AI「Not So Different」は人類の課題と向き合う誠実なメッセージソングに 歩み寄る大切さを体現してきた“20周年の説得力”

20周年のAIが体現する“歩み寄る大切さ”

 もっとも、これだけの説得力を備えているのは、AIが常に制作へと注ぎ込んでいるポジティブな思想によるところが大きいはず。代表曲である「Story」や「ハピネス」にしても、楽曲の根源には他者の苦悩に寄り添う気持ち、そして個性を謳歌する精神がはっきりと息づいているし、「Listen 2 Da Music」(『2004 A.I.』収録)や「MUSIC」(アルバム『What's goin' on A.I.』収録)といった直球タイトルの楽曲も存在する通り、音楽が持つ底知れぬエネルギーの可能性についても幾度となく訴えてきた。間に合わせではなく、以前よりずっと大切に育んできた姿勢だからこそ、どんな平易なワードにも、人々を素直にさせ真っ向から勇気づけるだけの力を込めることができるのだ。

AI - Story
AI - ハピネス

 また、これは『One Young World Japan』のオフィシャルアーティストに抜擢された理由にも直結していくだろうが、相手が誰であろうと気さくで飾らないAIの人柄も、世界中を笑顔にしていくことを嘱望されたリーダーとしてやはりふさわしい。私は過去に一度、彼女と対面して取材を行ったことがあるのだが、本当にテレビで観たままの晴れやかな姿がそこにはあって、あまりのギャップのなさに内心驚いたのを憶えている。

 そんなAIが、グローバルな意思表示を高らかに掲げた「Not So Different」。2021年に開催予定の東京オリンピック、2022年の『One Young World Japan』、さらにはSDGs(持続可能な開発⽬標)の達成が期待される2030年と、世界が隔たりなく一つになれる未来へ向けて、彼女のメッセージはいっそうの輝きを伴ってあまねく人々を奮い立たせていくに違いない。

■白原ケンイチ
日本のR&B作品をはじめ、新旧問わず良質な歌ものが大好物の音楽ライター。当該ジャンルを取り上げるサイトの運営、コンピレーションCDのプロデュース、イベント主催の経験などを経て、現在はささやかに音楽ライフを満喫する日々。Twitter

AI「Not So Different」

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