の要素が強かったけれど、本人の情熱が長い時間をかけて周囲のバイアスを壊していったのでしょう。

 その間、堂本光一はといえば舞台をメインに大活躍。主演ミュージカル『Endless SHOCK』は上演回数日本一の人気公演であり、本人が主演するだけでなく、構成・演出・総合演出もすべてプロデュース。そのための肉体改造も厭わない情熱を見せていました。舞台に生きると決めた彼のストイシズムも、剛と同じくらい一本気。『O album』のジャケットもそうですが、KinKi Kidsのイメージって、いかにもアイドルらしい笑顔じゃないんですよね。自分の居場所はこれと決めた覚悟のある目。どこか職人っぽい雰囲気の二人組というのも、やはりジャニーズでは異端なのかもしれません。

 いまやそれぞれ居場所がある二人。無理に寄り添う必要のない異端の二人。ですが、それでもKinKi Kidsの名の下に、音楽性は不思議と王道に戻ります。デビュー曲「硝子の少年」にあったコテコテな昭和歌謡の匂い。カラオケで熱唱したくなるマイナー調のメロディと、本人の歌声やビブラートから漂う色気が勝負の昭和歌謡。デビューからこれだけ時間が経っても、KinKi Kidsのサウンドってそこが軸になっているんですね。

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