麻倉もも、田村ゆかり、豊崎愛生……強い憧れと大胆なアレンジ光る、女性声優たちによる松田聖子カバーを聴き解く

VOICE〜声優たちが歌う松田聖子ソング
V.A.『VOICE〜声優たちが歌う松田聖子ソング〜 Female Edition』

 豪華声優陣が松田聖子の楽曲をカバーしたアルバム『VOICE〜声優たちが歌う松田聖子ソング〜 Female Edition』『VOICE〜声優たちが歌う松田聖子ソング〜 Male Edition』が、12月9日に発売された。

 今回の記事では、『VOICE〜声優たちが歌う松田聖子ソング〜 Female Edition』について取り上げる。今作に参加した女性声優は6名。本稿では、そのなかでも麻倉もも、豊崎愛生、田村ゆかりの3名のカバーをピックアップしご紹介する。

 麻倉ももは、11月7日にオンエアされたラジオ番組『MOMO・SORA・SHIINA Talking Box』(文化放送)内で、今作について言及している。曰く、「好きすぎて、私なんかが選ばれるなんて、おこがましい」とのこと。1994年生まれの麻倉にとって、世代的にはモーニング娘。などのハロー!プロジェクトや、AKB48を始めとするAKBグループなどを傾聴しそうだが、松田聖子の音楽は母親とともに好んで聴いていたそうだ。

 今回の制作にあたって、ブレスの置き方やアクセントにまで気をつけ、松田聖子へのリスペクト全開で臨んだ麻倉。彼女のソロ作品と比べると、比較的伸びやかなトーンで歌い上げているように感じられる。ハッキリと言葉を発音し、伸びやかに声を響かせるボーカルスタイルは、松田聖子の歌唱スタイルにも通ずる部分だ。きっと「Pearl-White Eve」ではよりそれを感じられるだろう。なお、いまでは言葉としても定着した“クリスマスソング”ではあるが、同楽曲は初めてオリコン1位を獲得したクリスマスソングとも言われている。

麻倉もも – Pearl-White Eve
松田聖子 – Pearl-White Eve

 オリジナルは、発売された1987年当時の音楽シーンも関係してか、ボーカルを含めて全体的にリバーブ/エコーが強くかかっており、奥行きやクリスマスムードを演出している。対して、今回の麻倉によるカバーはかなり軽いリバーブ/エコー処理となっていて、松田聖子へのリスペクトを込めた麻倉自身のボーカルをしっかりと聴き取ることができる。

 次は麻倉が所属しているミュージックレイン、その事務所の先輩にあたる豊崎愛生に目を移してみよう。豊崎の音楽愛はかなり熱く、オールディーズなロックやポップスを収集するアナログ愛好家として紹介されることもしばしばある。

 松田聖子の音楽を支えた松本隆を筆頭に、呉田軽穂(松任谷由実)、財津和夫、尾崎亜美、南佳孝、細野晴臣、大瀧詠一らも、彼女が愛聴している音楽であろう。その影響は、2018年にリリースされた、70年代の日本語フォーク〜ロックシーンに焦点をあてたカバーアルバム『AT Living』を制作していることからも明白だ。これらを踏まえた上で、豊崎が今作に参加したことも、自然な流れとして受け止めることができるはずだ。

 豊崎愛生がソロでカバーした2曲、「天国のキッス」「蒼いフォトグラフ」ともにかなりオリジナルを意識したものになっている。特に「蒼いフォトグラフ」では、イントロとサビにおけるソウルミュージックらしいファンキーさや歯切れ良さ、AメロとBメロでのメロウなムード、この2つの要素がよく映えるようリビルドされているのがわかる。

豊崎愛生 – 天国のキッス

 オリジナルでは、シンプルな8ビートを基礎に、クッキリとしたベースラインと松田聖子の声が主軸となり、サビではブラスセクションとコーラスが華を添えるような構成になっている。

松田聖子 – 天国のキッス

 今回のカバーではオリジナルをリスペクトしつつ、ドラムのハイハットやバスが元に比べてより細かく刻まれ、2番に入ったタイミングで楽器隊の音が消え、豊崎の丸っこくも穏やかな声色を生かすような構成になっている。この2点が加わったことで、よりくっきりと映えるカバーとなっているのだ。



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