Maica_n、熟練のメンバーと共に彩った初のワンマンライブ 自在なサウンドで魅せた“できることをやっていく”想い

Maica_nが表現する“できることをやっていく”想い

 ヒリヒリした緊張感と、心地よい浮遊感が交互に押し寄せるミドルチューン「Unchain」を披露し、ライブ前半は終了。ここからおよそ20分間、コロナ対策として“休憩・換気タイム”が設けられた。

 ライブ後半の冒頭を飾ったのは、The Shirellesの代表曲であり、The Beatlesがカバーしたことで有名になったスタンダードナンバー「Baby It's You」。ギブソンのエレキギターを抱えたMaica_nが、カリフォルニア出身の女性ボーカルバンド、Smithの同曲カバーを下敷きにしたブルージーかつパンキッシュなアンサンブルの上で、ソウルフルなメロディを切々と歌い上げた。

 続いては、今日がライブでの初披露となる「メモ書き」。〈おかえりは聞こえないままキッチンで手を洗う〉と歌われるこの曲も、コロナ禍の日常を温かい眼差しで描写している。続く「replica」は、来年2月17日にリリースされる1stフルアルバムの表題曲。これまでのクールな歌い方とは打って変わり、どこか70年代の歌謡曲を思わせるシンプルだがケレン味たっぷりのメロディを、全身を振り絞るように歌い上げるMaica_nの姿はとても凛々しかった。

「こんなコロナ禍でデビューさせてもらって。でもライブやツアーは延期になったり中止になったり、今年はもうワンマンは難しいのかなって半ば諦めている部分もあったのですが、今日こうして皆さんと貴重な時間を共有することができて、本当に嬉しいですし、心から感謝しています。来年こそ、みんなで声を出して騒いで、目一杯盛り上がれるように、いい音楽活動をしていきたいと思っています。皆さん、本当に健康にだけは気をつけて、味わい深い年末を過ごしてください」

 そう挨拶をした後、ピアノを基調とした美しくも切ないバラードナンバー「Unknown」を披露。そして本編最後はオーディエンスのハンドクラップに合わせて「Flow」を歌った。

 鳴りやまぬアンコールに応え、友成好宏とステージに登場したMaica_nは、そのまま「海風」のメロディをピアノ1本で歌い始めた。どこか童謡を彷彿とさせる、まるで一筆書きのように素朴で直感的なメロディが会場を満たしていく。そして最後は、現在放送中のアニメ『デジモンアドベンチャー:』のために書き下ろされた新曲「Mind game」。ファンファーレのように鳴り響くビッグバンド調のホーンセクションと、サビでの大胆な転調が印象的なゴージャスなナンバーだ。

 「Maica_nの『n』は、ニュートラルの『n』。ジャンルや流派にとらわれず、なんでもやりたいと思ったことをやってみる」と、本編のMCで語っていたMaica_n。60~70年代のロックミュージックに軸足を置きながら、それにとらわれることなく様々な音楽的要素を果敢に取り込み、わずか半年で大きく成長を遂げたMaica_nの、現時点での集大成のようなライブだった。

Maica_n Official Site

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