DECO*27が語る、ボカロ文化の継承とジャンルとしての奥深さ 「人と人、音楽から音楽へとどんどん繋がっていける」

DECO*27、ボカロ文化の継承と奥深さ

初音ミク=DECO*27と思う人を世界中に増やしていきたい

ーーDECO*27世代のボカロPでは、ハチさん(米津玄師)やwowakaさん(ヒトリエ)など、自分で歌唱する方が増えたじゃないですか? でも、DECO*27さんは最新作アルバム『アンデッドアリス』では、あくまで初音ミクにこだわられていますよね。

DECO*27:僕は“初音ミクになりたい”んですよ。あ、この発言だけ切り取られてタイトルにされると誤解を生むと思うんですけど(笑)。いま、世間の認識では“DECO*27=初音ミク”だと思うんですね。ありがたいなと思うんですけど、それを“初音ミク=DECO*27”になりたいんです。初音ミクといえば? という問いがあったら、その答えはDECO*27でありたいと。

ーーなるほど。

DECO*27:長く続けたいし、初音ミク=DECO*27と思う人を世界中に増やしていきたいんです。そんな意味で、初音ミクになろうとしています。伝わりますかね?

ーーわかります。エリック・クラプトンといえばギター、みたいな。あ、ちょっと違うか。

DECO*27:エヴァンゲリオンだったら庵野秀明監督みたいな。そんなイメージで。

ーーそれこそDECO*27さんが生み出される作品は、愛や恋といった万人が持ち得るテーマ、思春期に体験する等身大の感情をリアルに、かつ絶妙な言葉遊びを用いて描いた歌詞やそれに伴うサウンドが評価されて、10代~20代の若い世代に圧倒的な支持を得てきましたもんね。そこには明確な個性が生まれています。

DECO*27:その“等身大”を、生々しくない初音ミクが歌唱することでフラットにリスナーへと入り込めるんですよ。

ーー今回、アルバム『アンデッドアリス』の資料音源も先に聞かせていただきましたが、とある楽曲同士が時系列で結びついたり、すでに発表されている楽曲ではYouTube上でファンによる考察が盛んになっていたり。DECO*27さんって、なんでそんなにすごい歌詞を書けるんですか? あ、なんかすごくバカみたいな質問をしてしまった(苦笑)。

DECO*27:ははは(笑)。僕は歌詞を書く時は言葉遊びというかゲームしている感覚なんです。まず、自分が書いているメロディにどれだけ気持ちよく子音や母音を使って流れを組めるか。そこに意味をつけていくという。なので、普通歌詞に使わないような口語口調を使ったりするようになりました。

ーーそうなんですね。そして、12月16日に向けて7枚目のアルバム『アンデッドアリス』から先行して「アンデッドアリス feat. 初音ミク」が10月末に配信されました。楽曲には伏線が張り巡らされていて、考察しがいがありますよね。まず、気になるアルバムタイトルの意味から伺ってもよろしいですか?

DECO*27 - アンデッドアリス feat. 初音ミク

DECO*27:ジャケットアートワークをしっかりと見ていただきたいんですけど、『アンデッドアリス』以外にも実はタイトルが書かれているんです。

ーーあ〜、なるほど。

DECO*27:実は裏コンセプトとして、初音ミクが人間に近づいているということをやりたかったんです。ボーカロイドの調整も、アルバムごとに実は初音ミクの歌声を人間っぽくしてきています。アルバム3部作として、まず最初は実体のない『GHOST』、人間っぽいんだけどヒューマンではない『アンドロイドガール』という、だんだん人になってきているんですね。そして今回『アンデッドアリス』という。人間であって人間でないようなクリーチャー感。

ーーいろんな問いかけがなされているのですね。実は既発曲のワードをチェックしたり、音に耳をすませると関連性が見つかっていくという。

DECO*27:そうなんです。なのでアルバム発売前からワクワクしながら、どんなアルバムなのかを『GHOST』、『アンドロイドガール』から聴き直していただけるといいかも。予習というか(笑)。

ーーうまいなあ。それは本当にリピートして聴きたくなりますよね。発売前からの考察も含めてDECO*27サウンドの表現、そしてその体験となる感じなんですね。

DECO*27:そして、アルバムの受注生産限定となる『乙女解剖盤』では、akkaによる漫画や答えあわせになるようなアイテムも入ったりします。ぜひ、お楽しみに!!!

DECO*27『アンデッドアリス』

■リリース情報
『アンデッドアリス』
発売:2020年12月16日(水)
【乙女解剖盤】¥9,000(税抜)
【初回限定盤】¥3,000(税抜)
【通常盤】¥2,500(税抜)

DECO*27 オフィシャルサイト

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