『涙流るるまま』インタビュー
南條愛乃に聞く、『グリザイア』シリーズと築いた作品との理想的な関係「どの曲も大事な相棒みたいな存在」
年齢とともに見せる顔を変えていく曲たち
ーーカップリングの「新世界」についても改めて聞かせてください。
南條:これは本当に壮絶で、歌っていても身を削るような感覚があって、すごくしんどいんですよね。「サヨナラの惑星」や「涙流るるまま」の悲しくてしんどいのとは違う、もっとキリキリするイメージで。何がしんどいって、自分がこの世界の未来にいないことを覚悟して歌っているのが一番しんどいんです。〈僕と君がいた あの場所 穏やかな朝 子供達は 何を描くの〉とか〈新しい世界 この場所 穏やかな朝 子供達は 何を望むの〉とか、自分たちの未来というより自分たちよりあと、下手したら自分たちがいなくなってしまったあとの世界のことを見据えているので、命をつなげるために歌っている感じがすごく強い。この戦いによって命をなくす覚悟ができている人の曲だなと思うので、歌っていて個人的な希望がまったく見えなくて。
以前、『ANIMAX MUSIX』(2019年10月開催)で一度だけ、いつものバンドメンバーと一緒に披露したんですけど、ベースのキタムラユウタさんが「この曲、ほんまつらいわあ……泣きそうになってしまう」と言っていたので、演奏していてもそういう気持ちになる曲なんだなというのを感じましたし、聴いてくださる方も曲に感情移入すればするほど、もうなんともいえない気持ちになる、大変な1曲を生み出してしまいました(苦笑)。
ーー(笑)。
南條:絶対にライブで盛り上がる曲だし、登場頻度はもちろん上がっていくとは思うんですけど、歌うたびに私も命を削る思いの曲なので、楽しみな反面すごく怖いみたいな。毎回この曲でごっそり持っていかれて、このあとに一体何を歌えばいいんだろうという最終兵器みたいなイメージが強い楽曲ですね(笑)。
ーーライブを重ねていく中で、歌詞との向き合い方が変わる可能性もありますしね。
南條:もしかしたら今は感じられていない個人的な希望が見えてくるかもしれないし、会場にいる全員で命を燃やして絶望するかもしれないし(笑)。これは本当にお客さんたちと作っていくものになると思うので、リリースされたあとにどう歩んでいくかが楽しみですね。できたら全員で生き延びたいです(笑)。
ーーそういう意味では、今回の2曲はどちらもライブを重ねることで、響き方が変わりそうですよね。
南條:今までの『グリザイア』シリーズの曲もライブを経てもそうだし、自分の年齢的な成長や積み重ねでも変わってきていて。本当に年齢とともに見せる顔を変えていく曲たちだなと、今まで歌ってきてすごく感じます。中には「ゼロイチキセキ」や「君のとなり わたしの場所」みたいに、これを歌うといつでも同じ場所に帰れる曲もあるけど、『グリザイア』シリーズの曲は自分の年齢とともに姿形を変えていくイメージがあるので、今回の楽曲たちもどう変わっていくのか。人間的に熟成されればされるほど、表現できることがすごく増えていく曲だなというのを『グリザイア』シリーズでは感じているので、自分が年をとるのがすごく楽しみになります。
2020年があったからこそ生まれるものも絶対にある
ーー11月12日には『南條愛乃 2021 CALENDAR & PHOTOBOOK』も発売されました。
南條:去年から雑誌『My Girl』さんとコラボして作るようになったんですけど、今年は色をテーマにしたコンセプトを挙げさせてもらって。カラーメイクやファッションメイク寄りのものもやってみたいなというのが、頭の片隅にずっとストックとしてあって、やれる機会がどこかでないかなと思っていたんですけど、どうせやるならページ数が多いカレンダーじゃないかと思い、提案させてもらいました。フォトブックのほうはわりとカジュアルな衣装だけど、メイクはいつもとまた違う感じに作ってもらっているので、両方あわせて見応えはすごいと思います。
読み物ページもインタビューのほか、三森すずこちゃんと高橋未奈美ちゃんからコメントをいただいていて。みもちゃんはデビュー当時からご一緒する作品が多かったり、プライベートでもごはんに行ったりする仲で、そんなみもちゃんから見た私についてお話を聞けて、照れくさくもあり、うれしくもありみたいな感じでコメントを読ませてもらいました。たかみなちゃんのほうは先日お邪魔したラジオ番組で、実はたかみなちゃんが南條ソロのすごいファンだったということが発覚して。その経緯もあってコメントをいただいたんですけど、「ファンのみんなが思っていることを代弁してくれる人だ!」みたいな感じなんです(笑)。まさか同業の中にそんな思いを抱いてくれる方がこんなところに隠れていたのかと自分もびっくりしたんですけど、うれしく読ませていただきました。写真含めて楽しんでもらえたらと思います。
ーー今年も残りあと1カ月ちょっと。来年のカレンダーも発売されたこともあり、2021年の展望についてもお聞きしたいと思います。2020年は物事がなかなか思い通りに進まない1年になってしまいましたが、南條さんは2021年をどんな1年にしたいですか?
南條:2020年は良くも悪くもリセットされた1年で、今まで地続きでやっていたことが急にパタッとなくなったりしてしまい、自分を休ませる意味でもそうだし、いろいろ考える意味でもそうだし、思いがけず自分の時間がたくさんできた。ファンの方たちには寂しい思いをさせてしまった1年でしたけど、私的には悪いことだけではなかったのかなという思いもあって。具体的にそれを持って「2021年こうしたい」というのはまだないんですけど、でも確実にこの2020年があったからこそ生まれるものも絶対にあると思うし、また初心にかえるじゃないですけど、一つひとつ噛み締めながら、ライブや作品づくりをより大事に感じられる1年になると感じています。
ーーこの1年の経験は、確実に次につながりますものね。
南條:そうですね。それが制作にどう影響していくかは、作り始めてみないとわからないですけど、私は楽しみに思えていて。あまりネガティブなイメージだけ残っている感じでもないので、すべてをプラスに変換していけたらいいなと思っています。
■リリース情報
カレンダーブック『南條愛乃 2021 CALENDAR & PHOTOBOOK』
発売日:2020年11月12日(木)
価格:【あにばーさる限定版】税抜価格¥7,273
【通常盤】税抜価格¥3,636
仕様:カレンダーブック+ミニ写真集+スリーブケース+イベント参加応募券つき
ニューシングル『涙流るるまま』
発売日:2020年11月25日(水)
品番/価格:
【初回限定盤<CD+特典DVD>】GNCA-0625 / 税抜価格¥1,800
【通常盤<CD>】GNCA-0626 / 税抜価格¥1,200
発売元・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
<CD INDEX>
01. 涙流るるまま (アニメ『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』エンディングテーマ)
作詞:桑島由一 作曲・編曲:藤間仁 (Elements Garden)
02. 新世界 (スマートフォンアプリゲーム『グリザイア クロノスリベリオン』オープニングテーマ)
作詞:桑島由一 作曲・編曲:藤間仁 (Elements Garden)
03. 涙流るるまま <instrumental>
04. 新世界 <instrumental>
<初回限定盤特典>
● 特典DVD
涙流るるまま MV
涙流るるまま MV Making
SPOT
<発売記念イベント情報>
2021年3月6日(土)東京都内某所
2021年3月7日(日)大阪市内某所
内容:<カレンダー>ポストカードサイン会 <シングル>CDサイン会
※ イベントの参加方法など詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。