BTS V、人々の心を和ませる不思議な魅力 たくさんの愛情で保たれるみずみずしい感覚

 今回のグローバル記者会見にとどまらず、Vはちょっぴり不思議な魅力で、人々の心を和ませてきた。BTS初の俳優デビューを飾った青春ロマンス時代劇ドラマ『花郎<ファラン>』の会見でも、純粋で明るくて好奇心が強く、1つのことにハマると熱中するマンネ(末っ子)キャラを「普段の僕によく似てると思います」と愛嬌たっぷりな笑顔で答えていた。そして「暑い部屋で喧嘩するシーンがあって汗が出たらダメなので、メイクを直しながら、ミニ扇風機を回して……そんな暑い日のエピソードでした」と満足気に話す姿が実に微笑ましかった。

 実際には、Vは3人きょうだいの長男として生まれている。この天真爛漫な魅力は、おばあちゃん子として育ったことが影響しているのかもしれない。そして、決して裕福ではない農家の長男であったVが持った「歌手になりたい」という夢に、理解を示してくれた父も大きな存在だった。実は、アメリカ・ビルボード「HOT100」で「Dynamite」が1位を獲得した際の会見でも、Vは父とタクシーでボッタクリにあった思い出話に花を咲かせるシーンがあった。

「(タクシーのおじさんに遠回りされて)イヤなことも、“そんなこともあるよね“と言えるようになった。(上京して一生懸命練習してきた)辛かったことも、全ていい思い出になった」

 一見すると突拍子もないことを話しているようにも感じられたが、その言葉の本質はしっかりと繋がっていることがわかる。厳かな空気に臆することなく、まっすぐに思ったままの言葉を発するVの自由でピュアな魅力が、これまでスレることなく育ってきたことにこそ尊さを感じるほどだ。

 それができる理由は、もう一つの家族とも言えるメンバーやスタッフ、ARMYが、彼のことを笑顔で見守り続けてきたからに違いない。「Blue & Grey」を聴けば、彼の心の中にもブルーでグレーな気持ちが漂う日があることがわかる。実際に、以前コンサートを終えた後に空っぽになったように感じていたと語っていたこともあった。それでも、カラカラに乾いた心に、たくさんの愛情が注がれたことで、Vはそのみずみずしい感覚を失うことなく、歩むことができた。多くの味方がいる安心感こそが、表現者であるVを奮い立たせているのだろう。

 「CG」とも称される美しい顔立ち、3オクターブの音域を誇る歌唱力、リードダンサーを務めるほどのパフォーマンス力……そんなアイドルとしての素養と才能をいくつも持ち合わせながらも、どこか「放っておけない」と人を引きつける魅力の持ち主。そんなVの愛らしさが守られる”BTSというやさしい世界“が、『BE』を通じてこの世界にも広がっていってくれたら……。そして、このコロナ禍で辛い日常も、やがていい思い出に繋がっていくことを、心から願っている。

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