梶裕貴、野島健児、古川慎……男性声優たちの松田聖子カバーが伝える“楽曲本来の秀逸さ”
最後に5人全員で歌うのは「瑠璃色の地球」。1986年に発表された同楽曲は、〈夜明けの来ない夜は無いさ〉というフレーズから始まるメッセージソングだ。コロナ禍に見舞われ、世界全体が苦境に追い込まれた今年聴いてこそ、より一層染み入る曲となっているのではないだろうか。松田聖子自身も今年7月、この曲をリアレンジ/リレコーディングし、「瑠璃色の地球 2020」として公開している。合唱曲の定番でもある「瑠璃色の地球」。サビで5人の声が重なり、広がっていくのが非常にドラマチックだ。
今もなおテレビやラジオなどで耳にする機会が多い松田聖子の往年のヒット曲。今回のアルバムに収録されているのも、世代を越えて耳なじみのある曲が揃っているが、それゆえに改めて腰を据えて聴きなおすことが少ないと言えるかもしれない。そんな中このアルバムは、「松田聖子の歌」としてだけではなく、楽曲そのものの秀逸さを思い起こさせせてくれたように思う。新しいものを追いかけ続けるだけでなく、時には普遍的な音色に身を委ねたいと思わせる一枚だ。
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■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。満島エリオ Twitter(@erio0129)